ふるさと直方フォーラム

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電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の補足 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑫ 2020.7.7

昨日夕と夜、NHKの全国ニュースで大雨特別警報を流していましたが、その中で球磨川の被災状況とともに添田町彦山川で水かさが増えている様子が映っていました。皆さまのご無事を念じています。

 

㈡ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の補足 

 “太陽光発電所+大容量蓄電池”について、国内では北海道と徳之島などの離島の例だけを示し、今日は海外における蓄電池併設型の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の例を取り上げる予定でしたが、つい先日(7月1日と2日)、大容量蓄電池の利用と普及の状況に関係する重要な情報2つに接しました。

 一つは、蓄電池併設型大規模太陽光発電所(メガソーラー)が営業運転を開始したという記事です。“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせについてはすでに前々回に紹介していますが、この記事は国内最大級の規模で営業運転を開始したというものです。 

もう一つは、蓄電池を活用して再生可能エネルギーを「自己託送」する国内初の実証実験開始に関する記事です。京セラは、本実証を通し、今後、需要拡大が予測される「自己託送」※の事業モデルの確立を目指すとしています。こういう形態で大容量蓄電池の利用と普及が進んでいくことも大いにありそうで、その意味で特に注目されます。

 ※ 「自己託送」は、太陽光パネルなどで自家発電した電力を、電力会社の送配電ネットワークを利用して、離れた場所にある工場などに送電することで2014年4月から利用できる制度がスタートしています。 

大規模蓄電システムに関する補足情報として、以上の二つを原文から一部抜粋等させていただいて紹介します(一部抜粋等であることを示すため、青色文字にしています)。 

 

⓵国内最大級の蓄電池併設型メガソーラー、安平町に稼働

 SB エナジー三菱UFJリースが運営、設計・施工は東芝とTMEIC

2020/07/02 23:45 金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 ソフトバンクグループで再生可能エネルギー事業などを展開するSB エナジー(東京都港区)と三菱UFJリースは、北海道安平町で蓄電池併設型の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の営業運転を7月1日から開始したと発表した。

予想発電量は一般家庭約1万9854世帯分の年間電力消費量に相当する約7147万7000kWhを見込む。出力約65MWの太陽光発電所に、容量約19MWhの大容量リチウムイオン電池を併設。蓄電池併設型メガソーラーとしては、国内最大級になる。

北海道電力が2015年4月に公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に基づき、蓄電池を併設することが系統連系の条件となった。太陽光の出力変動を打ち消す形で蓄電池を充放電することで、系統側の短周期変動を緩和する。

滋賀県野洲市における国内初、蓄電池を活用した再生可能エネルギー「自己託送」実証実験の開始について 2020年07月01日

本実証では、滋賀県野洲市が所有する約2,000㎡の敷地(滋賀県野洲市上屋1655番地)に、京セラ株式会社は京セラ製太陽光発電システム約150kWを設置した「野洲上屋(やすかみや)発電所」を建設し、発電した再生可能エネルギー関西電力の送配電網を通して、約2km離れた京セラ滋賀野洲工場に供給します。

自己託送の実証実験では、国内初となる定置型リチウムイオン蓄電池を活用することで、発電インバランス(発電事業者が一般送配電事業者に事前に申請した発電計画と発電実績の誤差)を吸収し、安定した再エネ電力の供給を実現することにより送配電網への影響を排除します。

さらに、工場側の需要インバランス(需要家と電力小売事業者間の電力契約と消費実績の誤差)を低減させた高精度な需給オペレーションを京セラ東京事業所に新設した需給管理センターで実行します。


京セラは、本実証を通し、今後、需要拡大が予測される「自己託送」の事業モデルの確立を目指すとともに、安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築に寄与し、地域と連携したレジリエントで持続可能なスマートシティ、マイクログリッドの構築に取り組んでまいります。

太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由  環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑪ 2020.7.1

4 個々の環境エナジーについて市民目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム

 ニ リチウムイオン電池の未来

      ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設    (前々回)

