ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

小括   リチウムイオン電池のまとめと若干の考察⑵ 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑮ 2020.7.29

 以上、13回にわたるリチウムイオン電池の利用状況などを振り返って概観しました。吉野さんが2013年の時点で予告されていた通り、いやそれ以上にリチウムイオン電池は多方面で目覚ましい発展を遂げていると感じられます。 

 この間ほんとにたくさん、知らないことを多くの方のレポートや文献から学ばせていただきました。それらは以下で示しているホームページなどですが、電気やエネルギーについてまったくの門外漢である私にも理解できるよう、最先端の情報を分かりやすく説明してくださっている方には心からお礼申し上げたい気持ちです。 

 (ア) 電力・エネルギーの専門メディアである ITmedia節電・蓄電・発電に取り組む企業の課題解決サイト「スマートジャパン」 https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/

 (イ)「環境ビジネス」 https://www.kankyo-business.jp/

 (ウ) EICネットの再生可能エネルギー活用事例データベース http://re.ene.eic.or.jp/

 

 それでも、リチウムイオン電池について、依然、紹介すべき文献を見落としていたり、現在の状況と将来の見込みなどについて、初歩的で基本的な間違いをしているかもしれません。ご指摘いただければ、ご指摘を掲載させていただいて訂正補足等したいと思います。どうぞよろしくお願いします。 

 なお、6月に入ってからだったと思いますが、日経クロステックが「再エネ蓄電池プロジェクト最前線」のタイトルで、2015年4月から連載記事を掲載していることに気づきました。http://(https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20150421/415282/。

 その連載主旨は、「太陽光発電の大量導入が現実化し、…短周期の周波数変動への対策から蓄電池設置が求められている。今後、接続可能量を超えて無制限・無補償の出力抑制が始まると、抑制分を蓄電池に蓄える動きが顕在化する可能性も高い。…太陽光発電向けの蓄電池システムに取り組む先端の動きを紹介する。」というものです。 

 “環境エナジータウン”へとつながるものを学びたいという、私たちフォーラムとは問題意識が異なりますが、2015年4月という早い時機にスタートして「太陽光発電向けの蓄電池システム」に着目した連載は、私たちフォーラムのリチウムイオン電池に関する13回の連載と関心が重なるところも多く、大変刺激的で大いに参考になります。

 今ここで記事一つ一つを紹介することはできませんが、今後、分散型エネルギーモデルを検討するときなどに随時参照させていただこうと思います。これまでに掲載された記事のタイトル一覧は下記のとおりです。

 

目次 (以下の下線は消せなくて残っているだけです。無視してください。)

    系統安定化、低価格化、高付加価値サービスが後押し 2018.01.04  

 ・「大規模太陽光・風力+ストレージ」が世界で続々 

     短周期・長周期変動対策、マイクログリッドの3タイプで 2017.12.13  

 ・GSユアサ、系統安定化向け大型蓄電池事業を推進 

    釧路町のメガソーラーに日本製蓄電池として初の搭載2017.10.11

 ・「風力でも蓄電池併設型が急成長も」、TMEIC・杉山氏、木暮氏に聞く

     電池価格の低下で、系統負荷を抑えた再エネが補助金なしで拡大へ2017.08.21

 ・北の大地に稼働した「大型レドックスフロー電池」の成果 

    系統側蓄電池による風力・太陽光の導入拡大を検証 2017.08.09

 ・米テスラが産業用蓄電システムの現状を公表、「日本でも6カ所で実績」

    北海道・九州の再エネ導入支援、離島マイクログリッド向けなどに注力2017.07.28

  ・海外で動き出す「大型蓄電池シェアリング」

     蓄電池は電気の“銀行”、住宅間の電力融通も可能に2017.07.05

  ・壱岐に見る「VPP」の実際、分散する蓄電池を統合制御

     メガソーラーの出力抑制をリアルタイムで回避2017.03.30

  ・米子発、ドイツを超える「日本版シュタットベルケ」

     地元CATV企業がエネルギー地産地消で実績2017.03.15

  ・迫る太陽光への出力抑制!? 九電が大型蓄電池で回避策

     30万kWhの「蓄電池変電所」の効果と機能で検証が進む2016.11.23

  ・国内初、「中容量NAS電池+太陽光」を中小ビルに導入

     きんでん、BCP対策とピークシフトを自社ビルで検証2016.08.25

  ・南相馬に稼働した40MWhの巨大蓄電池、運用の現場

     福島に50MW分の「優先接続可能枠」を創出2016.08.10

  ・国内初! 太陽光と蓄電池による「自営線マイクログリッド」

     東松島市の挑戦する災害でも生き残る街づくり2016.08.05

  ・石巻市最大の集団移転地区に再エネと蓄電池を導入

     太陽光の大量導入による電圧の短周期変動を緩和2016.06.16

   ・世界初の「ハイブリッド蓄電池」が隠岐に稼働、Liイオン+NAS電池で再エネ導入量を拡大2016.03.09

  ・「太陽光+蓄電池+EV」で交通のゼロエミ達成

     電気バスを再エネ100%で毎日6便運行2016.02.25

  ・太陽光の大量導入で「大型蓄電池市場」が離陸へ

     新市場をリードするTMEICの蓄電池戦略(後半)2016.02.10

  ・動き出す再エネ併用型「大型蓄電池市場」

     新市場をリードするTMEICの蓄電池戦略(前半)2016.02.03

  ・九電、太陽光大量導入に備え、実証プロジェクト本格化

     蓄電池の最適配置に向け実証データを収集2016.01.15

  ・甑島で生まれる新・蓄電池ビジネス

     電気自動車のリユースで事業性を向上2015.12.17

  ・壱岐島の電力網に4MWの蓄電池導入

     風力・太陽光の短期の出力変動に対応2015.12.07

  ・水素、蓄電池、コンデンサを最適に使い分け

     太陽光と3つの蓄エネを導入した山梨の実証設備2015.08.12

  ・再エネ100%の電動モビリティを実現

     太陽光と蓄電池を連携した充電システム構築2015.06.04

  ・徳之島で動き出した蓄電池併設型メガソーラー

     エジソンパワーが国内で初めて商用ベースで運用2015.05.21

  ・パワコンとの連携制御で蓄電池システムの効果を最大化

     TMEIC・杉山統括部長に聞く2015.04.22

 (次回、「リチウムイオン電池のまとめと若干の考察」⑶に続く)

