ふるさと直方フォーラム

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6 脱炭素先行地域の認定といこま市民パワーの飛躍に向けた新しいステージ  2024.3.21

 生駒市は、環境省の「第三次 脱炭素先行地域」に認定されています(2023年4月) 。そして、いこま市民パワーと一般社団法人市民エネルギー生駒は、奈良先端科学技術大学院大学などと共に共同提案者になっています。

 脱炭素先行地域は、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてその他の温室効果ガス排出削減を地域特性に応じて実施する地域です。環境省は、2030年度までに少なくとも100か所以上の脱炭素先行地域において、ゼロカーボンを2050年度までに達成する道筋を示すとしています。

 「脱炭素先行地域」に選定されたことを受け、生駒市は2023年8月、「いこま市民パワー(ICP)」の電力事業を通じたエネルギー地産地消の促進と、複合型コミュニティづくりによる地域の交流拠点づくりを相乗的に組み合わせた、地域の脱炭素化・活性化に取り組むと発表しています。典型的な脱炭素先行地域と比べてかなり複雑で高度な取組みになっているとの印象を受けますが概要は下図のとおりです(環境省HP)。 

生駒市 自治体新電力×コミュニティの力で脱炭素住宅都市を目指す 2023.9

民生部門電力の脱炭素化については次の2つを含む3つが主な取組みです。

 太陽光発電(14,339kW)をPPA事業により導入するとともに、木質バイオマス発電(9,980kW)を増設。「いこま市民パワー」が脱炭素先行地域へ再エネ電力を供給

 ② 系統側蓄電池を導入。系統混雑の緩和や、需給バランス調整に活用し、対象施設へのリアルタイム再エネ100供給を目指す

 なお、上記①のPPA事業は、いこま市民パワーというより、主に市内電機店などがPPA事業者となって特別目的会社を設立して対象エリアの家庭などに太陽光発電や併設型の蓄電池を設置するようです。

 特別目的会社  企業が保有する不動産など特定の資産の流動化、資金調達を目的に設立される会社。SPC法(資産の流動化に関する法律、1998(平成10)年成立施行)にもとづく。通称、SPC(Special Purpose Company)。企業はSPCを設立して自社が保有する資産をSPCに売却。SPCは保有する資産の信用を担保に資金調達を行うが、SPC自体は一般の株式会社のように営利目的の事業活動は行えず、SPCが保有する資産の管理や資金調達などの業務はSPCの親会社などが行うという特徴がある。対象となる保有資産は、収益を発生させるもの、流動化が可能なものであればよく、不動産と不動産の賃料収入、住宅ローンや売掛金太陽光発電なども対象になる。 

特別目的会社(SPC)の設立と市内電気店などによるPPA事業の仕組み 文献③

 初年度の2023年度は、再エネ事業者とICPの連携によって太陽光発電・蓄電池事業の実施主体となる特別目的会社(SPC)を設立し、初期費用やメンテナンス費用がかからないPPA事業モデルを展開するようです。

 そして、太陽光発電によって確保できた電気はいこま市民パワーの供給電源として利用し、電気の需要家である各家庭にICPへと需給契約を切り替えてもらうというものです。図(出所:生駒市)参照。

 この特別目的会社(SPC)の設立とその後のPPA事業が実際どのように運営されるのか、大変興味深いところです。大局的には電気の地産地消を促進すると期待されますし、今後も強い関心をもってこの展開と成果に注目したいと思います。

 取り組み期間は2030年まで。2027年までは国の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を利用できるようです。補助額は事業費の2/3。全事業に係る2023〜2027年度の総事業費は41億5,630万7千円です。             (つづく)