   ㈡ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”     (前回)

  ㈢   太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由 (今回)

 

㈢   太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由

 ところで、素通りしてきましたが、太陽光や風力を利用して発電した電気を電力会社に買い取ってもらうために送電線に接続しようとするさいに発生する問題として、先ほどから何度も、出力変動対策であるとか系統連系の条件として、あるいは接続申込みに対する回答保留充放電システムの制御といった表現が出てきています。どういうことでしょうか。

 

私が持っていた認識は次のようなものでした。

太陽光パネルによる発電が大きく増えているが、発電した電気を電力会社にすべて買い取ってもらうことの是非と可否について、いろいろ議論があるようだ。技術的な理由だけによるのか、それとも政策ないし独占の弊害が表れているのだろうか」程度のものでして、それ以上に、是非と可否を正確に理解したり、対立する見解それぞれの根拠について真剣に考えることはしていませんでした。

 

電気工学分野の知識にプラスして電力事業の独占政策に関する理解が求められる難しい問題だということで、ちゃんと考えていなかったのです。しかし、リチウムイオン蓄電池の必要性が認められるようになった事情に関わることでもあります。リチウムイオン蓄電池の将来を考えるためにも、ここは一度正しく理解しておきたいと思います。

 

初めに、本題に入る前に、下の表ですが、資源エネルギー庁がまとめている資料「電力各社の再生可能エネルギー発電設備の系統への受入れ状況」をご覧ください。

 内容としては、以下の3つの○印から始まる情報が示されていますが、再生可能エネルギーとして発電された電気を系統に受入れるかどうかの問題が、平成26年10月時点では、北海道電力沖縄電力だけではなく、東北、四国、九州でも2ケタ、あるいは3ケタの数の案件として発生していることを確認しておきたいと思います。 

北海道電力沖縄電力においては、平成25年から再生可能エネルギー発電設備の受入れ困難な状況があること。

○平成26年、一部の電力各社(東北、四国、九州)においても、再生可能エネルギー発電設備の導入量と申込量の合計が春・秋(低負荷期)の電力需要を超過。(北海道、沖縄でも、更に接続が困難な状況に至っている。)

○このため、上記の電力各社は、一定規模以上の再エネ発電設備の接続申込みへの回答を保留すること等を公表。 

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電力各社の再生可能エネルギー発電設備の系統への受入れ状況  出典 経済産業省資源エネルギー庁再生可能エネルギーの状況について」平成26年10月16日

  

これを見ますと、少なくとも春・秋(低負荷期)においては、東京圏や関西圏は含まれていませんが、再生可能エネルギーの発電合計量が社会全体の需要を超過しているようです。日本では再生可能エネルギーによる発電はまだまだ萌芽期レベルかと思い込んでいたので意外な感じです。

 

そして、春・秋の低負荷期、東北、四国、九州の電力各社管内において、再生可能エネルギーの発電合計量が社会全体の需要を超過しているということは、賢明な官民が未来を志向し、知恵を出し合って正しい努力をすれば、夏・冬(高負荷期)においても、社会全体の需要を賄うことのできる再生可能エネルギーを調達できる可能性があることを示しているのではないでしょうか。言うまでもないことですが、このことは化石燃料依存から脱却して脱炭素社会を実現し、地球温暖化を防止して持続可能な社会の形成に大いに近づくことになるのではと思えてくるのです。

 

次に本題に入ります。太陽光発電事業者は電力会社に買い取ってもらわなければいけませんが、どうして電力会社は素直に(喜んで)※太陽光発電による電気を買い取らず、接続申込みに対する回答を保留したり、買い取るための条件として蓄電池併設などを求めるのでしょうか。 

 

 理由は、太陽光パネルや風力で発電した再生可能エネルギーの電力を電力会社の送電線を使って送電するためには、地域における発電量と使用量を常にほぼ同じに保つことが求められるからのようです。しかし、太陽光発電風力発電が天候に左右され、発電量がお天気次第というのは避けがたいことです。