 小括 リチウムイオン電池のまとめと若干の考察 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑭ 2020.7.27

※ 以下の下線は消すことができないため残っています。無視してください。

 

4 個々の環境エナジーについて一般市民目線からの政策選択メモ 

 (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池  (①,②、③、④、⑤)

   ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池   (⑥,⑦)

 ハ 大規模蓄電システム 

  ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (⑧)

  ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   (⑨)

  ㈢ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ   (⑩、⑫)

  ㈣ 太陽光発電など再生可能エネルギーからの接続申込を回答保留する理由(⑪)

  ㈤ 海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化 (⑬)

  ㈥ 小括  まとめと若干の考察  (今回⑭、次回⑮、次々回⑯)

 

 ㈥ 小括  まとめと若干の考察

リチウムイオン電池の利用状況などについて、以上4月21日付け①から7月15日付け⑬の13回にわたり検討してきました。毎回、取り上げるテーマについて、それなりの理解ができたと思い、出典等を確認して原稿を書き始めようとするのですが、ほとんどその都度、出典等を確認する最中にまだ読んでいない新しい記事や文献に出くわしました。

 そして、暫し、それらを読み終えるのに時間を費やしますし、紹介されているいろんな事実が環境エナジーの発展においてどんな意味を有するかですとか、環境エナジー全体の展望、さらには“環境エナジータウン直方”との交錯のありようですとかを、素人で凡人の頭で考えているうちに、すぐに一日どころか一週間が経ち、そして、7月も早や後半に入ってしまいました。 

 それでも3か月あまり13回をかけ、リチウムイオン電池について、まずは現在の利用状況を知り、そこから将来のニーズを予測し、直方が“環境エナジータウン”を志向するときのヒントを得るという目的で、ひととおり検討してきました。そこで、小括として、これまでの記事を簡潔に見直して「まとめ」としておきたいと思います。また、「まとめ」をするなかで改めて気付いたことを「若干の考察」として述べておきたいと思います。これまでの目次は上記のとおりです(以前、4-⑴-ニ 「リチウムイオン電池の未来」としていましたが間違っていました。上記のとおり訂正します。)。

 

2020.4.21付け①は、吉野彰さんがリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞されたことをきっかけにリチウムイオン電池について関心を抱くようになったこと、そして、吉野さんが「環境・経済性・利便性のバランスがとれたリチウムイオン電池は電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電に広く普及し、持続可能な未来社会づくりにおいて中心となる重要な役割を果たす」と言われていることの正しさを、次回以降、市民目線で検討したいと述べています。

 より具体的には、リチウムイオン電池が成長したのは小型民生用で、そのきっかけになったのがいわゆるIT変革です。つまり、これまでは「リチウムイオン電池=IT」だったわけです。しかし、これからは車載用や大規模蓄電システムのような、次のマーケットに向かって進んでいるわけです。」という吉野さんの見方が、大変おこがましい言い方になりますが、検証させていただくという私の出発点を明らかにしています。

 

2020.4.29付けから2020.5.9⑤は車載用リチウム電池についてです。

 ②は、車載用リチウム電池の具体例として、動力源にリチウムイオン電池を使用する電気自動車(EV)の今後の動向を素人なりに占ってみると述べ、次回③以降に着目する項目を目次として示しています。 

 2020.4.30付けは、 EVの成長性を左右する主な要因について、走行距離(航続距離)、充電時間の長さや価格面から検討し、EVの将来的な成長性を肯定しました。 

 2020.5.3付けの④と2020.5.9付けの⑤は、EU、中国、そして米国における自動車からのCO2排出規制概要と2019年中に開催されたジュネーブ国際自動車ショーや東京モーターショーにおける展示、および、国土交通省経済産業省が公表している「EV/PHV普及の現状」(2019年3月)を紹介し、世界の自動車メーカーの大勢は、米国における対立はあるものの、次世代自動車のエネルギーとして、CO2フリーなリチウムイオン電池が中心になるEV車の供給量を増やす方向に向けて大きく舵を切ったと言えそうであると述べました。

 

②から⑤に関連して補足します。

 つい先日ですが、日産が来年2021年の中頃に「アリア」を発売見込みと発表しました。航続可能距離はたしか500km強で、価格もテスラより50万以上安く設定するとしていたようですので500万円を切る可能性があるかもしれません。EVで有名なテスラの株価が急上昇し、時価総額トヨタを抜き自動車メーカーで世界首位となったとのニュースもありますので、併せて日産がEVで回復することを期待したくなります。

 それと、2020.4.30付けのでは触れていませんでしたが、私の個人的な感覚を追記しておきたいと思います。それは、EVの走行時の静かさです。プリウスプラグイン・ハイブリッド(PHV)に乗っていて、1日で60キロくらい以上を走ると電池がなくなり、自動的にガソリンで走ります。電池からガソリンへの切り替わりはディスプレイを見れば分かりますが、私の場合、小さなエンジン音でガソリンに切り替わったことをすぐに感じています。 

 そして、私の個人的な受け止め方かもしれませんが、このエンジン音で、小さいのですが世間の喧騒に引き戻される感じがするのです。逆に言うと、小さなエンジン音がするまでの電池で走っているときの静けさというか滑らかさは、ガサツな私には不似合いだと自覚していますが、ゆったりとした気持ちでハンドルを握ることができています。自宅で充電でき、ガソリンスタンドには1年に1度位しか行かなくていいということも関係していると思いますが、もう少々のことではEVからガソリン車に戻ることはできないだろうと感じています。

 

2020.5.10付けの⑥と2020.5.11付けの⑦は、家庭などに固定し、夜間や防災用の電源として利用できる固定式リチウムイオン電池を取り上げました。そして、リチウムイオン電池が量産化されるようになって、たとえば50万円以下で設置できるようになれば、太陽光パネルを設置する家庭を中心に、固定式リチ池を使って蓄電し、自家消費するスタイルが全国的に大きく普及すると思われると述べました。

 

2020.5.12付けの⑧は、大規模蓄電システムの一例として、福島県南相馬市にある東北電力の変電所にあって、国内最大規模109万個のリチウムイオン電池を使い、2016年から実証実験が行われていることを取り上げています。そして、「送配電の系統にリチウムイオン電池を組み込むことは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの拡大に重要な意義がある」との専門家の意見を紹介しています。 

