(引き続き、文字の黒色は比山、青色はガイドブック等の文章であることを示しています。ただし、太字は青色を含め比山が重視しているなどを表わしています)
私たちはすでに環境エナジータウン直方の創造を提案していますが、それを直方という現実の社会の中で着実に前に進めていかなければなりません。
この点、ガイドブック(21頁)は、「計画の実現可能性」を求めて「計画の具体性」と「関係者の調整方針等」に着目しています。そして、これを実践するときの具体的な内容として以下の4点の【確認事項】をあげていますが、「計画の実現可能性」との間に合理的な関連性があると思われ、十分うなずけます。
- 計画に記載すべき内容が具体的であること (計画に不確実性がある場合でも、少なくとも5年程度の具体的な取組及びその後の取組の方針が記載されていること)
- 導入する再エネ設備の種類、規模、設置場所等が具体的に記載されていること
- 各年度のプロセスが適切にスケジュールとして計画されていること
- 取組による脱炭素効果が、計画期間後も継続して得られる見込みであること
しかし、【評価事項】として示されている下記の2点については、「計画の実現可能性」との合理的な関連性であるとか、あるいは【確認事項】の充足を評価する項目として適切なものであるか、必ずしもスッキリしません。
・ 関係者間における体制が具体的に構築されていること。未調整の関係者がいる場合は、合意形成の調整方針及びスケジュールが具体的に示されていること。その際、地域の企業や金融機関等との連携がなされていること
・ 脱炭素に関する取組 (国の制度に採択された取組、国の補助事業等に採択された取組、独自条例に基づく取組、民間企業等と連携した取組等) を実施した実績がある、又は、現在実施しており、脱炭素先行地域の計画を着実に実行できる経験を有すること
初めの、関係者との「合意形成の調整方針及びスケジュールが具体的に示されていること」というのは、確かに、計画の実現可能性に直結するものとして捉えられますから分かります。
しかし、「地域の企業や金融機関等との連携がなされていること」というのは、主に経済面での裏付けや支援体制があることを求めているのでしょうが、どの程度の裏付けや支援体制があることを求めているのか不明確です。
また、そこから計画の実現可能性を判断する材料が得られるとの立場でしょうが、計画に対する地域の本気度を示すものとして、ある程度の資金の準備を求めるのは分かりますが、それ以上に金融機関等との連携を求めることが適切かは議論の余地があるように思われます。その地域の再エネポテンシャルを技術面からの可能性、あるいは地域社会における合意の存在から計画の実現可能性を判断するというのが、脱炭素社会の形成という最終目標に照らして適切と思われるからです。
2つ目の、「脱炭素に関する取組 (略)を実施した実績がある、 又は、現在実施しており、脱炭素先行地域の計画を着実に実行できる経験を有すること」との【評価事項】について検討します。
素朴すぎる反応かもしれませんが、日本社会全体としてはこれまで、温暖化ガスである炭素の排出を増やし続け、今日の、ある意味追い詰められた状況に至っているわけですから、脱炭素を実行してきた経験を有すると大手を振って言える団体や企業がどれほど存在するというのだろうかと思います。
そして、日本社会全体としては従来の延長線上では考えられない、脱炭素に関するざん新な取組を余儀なくされているわけですから、脱炭素先行地域申請に対する審査は、極力、前例にとらわれない審査をしてほしいと思われます。
したがって、脱炭素に関する取組の「実績がある、 又は、現在実施」しているとの要件を形式的に適用するのではなく、脱炭素先行地域申請後、一定期間経過までに脱炭素に関する取組を実施していること、などで柔軟に審査する姿勢で対処してほしいように思われます。
なお、参考として、「実施スケジュール例」が図示されています。これを見ると、【確認事項】3つ目の「各年度のプロセスが適切にスケジュールとして計画されていること」がイメージとしてもはっきりしてきます。
(6⃣-03-④-6に続く)