 

そのため、(a)日中の発電量が使用量をオーバーするなどしてこのバランスが崩れると、電気の周波数が乱れたり電圧の変動が生じ、時には大規模な停電になるおそれがあるようです。それに、(b) 太陽光発電風力発電は時として数十秒から数分で突然、出力が大きく変動することがあります。こうした変動する電力が送配電網に大規模に流入すると、やはり電力の品質低下を生じ、周波数変動や電圧変動が大きくなるおそれがあると言われています。

 

ところで、太陽光発電の出力変動は、短い周期と長い周期の2つに分けて言うのが正確かもしれません。再エネが短時間のうちに出力変動を起こし、これにより系統の周波数が影響を受けるのは「短周期問題」です。そして、特に夏場などに好天気が続いて再エネの出力が増え、地域における電力供給がその需要を超えてしまうのは「長周期問題」です。

ほかに、短い周期と長い周期の2つと重なる場合があるかもしれませんが、北海道や沖縄など離島における電力系統の規模が小さいために接続容量が限られることを「熱容量問題」※として区分することもあるようです。

 ※ ある文献では、北海道電力管内は電力系統の規模が約400万kW(キロワット)程度と、他地域より圧倒的に小さい。これは東日本エリアの約11分の1、西日本エリアの約15分の1の規模と紹介されている。陰山遼将・スマートジャパン「北海道で広がる“太陽光×蓄電池”、再エネ普及の活路となるか」2017年04月11日https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1704/11/news031_2.html)。

また、上記の3種類に分ける説明については、金子 憲治「動き出す再エネ併用型「大型蓄電池市場」新市場をリードするTMEICの蓄電池戦略(前半)」2016.02.03参照。

https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/415282/012900004/?P=5

 

そうすると、発電量と使用量を常に同じに保つことが求められ、も両者間のバランスを保てないときは上記したような不都合が生じることが不可避であるなら、考えられる対応策としては、太陽光パネルによる発電あるいは系統への接続を止めるか、そうでなければ何か実効的な対策を講じなければいけません

 

従来から行われてきた対策は、電力会社が所有して管理する火力発電設備を随時操作して発電量と使用量とのバランスを保持してきたということですが、特に東北大震災以降、再生エネルギーの発電量が増え、火力発電による出力調整では間に合わなくなってきたようです。

 

また、電力会社側では、買い取りを行う際、系統の需給バランスが保てないなど一定の条件下では系統接続をストップする出力制御ルールを設けているようです。そして、電力を利用する消費者側では、周波数や電圧に敏感な機器を設置している場合、電気を安定化させる装置を自主的に設けることもあるようです。

 

太陽光パネルによる発電を止めるなどは元も子もないことでできません。かくして、現実的な解決策として登場したのが、たとえば、太陽光発電の中でも、出力が1メガワット(1MW=1,000kW)を超えるメガソーラーと呼ばれる大規模発電システムについて、需要量をオーバーする再生エネルギーを、再生エネルギー発電者側に設置するリチウムイオン蓄電池を使った蓄電システムに一時的に蓄電することでした。

 

メガソーラーの出力変動等に起因する電力の需給バランス確保の必要性については、以上のとおりです。なお、上記はいろんな人の説明を私なりに理解しものですが、前回紹介したサムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」で、畑陽一郎氏が図解して説明しています。

 以下に氏の図解と説明を引用して紹介しておきます。ご覧になっていただくと、出力変動対策であるとか充放電システムの制御が求められるというのは具体的にどのような状況であるのか、正しく理解できると思います。

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図解 徳之島の電力需要と太陽光発電所の関係 出典:九州電力が公開した資料を基に畑氏が一部強調して作成。