 

2020.6.22付けの⑨は、福島県南相馬市東北電力変電所における上記⑧の実証実験よりもさらに早い2011年9月、関西電力堺市との共同事業として、大阪湾に面したメガソーラー「堺太陽光発電所」(大阪府堺市西区)において、蓄電池を使った出力安定化を試みる営業運転を開始したと発表したことを取り上げました。

特に、堺市という一自治体が共同事業者として関与していることは、ふるさと直方フォーラムが「環境エナジータウン直方」を提案するときに重視していることと重なる点が多く、大いに注目したいと述べています。

 

※補遺   

自治体が発電や送配電の共同事業者として関与する新しい情報に接しました。赤字に変更している箇所に注目したいと思います。

東急不動産、北海道で風力発電+蓄電池を活用したマイクログリッド構築に着手」(2020年07月20日掲載)の記事です。北海道松前町と東急不動産(東京都渋谷区)は7月17日、経済産業省の補助事業の採択を受け、東急不動産が松前町に保有する風力発電設備と蓄電池設備を活用し、平常時から電力の調整を行いつつ、災害等の大規模停電時には自立した電力供給が可能な地域マイクログリッド構築に向けたマスタープラン作成事業に着手したというものです。また将来は、松前町で消費される電力の100%を再生可能エネルギー由来とすることも検討するということです。

 

2020.6.25付けの⑩は、リチウムイオン電池の蓄電池施設が、太陽光発電パネルの拡大に伴い併設されることになった経緯や課題を報じる二つの記事を紹介し、蓄電池導入の理由は、再生可能エネルギーの宿命ともいうべき出力変動を抑えて電力会社に接続拒否されないようにするためであったと述べています。

 また、パワーコンディショナー(直流交流変換器)を含む蓄電池システムについて、エジソンパワー社や 韓国のサムスンSDISamsung SDIが担当していることを知りました。さらに、蓄電池導入に当たり充放電システムの制御や20年以上の長期事業になる太陽光発電蓄電池システムの最適な運用と管理が現実的に重要な課題となること、このことに関連して、大林組蓄電池の併設を担当し、知見を持つ三菱電機GSユアサと協力してシステムの検証を行っていることを知りました。

 

2020.7.1付けの⑪は、再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留したり、買い取るための条件として蓄電池併設などを求めるのは、地域における発電量と使用量を常にほぼ同じに保つことが求められること、日中の発電量が使用量をオーバーしてこのバランスが崩れると、電気の周波数が乱れたり電圧の変動が生じ、時には大規模な停電になる不都合があるためであることを確認しました。 

 

2020.7.7付のは、電力会社以外による太陽光発電所+大容量蓄電池”について、重要な情報2つを補足しました。一つは、蓄電池併設型大規模太陽光発電所(メガソーラー)が国内最大級の規模で営業運転を開始したという記事です。

 なお、大容量リチウムイオン電池を系統連系の条件として併設するのではなく、高圧業務用電気の基本料金が500kWを境に大きく変わるため、消費電力を500kW未満に抑える方策として、200kW程度の蓄電池を導入する例を補遺として取り上げています。

 

2020.7.15付のは、海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化しているとの現地レポート記事を、世界レベルでの今後の動向を強く示唆するものとして紹介しました。

 

 ※補遺   米国の発電設備における脱炭素化に向けた動きに関する情報を一つ、追加しておきます。

 11月大統領選挙における民主党候補、バイデン氏は7月14日、モダンで持続可能なインフラと公平なクリーンエネルギーの未来を構築するための計画を発表し、計画の主な要素の一つとして2035年までに二酸化炭素を排出しない電力部門の実現(Achieve a Carbon Pollution-Free Power Sector by 2035)」という目標を掲げています(https://joebiden.com/climate/)

 地球温暖化を防止し、今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑えることを目標とするパリ協定からの脱退を決定したトランプ大統領は最近も環境アセスメント実施に関して抑制的な施策を発表していますが、バイデン氏は各種世論調査10%あまりのリードを伝えられており、当選すれば上記公約を実施する可能性は高いと予想されます。参照、ジェトロ海外調査企画ビジネス短信・バイデン米民主党大統領候補、環境インフラ政策を発表 2020年07月17日 

 (⑮へと続きます)

海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化している! 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑬ 2020.7.15

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモリチウムイオン電池

 (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム 

       ㈠ 国内最大規模109万個リチウムイオン電池による蓄電池施設  

    ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   

   ㈢   電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ    (前々回)

   ㈣  太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由     (前回) 

       ㈤ 海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化(今回)

 

㈤  海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化(今回)

 “太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせで情報検索などしていますと、ハワイと米国本土、そして英国やドイツでも、蓄電池を大規模に導入しているとの現地レポート記事を見かけました。世界レベルでの今後の動向を強く示唆しているように思われますので適宜一部抜粋して紹介します (抜粋であることを示すため、文字を青色にしています。ただし、太字・赤字は筆者が強調するためにしています。また、文意を損なわい範囲で修正して引用している箇所もあります)。

①Junko Movellan、ハワイ「再エネ100%」に向け、「メガソーラー+蓄電池」続々 太陽光急増による需給のミスマッチを解消へ 日経BP 2020/06/08

ハワイ電力工業(Hawaiian Electric Industries)は、昨年末に公募した入札の結果、16の「メガソーラー(大規模太陽光発電)+蓄電池」プロジェクトと、太陽光と併設しない「単設(スタンドアローン)」のエネルギー貯蔵プロジェクトを選択した、と発表した。これらのプロジェクトが完成し、稼働を始めると、ハワイ州における太陽光発電の発電量を50%以上増加させることになるという。

ハワイ州は、石油への依存から脱却するために、米国本土に先立って、「再エネ100%」を最初に掲げた州である。2018年末で、同州の再エネによる電力供給は28%に達していて、同州の中間目標である「2020年末までに再エネ30%」は、ほぼ確実と言える。米国全体の電源構成で太陽光発電の占める割合はわずか2.3%なのに対して、ハワイ州では何と10.2%と4倍以上の構成比になっている。

