ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

環境エナジータウン直方を全国100カ所予定の「脱炭素先行地域」に❣    はじめに 2022.2.3 更新2.23

はじめに

脱炭素社会の実現を最終目的とする「改正地球温暖化対策推進法」(以下、温暖化対策推進法)が去年5月に成立しています(1)。同法は今年4月からの施行です。同法の目標と採用している施策と手法について、私はかなり高い評価をしていまして、同法が施行され大きな成果を上げることを期待しています。

 

温暖化対策推進法は太陽光などの再生可能エネルギーを利用する地域脱炭素化のための施設を整備するとともに、併せて地域経済と社会の持続的発展に資する取組である「地域脱炭素化促進事業」を促進するとしています。そして、市区町村が再生可能エネルギーの導入目標を立て、再エネの導入を促進する「促進区域」を定めるよう努めるなどとしています。

 

30年後の未来を見越して、本フォーラムは“環境エナジータウン直方”の創造を呼びかけています。そのためには、温暖化対策推進法のいう「地域脱炭素化促進事業」の類を、直方は市民の力を結集し、自力ででもやり遂げなければいけない、そうしてこそ初めて、子や孫たちの世代に「明日の直方」を胸を張って継承できると思っています。

 

環境省は、温暖化対策推進法の施行に向け着実に準備作業を進めているようです。なかでも、2030年度までに脱炭素化を実現する全国100カ所以上の「脱炭素先行地域」(※2)を選定する事業には要注目です。この事業は、温暖化対策推進法において中心となる「地域脱炭素化促進事業」類似の事業に対して、事業費の1/2から3/4を補助する計画のようでして、自治体にとってはまことにありがたい話のように思われます。

 

ところで、本フォーラムは “環境エナジータウン直方”の創造を提唱した後のこの1年、環境エナジータウン直方の内容をより具体的にお示しするとともに、それを実行する適切な方策を提示する作業に時間を費やし、結果として、何も発表しないまま今日に至っています。

 

他方、上記した「脱炭素先行地域」を選定するための公募はこの1月25日(火)から2月21日(月)まで行われます(募集は2025年度まで年2回程度行われるようです)。そこで、環境エナジータウン直方の内容を具体化し、実行する方策を連載して発表する前に、「脱炭素先行地域」募集に関連するニュース記事や参考になる資料を整理して下記の目次で紹介することにします。「脱炭素先行地域」に選定されることを目指し、環境エナジータウン直方の創造に関心ある人たちで大いに議論し、申請に向けた活動をスタートするきっかけを提供したいという思いです。

 なお、以下では、特に明記していなければ、日本経済新聞朝日新聞産経新聞などの新聞記事やNHKと環境省のHPを参照しています。また、「地域脱炭素ロードマップ」や「脱炭素先行地域」に関する資料などについては、下記アドレスを参照ください。http://www.env.go.jp/press/109218.html

 

環境エナジータウン直方を全国100カ所予定の「脱炭素先行地域」に!

 (目次)

はじめに 「改正地球温暖化対策推進法」成立後の環境省の報道発表および国・地方脱炭素実現会議発表の「地域脱炭素ロードマップ」 (2022.2.3)

 1⃣  深刻化する気候変動と脱炭素に関する状況認識

 2⃣ 「国・地方脱炭素実現会議」の設置と開催に関する環境省の広報

 3⃣  国・地方脱炭素実現会議、「地域脱炭素ロードマップ ~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~」 (令和3年6月9日) を発表

 4⃣ 民間企業が取組む地球温暖化対策事業に出資する「脱炭素官民ファンド」の創設

 5⃣ 温暖化対策推進法における「促進区域」など中核的制度の具体化および自治体に対する国の財政支援を努力義務とする地球温暖化対策推進法改正案を報じるニュース記事

    6⃣ 「脱炭素先行地域づくりガイドブック」で示されている脱炭素先行地域づくりを検討、申請及び実践するための手引き

 7⃣ 脱炭素の基盤となる重点対策とその創意工夫事例

 8⃣ 直方近隣市町村(福岡県内)に関するニュースなど

 

 ※1  温暖化対策推進法については、“環境エナジータウン直方を全国100カ所予定の脱炭素先行地域に❣”の連載を終えた後、本フォーラムで近日中に連載を始めるつもりです。同法に関する情報や資料については、下記アドレスを参照ください。http://www.env.go.jp/press/109218.html

 ※2 「脱炭素先行地域」は温暖化対策推進法の中で位置付けられているものではなく、「国・地方脱炭素実現会議」が発表している一連の「地域脱炭素ロードマップ」で立案されたものです。しかし、国と地方が協働して2050年脱炭素社会の実現を目指すという点で温暖化対策推進法と目的を共通にするところがありますから、行政組織法定主義、法治主義と法律による行政を重視する行政法学的関心からは、「国・地方脱炭素実現会議」と温暖化対策推進法との関係、あるいは「脱炭素先行地域」や「地域脱炭素ロードマップ」と今年4月から施行される温暖化対策推進法との関係が問題になります。

「国・地方脱炭素実現会議」は令和2年10月に当時の菅総理が2050年カーボンニュートラルを宣言した際、「国と地方で検討を行う新たな場」を立ち上げるとの方針を打ち出したことに基づき設置されています。つまり、法律に創設の根拠がある組織ではありませんが、内閣自身、一定の限度で組織権限を本来持っていますから、この設置もその限度内のものとして認められると思います。

また、同法は「温室効果ガスの排出の量の削減等のための地方公共団体の施策を支援」するなどの「国の責務」を明記していますから(3条)、同法は去年5月に成立し今年4月から施行されますが、同法を「誠実に執行」(参照、憲法73条1号)する関連準備作業として肯定されるようにも思います。

そして、「国・地方脱炭素実現会議」における議論の成果として、一連の「地域脱炭素ロードマップ」を立案し発表することも、法の成立と施行に備えた準備作業として、容認される範囲に収まるでしょう。

しかし、「地域脱炭素ロードマップ」を単に発表することを越え、温暖化対策推進法で位置付けられていない「脱炭素先行地域」の募集を企画し、しかもそれに1年で200億という巨額の予算措置を伴うということになると、その法律上の根拠とか正当性が問題になってくると思います。さらにまた、「地域脱炭素ロードマップ」が温暖化対策推進法に基づく活動の根拠となるような、いわば主従が逆転した取扱い例があります(注. 法律の規定と行政上の取扱いの関係について、下記 3⃣で紹介する、「ロードマップの内容のうち、直ちにできることは直ちに実践していくとともに、・・・温暖化対策法に基づく地方公共団体実行計画等、そのほか法制度などの各種施策に反映しつつ、国・自治体・地域企業等が一丸となって速やかに実践に移すこととします。」のような例があります。)

しかしながら、本フォーラムは“環境エナジータウン直方”の創造を呼びかけることが本目なので、行政法学的関心からの考察は別の機会に譲ることにします。したがいましてここでは、地方脱炭素の実現と地域経済社会の活性化の目標に即し、温暖化対策推進法と「地域脱炭素ロードマップ」や「脱炭素先行地域」を区別することなく、直方が市民の力を結集して取り組むべき課題と対象を明らかにするという見地から「脱炭素先行地域」への応募などを深く検討することにします。        

                                          以上