若干、補足しますと、徳之島の場合、太陽光発電システムが現状規模であれば、内燃力機(合計10台中3台)の調整で島内需要との差を吸収できる(図2左)。ところが太陽光発電の規模が約7MWに達すると、昼間の約6時間、内燃機力の出力を最低限に絞っても供給が過剰になる(図2右で赤く塗った部分)。これまで徳之島には蓄電設備がなかったため、それだと「島内需要を供給が上回る」右図の赤い時間帯、太陽光発電所の出力を約6時間停止して抑制しなければ調整できない、ということです。(了)

“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせが登場した経緯と課題  環境エナジータウン直方のための市民目線からの政策選択メモ書き⑩ 2020.6.25

4 個々の環境エナジーについて市民目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池(前回まで)

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム

 ニ リチウムイオン電池の未来

      ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (前回)

   ㈡ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”  (今回)

 

㈡電力電力会社以外による太陽光発電所+大容量蓄電池

ⅰ 変電所の中に国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設があるという記事を読んで、改めて電力会社以外で、太陽光発電パネルを大規模に設置し、併せてリチウムイオン電池の蓄電池施設を設置している例がないかネット検索して調べてみました。そうしましたら“太陽光発電所+大容量蓄電池”などのワード検索で、環境情報サイト「スマートジャパン」はもちろんですが、日経新聞など一般紙にもかなりの情報が掲載されていました。それら記事の掲載日時は早いものだと2014年8月でして、私が不勉強で知らなかっただけです。

 

そして今、“太陽光発電所+大容量蓄電池”などに関する情報に接し、それらの有する意味を検討した現在の地点から振り返ってみますと、“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせが登場した経緯を知らないままに、リチウムイオン電池蓄電池の将来を考えるなんて、保守点検が不備で重大な陥のある飛行機を能天気に離陸させるようなものだと身震いするほどです。そこで今回は初めに、リチウムイオン電池の蓄電池施設が、太陽光発電パネルの拡大に伴い併設されることになった経緯や課題を報じる二つの記事を紹介します。

 

ⅱ 最初に紹介するのは、畑陽一郎・スマートジャパン「サムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」2014年08月14日です。

 畑氏は冒頭で次のように述べています。

エジソンパワーは太陽光発電所向けに出力2MWのリチウムイオン蓄電池を納入すると発表した。事業用向けの太陽光発電所への導入では国内初の事例だという。なぜ導入するのか、売電収益と投資効率を第一に考える事業用発電所で受け入れられるのだろうか。徳之島の事例を紹介する。

 

そして続けて、次のように述べています。一部引用して説明します。

九州電力は2014年7月に「離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について」と題する文書を発表している。徳之島を含む6つの離島(壱岐対馬種子島、徳之島、沖永良部島与論島)では、再生可能エネルギーの系統連系について、接続契約申込みに対する回答を1年程度保留するという内容だ。徳之島は既に約2MWが連系されていて、年間30日の出力抑制を施したとしても現在の運用では累計4.4MWまでしか連系できない。

 そこで、「九州電力に売電する場合は、出力変動を抑えるための蓄電池を導入すれば、電力会社が要求する電力の品質を満たすことができ、全量買い取ってもらえる。接続拒否は起こらないことが分かった」(エジソンパワー社)。

 

出力変動は自然現象である再生可能エネルギーの宿命ともいうべきものですが、その出力変動を抑えて電力会社に接続拒否されないようにするというのが蓄電池を導入する理由だということが分かります。 

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写真(出典:エジソンパワー)はエジソンパワー社木更津工場に設置されている20フィートコンテナ(長さ6.06m)。このコンテナ内に大容量リチウムイオン蓄電池システムが格納されている。コンテナは設置しやすく、用途に応じて出力や容量、構成を調整しやすいが、徳之島にもこれと同じコンテナ方式で納入されるという。蓄電池システムには50kW出力の双方向パワーコンディショナー(直流交流変換器)を含む一式が収められるが、エジソンパワーが徳之島に納入するのは出力2MW、容量1MWhの大型リチウムイオン蓄電池

 

