ふるさと直方フォーラム

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環境エナジータウン直方を全国100カ所予定の「脱炭素先行地域」に!        6⃣-03-④-4 脱炭素先行地域の範囲・規模の特定    2022.4.7

  (引き続き、文字の黒色は比山、青色はガイドブック等の文章であることを示しています。ただし、太字は青色を含め比山が重視しているなどを表わしています)

  ガイドブックの「4脱炭素先行地域の範囲・規模の特定」(20頁)を取り上げます。確認事項と評価事項はそれぞれ以下のとおりです。短いものですので、そのまま全文を紹介し、続けて私のコメントを記します。

【確認事項】

  • 各エリアの特性を踏まえつつ、具体的に脱炭素先行地域の範囲を特定すること
  • 施設群の類型に該当するものは、それらの場所を具体的に特定し、エネルギー管理の一元化を検討していること

【評価事項】

  • 公共施設以外の民生部門の施設を幅広に対象とする計画であること

[コメント] 

 1  脱炭素先行地域選定を申請するには、それを漠然とイメージしているだけではダメで、地域の範囲・規模を具体的に特定することが求められます。ただし、「参考」として示されている下図の「脱炭素先行地域の設定のあり方」を見ますと、先行地域の設定は、自治体全域の設定だけでなく、一部地域の設定でもいいとされています。 

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脱炭素先行地域の設定のあり方

 しかし、「地域特性に応じ、温室効果ガス削減の効果及び規模が大きいこと(参照、6⃣-03-④-1-2地域特性に応じた温暖化対策の取組の【評価事項】)、あるいは「脱炭素先行地域の民生部門の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロとするための追加的な再エネ導入量 (新規の再エネ設備の導入量) が大きな計画であること(参照、6⃣-03-④-2再エネポテンシャル等を踏まえた再エネ設備の最大限の導入の【評価事項】) とされていますから、一部地域の設定でもいいと言っても自ずと限界があるように思われます。

 また、自治体内の「複数の地域を設定」することができますし 「複数の地方自治体が連携して地域を設定」することもできます。ただし、ここでいう“連携”が具体的にどういう手続と内容のものを想定しているかは明らかにされていません

 太陽光発電パネルや蓄電池に関連する産業は広範な地理的範囲に多数が立地することで優位性を確保しやすいことに鑑みますと、適切な提案と思います。加えて、再エネ関連製品をリサイクル再利用するための施設や最終的に廃棄するときの処分場の立地も考えますと、複数の自治体が連携して地域を設定する意義は大きいと思います。

 

 2 「施設群の類型に該当するものは、・・・エネルギー管理の一元化を検討していること」が【確認事項】とされています。エネルギー管理の一元化と言えば、たぶん、エネルギーマネジメントシステム(Energy Management System 、EMS)のことだと思います。十分正しく理解できていないかもしれませんが、私の個人的な思考経緯に即して説明します。

 ⑴  EMSとは、一言で説明するなら、住宅用太陽光発電などの普及に伴い、これをIT技術を活かして効果的効率的に統御しようとするものです。1軒1軒の家庭単位でEMSを考えることもできますが、地域を対象に考えることもできます。大手電力会社が地域ブロック単位で中央集中型に電力管理してきたのとは対照的ですが、再生可能エネルギー電源が分散型であることから一元的に管理・統御する必要が発生しています。

 実のところ私は、環境エナジータウン直方の創造を目指すとき、EMSをどう具体化するかがその成否を左右する可能性すらあると考えています。この3年ほど、大阪と東京で開催されているスマートエネルギー展でも、EMSに関係する展示や講演がかなりありましたので、環境エナジータウン直方に最適なEMS像のヒントを得ることを最優先にして学ばせていただきました。

 ⑵  環境エナジータウン直方の創造を考え始めたとき、太陽光発電を家庭単位で普及させることを、FIT(再生エネの固定価格買取制度)を利用しないPPA(電力購入契約)モデルを含めて考えていました。もちろん、工場や事業所の建物や公共施設、加えて、ため池や農地などについても、設置することの是非と可否を考えていました。

 ⑶  しかし、FIT期間が終わると電気の買取価格は急落しますので、各家庭は蓄電池を設置して自家消費することを考えます。もちろん、蓄電池は高価ですし、設置しないで安い価格で売電を続ける家庭も多く残ります。そうしたとき、地域新電力の会社でしょうか、電気の買取や蓄電池の設置、そして比較的有利な料金で売電の勧誘をする訪問販売も現れました。

 ⑷  また、脱炭素社会形成の気運が高まるなかで、V2H(Vehicle to Home。EV(電気自動車)に蓄えられた電力を家庭用に有効活用しようとするシステム)の考え方もしばしば耳にするようになりました

    ⑸  他方、大規模太陽光発電の場合、電力の需給バランスを壊して停電等の障害を招くことがあるので、出力(発電後の送電)を抑制するなどの調整措置を求められていることもニュースで知りました。

 ⑹  そんなとき、スマートエネルギー展で、EMSの概念およびIT(Information Technology、情報技術)とAI(Artificial Intelligence、人工知能)の技術を活用したその導入イメージについて、三菱、日立、東芝NECなど日本のトップ企業の方の講演を聴く機会があり、その先駆性に感動しました。

  3 以上の経緯の中で、小規模な太陽光発電からの電力を束ねる(アグリゲイトする) 再エネアグリゲーターの登場であるとか、一定の広がりのある地域全体を包摂し、大手系統電力との関係で電力需給と発電量を一元的に調整制御するVPP発電所の構想を学びました。

    EMSは1軒1軒の家庭単位でも考えることもできますが、評価事項で「公共施設以外の民生部門の施設を幅広に対象とする計画であること」が要件とされていますから、脱炭素先行地域づくりのプランとしては、上記した地域全体を包摂して地域の発電量と電力需給とを一元的に調整制御できるVPP発電所のような機能を有するものが期待されているのでしょう。

 4 以上のように考えてきていますが、現在のところはまだ、環境エナジータウン直方の創造における最適な「エネルギー管理の一元化」像について、最終的な結論を出すに至っていません。ガイドブックも「エネルギー管理の一元化を検討していること」までしか要求していません。しかし、環境エナジータウン直方の取り組みの成否を最終的に左右する重要なファクターになりうるものと考えています。これからできるかぎりいろんな方と意見交換させていただき、十分に熟慮して皆様にオプションを提示し、最適解を得たいと思います。           (6⃣--03-④5に続く)