さらに、太陽光発電の急速な大量導入により、同州の場所によっては太陽光の発電量が昼間の最小電力需要を上回り、系統運用に問題が生じてしまった。同州の電力需要のピーク時間帯が夕方5時~夜10時になる一方、太陽光の出力は昼間がピークになる。需要と太陽光発電の供給量との間に、ミスマッチが起こってしまった。そこでハワイ州では、メガソーラーに蓄電池を併設することで、これらの問題・課題を軽減し、「再エネ100%」転換に向け、再エネ導入加速・化石燃料の消費削減に取り組んでいる。 

一方、落札された「単設エネルギー貯蔵プロジェクト」の中で最大規模となる案件は、「カポレイ・エネルギー貯蔵」で、リチウムイオン蓄電池が使用される予定で、グリッド(系統)の信頼性を高める。

 

 ②バッテリーが変える米発電産業の未来

 2020年2月27日  日経ビジネス2020年3月2日号 96~97ページより

米国で、太陽光発電事業者が電池(バッテリー)を導入する動きが相次いでいる。年内にも2倍の4800メガワット(MW)に達し、2025年までに3万2000MWを上回るとの試算がある。ソーラーパネルなどの価格低下と税制優遇策、規制緩和が投資拡大を促す。

投資の波が押し寄せて、大規模なバッテリーパックを備える太陽光発電設備の建設が米国の各地で進んでいる。日中に発電した電気の余剰分を蓄えておき、人々が帰宅して電灯や家電、エアコンを使用する夜間に電力を供給することができる。

こうした「太陽光発電+バッテリー」のプロジェクトに多額の資金を投じているのはファンドマネジャー、電力生産者、電力会社のほか、大量のエネルギーを消費するテック企業などだ。このような投資が、再生可能エネルギーによる発電に急拡大の道を開いている。

カリフォルニアからフロリダに至る米国の各州において、太陽光発電とバッテリーを併せ持つ設備の計画が次々と発表されている。過去10年間でソーラーパネルの価格が77%、リチウムイオン電池の価格が87%低下した。このため、太陽光発電+バッテリーのプロジェクトが経済的に可能になった。中には天然ガス火力発電よりも安価な電力を提供できるプロジェクトも存在する。

太陽光発電とバッテリーによる電力供給の市場は爆発的に伸びている」。政府が進める政策も投資意欲を刺激する。再生可能エネルギー発電とバッテリーを併設すれば税額控除を受けられる。一部の州は電力会社に対してバッテリーの設置を義務づけている。

経済と金融情報を扱うルームバーグ系列の調査会社BNEFの最新の試算によると、米国に設置されたバッテリーの総容量は今年、2倍以上に増大し約4800MWに至る。25年までに3万2000MWを超えると同社は予想している。これは米国内で約2600万世帯に電力を供給できるほどの規模だ。ただし、それでも米国の発電容量全体(100万MW*)に比べれば、バッテリー容量はごくわずかな割合にとどまる。

カリフォルニア州の独立系統運用機関によると、同州では昨年、主要なグリッドに電力を販売する太陽光発電風力発電の業者が、100万MW時近くの廃棄を余儀なくされた。電力を供給する先がなかったからだ

少なくとも米国南西部では、日差しの強い砂漠地帯があり、「この状態を極限まで突き詰めていけば、太陽光発電とバッテリーの併設プロジェクトはいずれ、グリッドを流れる電力の大部分を占めることになる」と見方がある。

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全米で導入進む  太陽光発電+バッテリー設備の発注 2019年末時点  出所:BNEF/Financial Times

 

③英国で再エネ急拡大、蓄電池の導入量も4年間で1000倍に

 2019/10/18 17:00 大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ

英国の再生可能エネルギー協会(REA)とElectraLinkは同国における蓄電池の導入量が2014年の50MWhから2018年には49GWhと4年間で約1000倍に急拡大したと発表した。

REAは同時に、太陽光発電による電力量も2012年の194GWhから2018年には8TWhと40倍以上に急増していること、および英国の配電網では様々な電源から流入する電力の比率が拡大しつつあることも分かったとしている。

2012年の時点では配電網に流入する電力の60%以上が火力発電などの電源によるものだった。ところが、2018年には火力発電による電力量が40%以下に減少し、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなどによる変動性電源が60%以上に増加して逆転した。

その結果、配電網が不安定化して需給調整が難しくなることから、配電事業者であるDNO(Distribution Network Operator)がフレキシビリティー(需給調整の手段・手法)を確保する必要性が増している。

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図 英国における太陽光発電の導入量の推移(出所:REA) グラフで「Solar」は従来の太陽光発電を、「Solar(mixed)」は太陽光だが蓄電池やディーゼル発電機を併設しているものを示している。

英国は今年1月EUを離脱しましたが、英国における上記動向はEU全体の姿勢を反映したものと思います。コロナウイルス感染であるとか米中対立などの波乱要因はありますが、気候変動と脱CO2のための努力に関しては、英国とEUは気候変動対策については理念と政策を共有しているからです。

つまり、欧州委員会は2050年までにEU域内の温暖化ガス排出をゼロにする「欧州グリーンディール」を掲げています。また、温暖化対策に関する国際ルール「パリ協定」(2015年)において、フランスは22年、英国は25年、ドイツは38年までに石炭火力を全部廃止する目標を掲げています。したがって、英国とEUは、これからも益々世界全体に対して指導性と影響力を有して牽引していくと思うのです。

 

④普及目前!再エネ蓄電池、米欧亜企業がしのぎ 系統安定化、低価格化、高付加価値サービスが後押し 藤堂 安人日経BP総研 クリーンテック研究所 2018.01.04 

この記事はタイトル表題のとおり、広く米欧亜の事例を取り上げていますが、ここではドイツについて言及している箇所のみを紹介します。

 ドイツでは、電源構成に占める原子力発電の比率を減少させて、再エネを拡大する方針を掲げており、風力や太陽光発電などの再エネ比率が高まっている。2017年1~6月期の発電量に占める再エネの割合は前年同期比2%増の35%となり、史上最高を更新した。

 特に、風力発電の建設が相次ぐ北部では、再エネ発電量が地域の電力消費量を超える事態になっている。今後さらに再エネ導入量が増えると現状の調整力である火力発電のマストラン電源(系統網の安定運用のために保持する電源)が限界を迎え、再エネの出力制御を強化せざるを得なくなる。