副次的ですが、御船徳之島太陽光発電所に高額な大容量蓄電池を導入できた背景に、コスト計算の理由があったようです。どういうことかというと、御船徳之島太陽光発電所では、エジソンパワー社が設計・調達・建設のEPC事業者として取り組み(epcとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉で、epc事業やepc業務といえば、設計調達建設という3つの工程を一貫して引き受ける事業(業務)を指します)、導入期間全体にわたってコストを管理しやすいことがあったようです。

 

エジソンパワーは次のように述べています。

「電池は設置してからが勝負だと考えている。当社が蓄電池を監視し、メンテナンスを施していく。特に温度管理や過充電・過放電の監視が重要だ。不具合が生じた場合は、セル単位の交換はもちろん、複数のセルをまとめたラック単位の交換を施すことで性能を維持する」

 

加えて、大容量蓄電池について、それまで10年を大きく超える期間を保証した事例はほとんどなかったのに、大容量蓄電池を納品する韓国サムスンSDISamsung SDI)と20年の長期保証に関する合意書を取り交わせたということです。なお、サムスンSDIのリチウムイオン蓄電池セルは正極材料としてマンガン酸リチウムを利用していて、蓄電池の寿命は6000サイクルと発表されています。

 

ⅲ 太陽光発電パネルにリチウムイオン電池の蓄電池施設が併設されていることを報じるもう一つの記事は、陰山遼将・スマートジャパン「北海道で広がる“太陽光×蓄電池”、再エネ普及の活路となるか」2017年04月11日です。

陰山遼将氏は、初めに次のように述べています。

蓄電池を併設したメガソーラーが相次いで稼働を開始している。再生可能エネルギーの課題である出力変動の対策として、蓄電池を活用しようという考えだ。接続可能量の制限や買取価格の下落が続く中で、新しい太陽光発電の運営手法として定着するかに期待がかかる。・・・全国でも特にその動きが広がっているのが北海道だ。2017年4月から蓄電池併設型のメガソーラーが複数稼働を開始した。・・・現在、北海道電力は接続申し込みが400MWを超えた分のメガソーラー案件について、系統連系の条件に蓄電池の併設を求めている。

 

続けて、関心の所在や課題等について次のように説明しています。一部の抜粋になりますが引用します。

 民間事業者が手掛ける案件では道内初となる蓄電池併設のメガソーラー稼働開始は、「日高庫富太陽光発電所」。2017年4月2日から稼働を開始した。翌4月3日からは、大手ゼネコンの大林組が北海道釧路郡釧路町字に建設した「釧路メガソーラー」が稼働を開始した。

太陽光発電に蓄電池を導入するに当たり、カギとなるのが充放電システムの制御。発電量が急増した際には蓄電池に充電し、不足した場合には放電するといった状況に応じた充放電制御をスムーズに行う必要がある。さらに太陽光発電は20年、あるいはそれ以上にわたる長期の事業だ。長期にわたる蓄電池システムの最適な運用と管理、設置容量と設備投資額のコストバランスを考慮したライフサイクルコストの見積りも重要なノウハウになる。

 大林組は蓄電池の併設に当たり、知見を持つ三菱電機GSユアサと協力してシステムの検証を行っている。蓄電池の導入および運用に関するノウハウを蓄積することで、今後需要増が見込まれる蓄電池併設型メガソーラー案件獲得につなげていく方針だ。・・・蓄電池を併設して日中に蓄電した余剰電力を夜間に売電し、少しでも事業収益性を高めるという使い方も注目されている。蓄電池のコストが下がっている点もこうした動きを後押ししている。太陽光発電の健全な普及を後押しする一手となるか、蓄電池の活用ノウハウの蓄積に期待がかかる。

 

簡潔にして大変明快な指摘でして、経緯や関心の所在、そして課題等がよく分かります。(つづく)

関西電力の堺太陽光発電所、2011年9月営業運転開始 環境エナジータウン直方の政策選択メモ⑨ 2020.6.22

前回「4-⑴-二-㈠」の補足 

 

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

 イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(前々回まで)

 ハ 大規模蓄電システム

 ニ リチウムイオン電池の未来

     ㈠  国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (前回)

 

前回紹介した福島県南相馬市東北電力変電所が、送配電の系統にリチウムイオン電池を組み込む実証実験を行ったのは2016年から行われていますが、それよりもさらに早い2011年9月、関西電力堺市との共同事業(堺市:普及啓発、関西電力:建設・運営)として、大阪湾に面したメガソーラー「堺太陽光発電所」(大阪府堺市西区)において、蓄電池を使った出力安定化を試みる営業運転を開始したと発表していました。

 

発電所は大阪湾岸の約21ヘクタールの広大な大阪府有地に位置し、出力は10メガワット(1万キロワット)で、一般家庭約3,000世帯分の電力を賄える量ということです。シャープの薄膜型太陽電池モジュール約7.4万枚で構成されています。なお、平成20年(2008年)9月に平成20年度地域新エネルギー等導入促進対策費補助金の交付決定を受けています。

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営業運転を開始した関西電力堺太陽光発電所 写真を含むその他の情報について、参照日本経済新聞「国内最大メガソーラー、関電が全面稼働」2011/9/7付

上記、関西電力堺市との共同事業は、メガソーラーにおいて、2011年9月から蓄電池を使って出力安定化を試みつつ営業運転を開始していることに驚嘆するのですが、もう一つ、堺市という一自治体が太陽光発電の共同事業者として関与していることにも大いに注目したいと思います。なぜなら、ふるさと直方フォーラムが「環境エナジータウン直方」を提案するときに重視していることと重なる点が多いからです。

 

堺市はHPで次のように述べています。 (https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/gomi/ondanka/machinakasolar/megasolar/index.html)

「環境モデル都市」である堺市では、将来にわたって「快適な暮らし」と「まちの賑わい」が持続する低炭素都市『クールシティ・堺』の実現に向けて、この堺太陽光発電所を、まち全体で太陽エネルギーを活用する「まちなかソーラー発電所」事業の重要施策と位置付けて推進してきました。

堺市では、今後も、堺太陽光発電所をフラッグシップ(旗艦)として太陽光発電設備等の導入促進に努め、「まちなかソーラー発電所」の拡大を図っていきます。

 

なお、関西電力の研究目的は3つ挙げられていまして、メインは「蓄電池を用いた電力需給システム」を研究することです(正確には、「太陽光の大量導入に対応できる需給制御システムの研究」「需給制御用としての蓄電池の適正評価および寿命評価」、および「太陽光の規模に見合う蓄電池容量の評価」です)。

 

さすが、プロとして、的確に問題意識を先取りしていると感じさせられます。と同時に、こうした研究からどのような成果が得られ、そしてその後、それら成果がどのような形で実践的な取組みに生かされているのだろうとの思いを強くします。おそらく研究成果はすでに完成しているのでしょうが、色んな思惑があるのか公表されている研究成果を確認することはできていません。将来、入手することができましたら、検討を加えて私の意見を添えて発表したいと思います。

 

なお、この一月前の2011年8月、東京電力は「浮島太陽光発電所」(川崎市川崎区)で7MWのメガソーラーの運転を開始しています。また、2013年だと思われますが、経済産業省が示していた「大型蓄電池の変電所への世界初導入による再エネ受け入れ枠の拡大」という方針に従い、北海道電力は北海道内の変電所に296億円を投じて、合計60MWh程度の蓄電池を設置していたことも付記しておきます。

環境エナジータウン直方の政策選択メモ⑧ 2020.5.12

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモ

 (1) リチウムイオン電池 

  イ 車載用リチウム電池

  ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(前回まで)

  ハ 大規模蓄電システム(今回)

 