ドイツの系統運用者であるTSO(Transmission System Operator:独立送電会社)各社は、再エネ拡大に伴う系統網の不安定化を防ぐために、各種の補助的なサービスを市場から調達している。そして、0~30秒という短時間で自動的に調整力を供給する補助的サービスがあり、この補助的サービスを提供する事業者はリチウムイオン蓄電池を装備している。そのさい、ドイツ環境省からの補助金制度があり、利用されることもあるがされないこともある。

なお、短周期変動対策として、300kWの水電解装置を建設している補助的サービス事業者がいる。これは、再エネが瞬時に増えて周波数が基準値よりも上振れした際、系統網からの電力で水電解装置を使って生み出される電気で水素を製造している。水素は直接使用することもできるが、保管しておいて必要な時・場所・目的で、水素を合成ガス、メタン、またはLPGに変換する使い方もできる(いわゆる「P2G=Power to Gas」)。今後こうした補助的市場でP2Gが拡大していく可能性がある

                            以上

電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の補足 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑫ 2020.7.7

昨日夕と夜、NHKの全国ニュースで大雨特別警報を流していましたが、その中で球磨川の被災状況とともに添田町彦山川で水かさが増えている様子が映っていました。皆さまのご無事を念じています。

 

㈡ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の補足 

 “太陽光発電所+大容量蓄電池”について、国内では北海道と徳之島などの離島の例だけを示し、今日は海外における蓄電池併設型の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の例を取り上げる予定でしたが、つい先日(7月1日と2日)、大容量蓄電池の利用と普及の状況に関係する重要な情報2つに接しました。

 一つは、蓄電池併設型大規模太陽光発電所(メガソーラー)が営業運転を開始したという記事です。“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせについてはすでに前々回に紹介していますが、この記事は国内最大級の規模で営業運転を開始したというものです。  

※補遺(7月10日付け) 

大容量リチウムイオン電池を併設するのは、最近まで、上記記事ほかで説明されているように、すべて系統連系の条件としてかと思っていました。

しかし、高圧業務用電気の基本料金が500kWを境に大きく変わるため、消費電力を500kW未満に抑える方策として、大容量とは言えないかもしれませんが、たとえば200kW程度の蓄電池を導入する例がありました(竣工式は2015年12月10日)。

日経クロステック 掲載の金子 憲治氏執筆の記事ですが、以下のように説明されています。ご参照ください。

関西電力の場合、工場向けの基本料金は、500kW未満だと1360.8円/kWなのに対し、500kW以上になると1863.0円/kWに跳ね上がる。三友エレクトリック(米原市)社では、最大電力需要が500kWを超えないように、製品試験を夜間にシフトしたり、日中の試験時には、エアコンを切ったりするなどして需要管理を徹底してきたが、それも限界に近付いていた。

 「200kWhの蓄電池があれば、余裕をもって契約電力を400kW以下に抑えられる。中堅メーカーにとって利点が大きい」(社長)。加えて、今回の蓄電池システムが、経済産業省の「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金」(2014年度補正予算)の対象となり、投資負担が3分の2で済むことから、導入に踏み切ったという。 

 

もう一つは、蓄電池を活用して再生可能エネルギーを「自己託送」する国内初の実証実験開始に関する記事です。京セラは、本実証を通し、今後、需要拡大が予測される「自己託送」※の事業モデルの確立を目指すとしています。こういう形態で大容量蓄電池の利用と普及が進んでいくことも大いにありそうで、その意味で特に注目されます。

 ※ 「自己託送」は、太陽光パネルなどで自家発電した電力を、電力会社の送配電ネットワークを利用して、離れた場所にある工場などに送電することで2014年4月から利用できる制度がスタートしています。 

大規模蓄電システムに関する補足情報として、以上の二つを原文から一部抜粋等させていただいて紹介します(一部抜粋等であることを示すため、青色文字にしています)。  

⓵国内最大級の蓄電池併設型メガソーラー、安平町に稼働

 SB エナジー三菱UFJリースが運営、設計・施工は東芝とTMEIC

2020/07/02 23:45 金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 ソフトバンクグループで再生可能エネルギー事業などを展開するSB エナジー(東京都港区)と三菱UFJリースは、北海道安平町で蓄電池併設型の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の営業運転を7月1日から開始したと発表した。

予想発電量は一般家庭約1万9854世帯分の年間電力消費量に相当する約7147万7000kWhを見込む。出力約65MWの太陽光発電所に、容量約19MWhの大容量リチウムイオン電池を併設。蓄電池併設型メガソーラーとしては、国内最大級になる。

北海道電力が2015年4月に公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に基づき、蓄電池を併設することが系統連系の条件となった。太陽光の出力変動を打ち消す形で蓄電池を充放電することで、系統側の短周期変動を緩和する。

滋賀県野洲市における国内初、蓄電池を活用した再生可能エネルギー「自己託送」実証実験の開始について 2020年07月01日

本実証では、滋賀県野洲市が所有する約2,000㎡の敷地(滋賀県野洲市上屋1655番地)に、京セラ株式会社は京セラ製太陽光発電システム約150kWを設置した「野洲上屋(やすかみや)発電所」を建設し、発電した再生可能エネルギー関西電力の送配電網を通して、約2km離れた京セラ滋賀野洲工場に供給します。

自己託送の実証実験では、国内初となる定置型リチウムイオン蓄電池を活用することで、発電インバランス(発電事業者が一般送配電事業者に事前に申請した発電計画と発電実績の誤差)を吸収し、安定した再エネ電力の供給を実現することにより送配電網への影響を排除します。

さらに、工場側の需要インバランス(需要家と電力小売事業者間の電力契約と消費実績の誤差)を低減させた高精度な需給オペレーションを京セラ東京事業所に新設した需給管理センターで実行します。


京セラは、本実証を通し、今後、需要拡大が予測される「自己託送」の事業モデルの確立を目指すとともに、安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築に寄与し、地域と連携したレジリエントで持続可能なスマートシティ、マイクログリッドの構築に取り組んでまいります。

太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由  環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑪ 2020.7.1

4 個々の環境エナジーについて市民目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム

   ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設   

   ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)     (前々回)

   ㈢  電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ   (前回)

   ㈣ 太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由  (今回)

 