ハ 大規模蓄電システム

 ㈠ 国内最大規模109万個リチウムイオン電池による蓄電池施設

 この施設は福島県南相馬市にある東北電力の変電所の中にあり、2016年から実証実験を行っているそうです。蓄電する意義と効果について、私は太陽光発電パネルを設置している家庭など、電力消費者の側についてしか知りませんでしたから、電圧の昇降を担当する変電所で蓄電に関する実証実験をしているというのは、不勉強でしたが新しい情報です。

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クリーム色のコンテナボックス80台が並び、コンテナの中には手のひらサイズのリチウムイオン電池109万個が入っている。リチウムイオン電池がひらく未来とは? NHK2019.12.10

NHKの記事(リチウムイオン電池がひらく未来とは?2019.12.10)を参照しますと、電力会社が太陽光や風力などの自然エネルギーを大規模に利用して電気を供給しようとするとき、消費者側が太陽光パネルで発電し売電する場合と同じように発電量と使用量のバランスをとる必要があるようです。

 

この点、東北電力の担当者は実証実験の結果について、「需給バランスに寄与できる能力があることを確認した。今後、こういった大規模な蓄電システムが普及することによって、再生可能エネルギーの導入をさらに拡大していくことができると期待している」と述べています。そして、「送配電の系統にリチウムイオン電池を組み込むことは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの拡大に重要な意義がある」との専門家の意見を紹介しています。

 

ここでは、蓄電するということを、家庭など消費する側だけでなく、発電する側でも極めて大規模な形態で進めようとしていること、そして、それは太陽光や風力など再生エネルギーの活用に大きな道を拓こうとしているものであることを確認しておきたいと思います

 (ここではこれ以上掘り下げませんが、この太陽光や風力などによる再生可能エネルギーの獲得とリチウムイオン電池の組み合わせこそは、石炭、石油、原子力と展開してきたエネルギー供給の歴史的な転換になるものだと私は確信を強めています。)

家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(2) 環境エナジータウン直方の政策選択メモ⑦  2020.5.11

ところで、昨年夏から秋にかけ千葉県などで自然災害のため長期の停電を余儀なくされた地域が続出したことがありました。確かあの頃だったと思いますが、リチウムイオン電池を動力源として装備したバスを停電している場所に移動し、電源として利用できるという記事を読んだ記憶があります。給水車のように「給電車」が移動して来て充電してくれるというわけですね。

 それだけでなく、一般家庭でも太陽光発電パネルを設置していれば、リチウムイオン電池の蓄電設備を購入すると、停電したときに防災用電源として活用できると宣伝されていたように思います。

自家消費向けの太陽光発電のパネルですから持ち運びモバイルではなく、家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池です。セールスに来た業者が取り扱っている自家消費用固定式リチウムイオン電池には3つのタイプがありますが、どれもコンパクトな箱型で、標準的なものでタテ70センチ、横45センチ、厚さ15センチ位です。

つまり、太陽光パネルで発電した電気を発電と同時に使うことはもちろんできますが、それだけでなくリチウムイオン電池を使った蓄電設備を設置しておき、太陽光パネルで発電した電気を貯めておいて好きなタイミングで使う方がお得ですよというセールスです。結果としてリチウムイオン電池の購入家庭が増えているようです。これには以下のような背景事情もあります。

ご承知の方も多いと思いますが、2009年11月にスタートした太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)は2019年11月より順次契約が終了しています。そのため、発電した電気は安い値でしか買ってもらえなくなり、一般家庭の売電収入は大幅にダウンすることになりました。

 私が関東の古河市に住んでいるとき、脱サラした人で売電収入を見込んで郊外に空き地を買い太陽光発電パネルを設置している人がいました。固定価格買取制度(FIT)が終了するためだったと思いますが、彼は「こんなことでは原発から太陽光発電への切り替えなんてできるはずがない」と怒っていましたが、太陽光パネルの設置は誤算だったとぼやいていました。

私の場合、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災の約1年後に自宅を建てたのですが、そのときに一般家庭標準の太陽光パネル3kwを設置し、以来、高い価格で買い取りしてもらってきました。売電による収入は夏場で毎月1万円ちょっと、晩秋から冬の間は8千円弱程度だったように思います。しかし、買い取り終了後の今年になってからの振込額は月1千円ちょっとです。年間にすると約10万円位の減収です。