㈣  太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由

 ところで、素通りしてきましたが、太陽光や風力を利用して発電した電気を電力会社に買い取ってもらうために送電線に接続しようとするさいに発生する問題として、先ほどから何度も、出力変動対策であるとか系統連系の条件として、あるいは接続申込みに対する回答保留充放電システムの制御といった表現が出てきています。どういうことでしょうか。

 

私が持っていた認識は次のようなものでした。

太陽光パネルによる発電が大きく増えているが、発電した電気を電力会社にすべて買い取ってもらうことの是非と可否について、いろいろ議論があるようだ。技術的な理由だけによるのか、それとも政策ないし独占の弊害が表れているのだろうか」程度のものでして、それ以上に、是非と可否を正確に理解したり、対立する見解それぞれの根拠について真剣に考えることはしていませんでした。

 

電気工学分野の知識にプラスして電力事業の独占政策に関する理解が求められる難しい問題だということで、ちゃんと考えていなかったのです。しかし、リチウムイオン蓄電池の必要性が認められるようになった事情に関わることでもあります。リチウムイオン蓄電池の将来を考えるためにも、ここは一度正しく理解しておきたいと思います。

 

初めに、本題に入る前に、下の表ですが、資源エネルギー庁がまとめている資料「電力各社の再生可能エネルギー発電設備の系統への受入れ状況」をご覧ください。

 内容としては、以下の3つの○印から始まる情報が示されていますが、再生可能エネルギーとして発電された電気を系統に受入れるかどうかの問題が、平成26年10月時点では、北海道電力沖縄電力だけではなく、東北、四国、九州でも2ケタ、あるいは3ケタの数の案件として発生していることを確認しておきたいと思います。 

北海道電力沖縄電力においては、平成25年から再生可能エネルギー発電設備の受入れ困難な状況があること。

○平成26年、一部の電力各社(東北、四国、九州)においても、再生可能エネルギー発電設備の導入量と申込量の合計が春・秋(低負荷期)の電力需要を超過。(北海道、沖縄でも、更に接続が困難な状況に至っている。)

○このため、上記の電力各社は、一定規模以上の再エネ発電設備の接続申込みへの回答を保留すること等を公表。 

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電力各社の再生可能エネルギー発電設備の系統への受入れ状況  出典 経済産業省資源エネルギー庁再生可能エネルギーの状況について」平成26年10月16日

  

これを見ますと、少なくとも春・秋(低負荷期)においては、東京圏や関西圏は含まれていませんが、再生可能エネルギーの発電合計量が社会全体の需要を超過しているようです。日本では再生可能エネルギーによる発電はまだまだ萌芽期レベルかと思い込んでいたので意外な感じです。

 

そして、春・秋の低負荷期、東北、四国、九州の電力各社管内において、再生可能エネルギーの発電合計量が社会全体の需要を超過しているということは、賢明な官民が未来を志向し、知恵を出し合って正しい努力をすれば、夏・冬(高負荷期)においても、社会全体の需要を賄うことのできる再生可能エネルギーを調達できる可能性があることを示しているのではないでしょうか。言うまでもないことですが、このことは化石燃料依存から脱却して脱炭素社会を実現し、地球温暖化を防止して持続可能な社会の形成に大いに近づくことになるのではと思えてくるのです。

 

次に本題に入ります。太陽光発電事業者は電力会社に買い取ってもらわなければいけませんが、どうして電力会社は素直に(喜んで)※太陽光発電による電気を買い取らず、接続申込みに対する回答を保留したり、買い取るための条件として蓄電池併設などを求めるのでしょうか。 

 

 理由は、太陽光パネルや風力で発電した再生可能エネルギーの電力を電力会社の送電線を使って送電するためには、地域における発電量と使用量を常にほぼ同じに保つことが求められるからのようです。しかし、太陽光発電風力発電が天候に左右され、発電量がお天気次第というのは避けがたいことです。

 

そのため、(a)日中の発電量が使用量をオーバーするなどしてこのバランスが崩れると、電気の周波数が乱れたり電圧の変動が生じ、時には大規模な停電になるおそれがあるようです。それに、(b) 太陽光発電風力発電は時として数十秒から数分で突然、出力が大きく変動することがあります。こうした変動する電力が送配電網に大規模に流入すると、やはり電力の品質低下を生じ、周波数変動や電圧変動が大きくなるおそれがあると言われています。

 

ところで、太陽光発電の出力変動は、短い周期と長い周期の2つに分けて言うのが正確かもしれません。再エネが短時間のうちに出力変動を起こし、これにより系統の周波数が影響を受けるのは「短周期問題」です。そして、特に夏場などに好天気が続いて再エネの出力が増え、地域における電力供給がその需要を超えてしまうのは「長周期問題」です。

ほかに、短い周期と長い周期の2つと重なる場合があるかもしれませんが、北海道や沖縄など離島における電力系統の規模が小さいために接続容量が限られることを「熱容量問題」※として区分することもあるようです。

 ※ ある文献では、北海道電力管内は電力系統の規模が約400万kW(キロワット)程度と、他地域より圧倒的に小さい。これは東日本エリアの約11分の1、西日本エリアの約15分の1の規模と紹介されている。陰山遼将・スマートジャパン「北海道で広がる“太陽光×蓄電池”、再エネ普及の活路となるか」2017年04月11日https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1704/11/news031_2.html)。

また、上記の3種類に分ける説明については、金子 憲治「動き出す再エネ併用型「大型蓄電池市場」新市場をリードするTMEICの蓄電池戦略(前半)」2016.02.03参照。

https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/415282/012900004/?P=5

 

そうすると、発電量と使用量を常に同じに保つことが求められ、も両者間のバランスを保てないときは上記したような不都合が生じることが不可避であるなら、考えられる対応策としては、太陽光パネルによる発電あるいは系統への接続を止めるか、そうでなければ何か実効的な対策を講じなければいけません

 

従来から行われてきた対策は、電力会社が所有して管理する火力発電設備を随時操作して発電量と使用量とのバランスを保持してきたということですが、特に東北大震災以降、再生エネルギーの発電量が増え、火力発電による出力調整では間に合わなくなってきたようです。

 

また、電力会社側では、買い取りを行う際、系統の需給バランスが保てないなど一定の条件下では系統接続をストップする出力制御ルールを設けているようです。そして、電力を利用する消費者側では、周波数や電圧に敏感な機器を設置している場合、電気を安定化させる装置を自主的に設けることもあるようです。

 

太陽光パネルによる発電を止めるなどは元も子もないことでできません。かくして、現実的な解決策として登場したのが、たとえば、太陽光発電の中でも、出力が1メガワット(1MW=1,000kW)を超えるメガソーラーと呼ばれる大規模発電システムについて、需要量をオーバーする再生エネルギーを、再生エネルギー発電者側に設置するリチウムイオン蓄電池を使った蓄電システムに一時的に蓄電することでした。

 

メガソーラーの出力変動等に起因する電力の需給バランス確保の必要性については、以上のとおりです。なお、上記はいろんな人の説明を私なりに理解しものですが、前回紹介したサムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」で、畑陽一郎氏が図解して説明しています。

 以下に氏の図解と説明を引用して紹介しておきます。ご覧になっていただくと、出力変動対策であるとか充放電システムの制御が求められるというのは具体的にどのような状況であるのか、正しく理解できると思います。

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図解 徳之島の電力需要と太陽光発電所の関係 出典:九州電力が公開した資料を基に畑氏が一部強調して作成。

若干、補足しますと、徳之島の場合、太陽光発電システムが現状規模であれば、内燃力機(合計10台中3台)の調整で島内需要との差を吸収できる(図2左)。ところが太陽光発電の規模が約7MWに達すると、昼間の約6時間、内燃機力の出力を最低限に絞っても供給が過剰になる(図2右で赤く塗った部分)。これまで徳之島には蓄電設備がなかったため、それだと「島内需要を供給が上回る」右図の赤い時間帯、太陽光発電所の出力を約6時間停止して抑制しなければ調整できない、ということです。(了)

電力電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ 環境エナジータウン直方のための市民目線からの政策選択メモ書き⑩ 2020.6.25

4 個々の環境エナジーについて市民目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池(前回まで)

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム

     ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (前々回)

   ㈡   関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   ( 前回)

   ㈢  電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ (今回)

 

 ㈢ 電力電力会社以外による太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ

ⅰ 変電所の中に国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設があるという記事を読んで、改めて電力会社以外で、太陽光発電パネルを大規模に設置し、併せてリチウムイオン電池の蓄電池施設を設置している例がないかネット検索して調べてみました。そうしましたら“太陽光発電所+大容量蓄電池”などのワード検索で、環境情報サイト「スマートジャパン」はもちろんですが、日経新聞など一般紙にもかなりの情報が掲載されていました。それら記事の掲載日時は早いものだと2014年8月でして、私が不勉強で知らなかっただけです。

 

そして今、“太陽光発電所+大容量蓄電池”などに関する情報に接し、それらの有する意味を検討した現在の地点から振り返ってみますと、“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせが登場した経緯を知らないままに、リチウムイオン電池蓄電池の将来を考えるなんて、保守点検が不備で重大な陥のある飛行機を能天気に離陸させるようなものだと身震いするほどです。そこで今回は初めに、リチウムイオン電池の蓄電池施設が、太陽光発電パネルの拡大に伴い併設されることになった経緯や課題を報じる二つの記事を紹介します。

 

ⅱ 最初に紹介するのは、畑陽一郎・スマートジャパン「サムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」2014年08月14日です。

 畑氏は冒頭で次のように述べています。

エジソンパワーは太陽光発電所向けに出力2MWのリチウムイオン蓄電池を納入すると発表した。事業用向けの太陽光発電所への導入では国内初の事例だという。なぜ導入するのか、売電収益と投資効率を第一に考える事業用発電所で受け入れられるのだろうか。徳之島の事例を紹介する。

 

そして続けて、次のように述べています。一部引用して説明します。

九州電力は2014年7月に「離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について」と題する文書を発表している。徳之島を含む6つの離島(壱岐対馬種子島、徳之島、沖永良部島与論島)では、再生可能エネルギーの系統連系について、接続契約申込みに対する回答を1年程度保留するという内容だ。徳之島は既に約2MWが連系されていて、年間30日の出力抑制を施したとしても現在の運用では累計4.4MWまでしか連系できない。

 そこで、「九州電力に売電する場合は、出力変動を抑えるための蓄電池を導入すれば、電力会社が要求する電力の品質を満たすことができ、全量買い取ってもらえる。接続拒否は起こらないことが分かった」(エジソンパワー社)。

 

出力変動は自然現象である再生可能エネルギーの宿命ともいうべきものですが、その出力変動を抑えて電力会社に接続拒否されないようにするというのが蓄電池を導入する理由だということが分かります。 

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写真(出典:エジソンパワー)はエジソンパワー社木更津工場に設置されている20フィートコンテナ(長さ6.06m)。このコンテナ内に大容量リチウムイオン蓄電池システムが格納されている。コンテナは設置しやすく、用途に応じて出力や容量、構成を調整しやすいが、徳之島にもこれと同じコンテナ方式で納入されるという。蓄電池システムには50kW出力の双方向パワーコンディショナー(直流交流変換器)を含む一式が収められるが、エジソンパワーが徳之島に納入するのは出力2MW、容量1MWhの大型リチウムイオン蓄電池

 

副次的ですが、御船徳之島太陽光発電所に高額な大容量蓄電池を導入できた背景に、コスト計算の理由があったようです。どういうことかというと、御船徳之島太陽光発電所では、エジソンパワー社が設計・調達・建設のEPC事業者として取り組み(epcとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉で、epc事業やepc業務といえば、設計調達建設という3つの工程を一貫して引き受ける事業(業務)を指します)、導入期間全体にわたってコストを管理しやすいことがあったようです。

 

エジソンパワーは次のように述べています。

「電池は設置してからが勝負だと考えている。当社が蓄電池を監視し、メンテナンスを施していく。特に温度管理や過充電・過放電の監視が重要だ。不具合が生じた場合は、セル単位の交換はもちろん、複数のセルをまとめたラック単位の交換を施すことで性能を維持する」

 

加えて、大容量蓄電池について、それまで10年を大きく超える期間を保証した事例はほとんどなかったのに、大容量蓄電池を納品する韓国サムスンSDISamsung SDI)と20年の長期保証に関する合意書を取り交わせたということです。なお、サムスンSDIのリチウムイオン蓄電池セルは正極材料としてマンガン酸リチウムを利用していて、蓄電池の寿命は6000サイクルと発表されています。