そして、私が支払っている電気代は、オール電化ですが、夏場でだいたい毎月1万円ちょっと、それが秋は1.5万円で、冬は2万円を数千円オーバーします。ですから、太陽光パネルで発電した電気を貯めておいて好きなタイミングで使うことが可能なら、その方が得かもしれないと思えてくるのです。

そこで、リチウムイオン電池の設置費用次第になるかと思いますが、これが今のところ100万から200万円近くしているようですが、もっと普及して量産化されて50万円以下に安くなり、全体的に見て経済的に合理的な選択ということになれば、太陽光パネルを設置している一般家庭を中心にリチウムイオン電池を使った蓄電が全国的に普及していくのではと思われるのです。

 ※補足

一般家庭で固定して利用する固定式リチウムイオン電池については以上のとおりです。また、電力会社に売電するための施設ではありませんが、事業所の敷地内にかなり大規模に蓄電システムを設置し、事業活動に利用するものもかなりあるようです。

たとえば、「加西グリーンエナジーパーク」はハイブリッド車などに使うリチウムイオン二次電池の生産拠点ですが、2010年10月のスタート時からリチウムイオン電池を使った容量1.5MWh(一般家庭の一日の電力消費量の150世帯分相当)の蓄電システムを事業活動に実際に使用しています。

 すなわち、出力1MWの太陽光発電システムを使って発電し、余った電力を蓄電池に貯め、太陽電池の出力が一時的に低下したときなど、蓄電池から電力を補完する仕組みです。また、価格の安い深夜電力(系統電力)で充電し、昼間の電力として利用しています。三洋電機の社長は「大型蓄電池は2015年には1兆円、2020年には2兆円以上の市場規模が見込まれる。個人的にはこの倍の市場規模になる」と見込んでいます(以上すべて2010年10月時点の情報で「加西グリーンエナジーパーク」で検索するとたくさんヒットします)。 

家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(1) 環境エナジータウン直方の政策選択メモ⑥ 2020.5.10

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモ

   (1) リチウムイオン電池 

    イ 車載用リチウム電池(前回まで)

  ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(今回)

  ハ 大規模蓄電システム(次回)

 

  ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(今回)

今日は、車載用や持ち運びモバイルではなく、家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池を取り上げます。ノーベル化学賞受賞の吉野さんが「小型民生用から車載用・大規模蓄電システムへ」と述べておられたことに倣って、前回までの車載用リチウム電池のあとは、大規模蓄電システムを予定していました。

    しかし、リチウムイオン電池について勉強している間に、固定式リチウムイオン電池がかなり普及してきていることを知りました。そこで、私自身にとって、また読んでくださっている多くの方にとって、リチウムイオン電池を身近に感じながら理解を深めやすいかと思いますので、一般家庭で使用されている例を先に取り上げることにします。

 

最近、リチウムイオン電池を購入する家庭が増えているそうです。実は私の家にも今年初め、スマート蓄電システムのセールスがありました。みなさんは《電気は買ったり売るよりも、創って使う方がお得な時代》のキャッチフレーズを見かけたことはありませんか。昼間、太陽光発電のパネル(「太陽光パネル」はほかに「太陽電池パネル」や「太陽電池板」と呼ばれることもありますが、どれも同じものを指しています)で発電した電力を溜め(蓄電)、夜間や災害で停電した際の防災用電源として活用する「自家消費」を推奨しています。

 

ネットを利用しているときたまたまですが、ディスプレイの隅に「卒FIT後は蓄電池の導入がおすすめ」の文字が眼にとまりました。写真と図を使い、分かりやすい文章で示してくれています。民間企業のPR画面ですが、引用しておきます。

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「あんしん太陽光発電エコの輪」https://www.taiyo-co.jp/service/storage-battery/

 (つづく)