 

ⅲ 太陽光発電パネルにリチウムイオン電池の蓄電池施設が併設されていることを報じるもう一つの記事は、陰山遼将・スマートジャパン「北海道で広がる“太陽光×蓄電池”、再エネ普及の活路となるか」2017年04月11日です。

陰山遼将氏は、初めに次のように述べています。

蓄電池を併設したメガソーラーが相次いで稼働を開始している。再生可能エネルギーの課題である出力変動の対策として、蓄電池を活用しようという考えだ。接続可能量の制限や買取価格の下落が続く中で、新しい太陽光発電の運営手法として定着するかに期待がかかる。・・・全国でも特にその動きが広がっているのが北海道だ。2017年4月から蓄電池併設型のメガソーラーが複数稼働を開始した。・・・現在、北海道電力は接続申し込みが400MWを超えた分のメガソーラー案件について、系統連系の条件に蓄電池の併設を求めている。

 

続けて、関心の所在や課題等について次のように説明しています。一部の抜粋になりますが引用します。

 民間事業者が手掛ける案件では道内初となる蓄電池併設のメガソーラー稼働開始は、「日高庫富太陽光発電所」。2017年4月2日から稼働を開始した。翌4月3日からは、大手ゼネコンの大林組が北海道釧路郡釧路町字に建設した「釧路メガソーラー」が稼働を開始した。

太陽光発電に蓄電池を導入するに当たり、カギとなるのが充放電システムの制御。発電量が急増した際には蓄電池に充電し、不足した場合には放電するといった状況に応じた充放電制御をスムーズに行う必要がある。さらに太陽光発電は20年、あるいはそれ以上にわたる長期の事業だ。長期にわたる蓄電池システムの最適な運用と管理、設置容量と設備投資額のコストバランスを考慮したライフサイクルコストの見積りも重要なノウハウになる。

 大林組は蓄電池の併設に当たり、知見を持つ三菱電機GSユアサと協力してシステムの検証を行っている。蓄電池の導入および運用に関するノウハウを蓄積することで、今後需要増が見込まれる蓄電池併設型メガソーラー案件獲得につなげていく方針だ。・・・蓄電池を併設して日中に蓄電した余剰電力を夜間に売電し、少しでも事業収益性を高めるという使い方も注目されている。蓄電池のコストが下がっている点もこうした動きを後押ししている。太陽光発電の健全な普及を後押しする一手となるか、蓄電池の活用ノウハウの蓄積に期待がかかる。

 

簡潔にして大変明快な指摘でして、経緯や関心の所在、そして課題等がよく分かります。(つづく)

大規模蓄電システム⑵ 関西電力の堺太陽光発電所 環境エナジータウン直方の政策選択メモ⑨ 2020.6.22

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

 イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池(前々回まで)

 ハ 大規模蓄電システム

    ㈠  国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (前回)

    ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   ( 今回)

 

  ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)

前回紹介した福島県南相馬市東北電力変電所が、送配電の系統にリチウムイオン電池を組み込む実証実験を行ったのは2016年から行われていますが、それよりもさらに早い2011年9月、関西電力堺市との共同事業(堺市:普及啓発、関西電力:建設・運営)として、大阪湾に面したメガソーラー「堺太陽光発電所」(大阪府堺市西区)において、蓄電池を使った出力安定化を試みる営業運転を開始したと発表していました。 

発電所は大阪湾岸の約21ヘクタールの広大な大阪府有地に位置し、出力は10メガワット(1万キロワット)で、一般家庭約3,000世帯分の電力を賄える量ということです。シャープの薄膜型太陽電池モジュール約7.4万枚で構成されています。なお、平成20年(2008年)9月に平成20年度地域新エネルギー等導入促進対策費補助金の交付決定を受けています。

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営業運転を開始した関西電力堺太陽光発電所 写真を含むその他の情報について、参照日本経済新聞「国内最大メガソーラー、関電が全面稼働」2011/9/7付

上記、関西電力堺市との共同事業は、メガソーラーにおいて、2011年9月から蓄電池を使って出力安定化を試みつつ営業運転を開始していることに驚嘆するのですが、もう一つ、堺市という一自治体が太陽光発電の共同事業者として関与していることにも大いに注目したいと思います。なぜなら、ふるさと直方フォーラムが「環境エナジータウン直方」を提案するときに重視していることと重なる点が多いからです。 

堺市はHPで次のように述べています。 (https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/gomi/ondanka/machinakasolar/megasolar/index.html)

「環境モデル都市」である堺市では、将来にわたって「快適な暮らし」と「まちの賑わい」が持続する低炭素都市『クールシティ・堺』の実現に向けて、この堺太陽光発電所を、まち全体で太陽エネルギーを活用する「まちなかソーラー発電所」事業の重要施策と位置付けて推進してきました。

堺市では、今後も、堺太陽光発電所をフラッグシップ(旗艦)として太陽光発電設備等の導入促進に努め、「まちなかソーラー発電所」の拡大を図っていきます。 

なお、関西電力の研究目的は3つ挙げられていまして、メインは「蓄電池を用いた電力需給システム」を研究することです(正確には、「太陽光の大量導入に対応できる需給制御システムの研究」「需給制御用としての蓄電池の適正評価および寿命評価」、および「太陽光の規模に見合う蓄電池容量の評価」です)。 

さすが、プロとして、的確に問題意識を先取りしていると感じさせられます。と同時に、こうした研究からどのような成果が得られ、そしてその後、それら成果がどのような形で実践的な取組みに生かされているのだろうとの思いを強くします。おそらく研究成果はすでに完成しているのでしょうが、色んな思惑があるのか公表されている研究成果を確認することはできていません。将来、入手することができましたら、検討を加えて私の意見を添えて発表したいと思います。 

なお、この一月前の2011年8月、東京電力は「浮島太陽光発電所」(川崎市川崎区)で7MWのメガソーラーの運転を開始しています。また、2013年だと思われますが、経済産業省が示していた「大型蓄電池の変電所への世界初導入による再エネ受け入れ枠の拡大」という方針に従い、北海道電力は北海道内の変電所に296億円を投じて、合計60MWh程度の蓄電池を設置していたことも付記しておきます。