ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

“環境エナジータウン直方”を実現する施策やプロジェクトを提案します! 2021.10.10

 ふるさと直方フォーラムは、去年(2020年4月3日と4月4日)、“環境エナジータウン直方の提案”を発表しました。それから1年半近くが経ちました。今日からは、提案を具体化する施策やプロジェクトなどの取組みについてお話ししたいと思います。本論に入る前に、どのような思いから“環境エナジータウン直方”を提案していたのか、再確認します。

1 “環境エナジータウン直方”の提案(2020年4月3日と4月4日)

 ⑴ 初めに、ふるさと直方フォーラムは、街づくりの基本理念として、政府・内閣府の未来委員会が公表していた「未来への選択」に強く賛同し、それを参考にして内発的外部交流型持続的発展モデルを探求したいと述べていました*1「未来への選択」は次のように述べています。

 「従来の地域活性化ではない、新しいコンセプトで取組を推進することが重要である。地域のなかに成長・発展の種を見出して、内発的で持続性があり、外部と交流し、外部の良さを取り込みながら発展していくモデルの構築が目指されるべきである。若者、女性が活躍でき、子どもを産み育てやすく、壮年層や高齢世代の理解や協力があって、外部の新しい視点も取り入れながら、地域の活力を生み出していく。」

  ⑵ また、2018年4月に閣議決定された第五次環境基本計画では、環境省国連が提案している「持続可能な開発目標」(SDGs)の考え方を活用して「地域循環共生圏」を提唱しています。「地域循環共生圏」は農山漁村も都市も活かし、我が国の地域の活力を最大限に発揮しようとする構想ですが、「地域循環共生圏」の創造による持続可能な地域づくりを通じて、環境で地方を元気にするとともに、持続可能な循環共生型社会の構築を目指しています。

 ⑶ そして、この内発的外部交流型持続的発展モデルと「地域循環共生圏」の構想を直方の状況に当てはめ、ふるさと直方フォーラムは次のように考えていました。

「人口減少と高齢化、財政危機、そして持続可能であることに十分留意し、福智山と遠賀川という自然環境に恵まれていること、そして福岡(博多)、北九州や筑豊筑後地区などを結ぶ交通の結節点に位置するという地理的環境にあることを直方の自己アイデンテティとして十分に認識し、これら諸要素をみんなの知恵と工夫で活かしていく」 (目標を実現する基本政策や方針の決定②-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(4)ー2019.9.7)。 

 ⑷ 以上の考え方に、筑豊炭田として官営八幡製鉄所と殖産興業時代を支えてきた伝統も忘れずにたどり着いた答えが、“環境エナジータウン直方” の提案(2020年4月3日と4月4日)でした。すなわち、内発的外部交流型持続的発展モデルの探求が出発点ですが、それに直方の自然と地理的な環境ですとか、伝統も活かしたいとの思いを重ね合わせて考えました。さらに、再生エネルギーの普及拡大により健全な社会経済と脱炭素社会を達成できるとするグリーン・リカバリーの考え方にも強く後押しされています。しっかりとした経済基盤を確立することにより地域社会の健全な未来が切り開かれるとの信念です。このように考えて“環境エナジータウン直方” の提案に至っています。

2 “環境エナジータウン直方” の提案が正しい選択であったことを確信できる状況の進行

 ⑴ 早いものでコロナに振り回され押さえつけられている間に、“環境エナジータウン直方” の提案から1年半あまりの年月が経過しました。この間、“環境エナジータウン直方” の提案が正しい選択であったと確信できる状況が進行しています。つまり、地球温暖化気候変動が原因と思われる干ばつ山火事などの被害が世界各地で続発しています。わが国でもここ数年、記録的豪雨による洪水や土砂崩れの災害が相次ぎ、私たちの暮らしと生命・財産が大きく脅かされるようになっています。地球温暖化気候変動・そして異常気象による脅威はすでに破壊的な段階に入ったとの見方がありますが、もしかするとそうかもしれないと不安になる状況になっています。 

 ⑵ かくして、2016年11月のパリ協定が契機でしたが、今日ようやく世界が一丸となって、炭素排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル」目標に取り組み始めています。カーボンニュートラルをリードするEUだけでなく、民主主義という点では問題の多い中国ですら、習主席は昨年9月の国連総会で2060年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指すと宣言しました(10月14日追記。2021年10月13、ロシアのプーチン大統領も2060年までに「カーボンニュートラル」の実現を目指すと表明したようです。モスクワで開かれたエネルギー関連会議での発言ですし、実現されるか信頼性は必ずしも高くないとは思いますが。)。もちろん、バイデン政権になって米国もパリ協定に復帰してグリーン・リカバリーの姿勢を明らかにしています※1。 

  ※1 「太陽光で4割の需要まかなう 米政権2035年試算、3%から急拡大」(産経新聞ワシントン=塩原永久2021/09/09 )は以下のように報じています。

   バイデン政権は気候変動を「存亡の危機」と位置づけ、脱炭素社会の実現を重要課題としている。バイデン米政権(エネルギー省)が2021年9月8日公表した太陽光発電に関する研究報告書は太陽光への投資拡大や政策支援、技術革新の進展を前提とした試算を行い、脱炭素化へ官民が大胆な取り組みを進めれば、太陽光の電力構成比が35年に37~42%、50年に44~45%まで伸びるとした。同省のグランホルム長官は「(35年までに)太陽光が全米すべての家庭の電気を作り、150万人もの雇用を生み出せる」と利点を強調した。

   必要となる追加支出は20~50年に2250億ドルと試算。電気自動車(EV)普及による運輸部門の電気化など、政権が表明した政策を合わせると最大5620億ドルに達する。ただし、自然災害や健康被害を減少させて最大1兆7千億ドルのコスト減につながり、「(経済的恩恵は)追加費用を上回る」と説明している。 

 ⑶ わが国も昨年、菅政権は温室効果ガスの排出量「2050年実質ゼロ」を宣言し、2030年度の排出削減目標を46%(13年度比)とするなど、安倍前政権時代の「26%減」から大きく引き上げました。そして、経済産業省が昨年7月に公表した新しいエネルギー基本計画の原案では、再エネを「主力電源」と位置づけ、総発電量に占める2030年度の再生エネ比率を、現行の「22~24%」から「36~38%」へと引き上げる目標を示しています。また、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2020年12月)が策定され、車載電池とともに家庭に設置するタイプの定置用蓄電池(家庭用蓄電池)の普及が明記されています。

 ⑷パリ協定以前からの自民党政権の消極さや諸外国の対応の速さと比べると、どうしても風見鳥的な対応である感はいなめませんが、それでも日本という国のレベルでサステナビリティの視点から「2050年実質ゼロ」を宣言し、再エネを明確に「主力電源」と位置づけ、グリーン成長戦略を打ち出したことは長く歴史に刻まれると思います。

3 “環境エナジータウン直方”の実現に向けて取り組む施策や事業プロジェクトの提案

 ⑴ 今日からは、“環境エナジータウン直方”の実現に向けて取り組む施策や事業プロジェクトの提案を試みたいと思います。“環境エナジータウン直方” の提案はいわばスローガン的な目標でしたので、今日からはそれを実現する方策について考えます。検討する項目としては、環境エナジータウンの内訳というかこれを構成する具体的な施設などに着目し、それぞれについて、重要な役割を果たす主体ですとか、施設を設置する場所、推進する方策や課題を取り上げます。 

 ⑵ 現在のところ、大きくは以下の1⃣~3⃣の3つの章立てを考えています。しかし、環境エナジー分野は日々新しいニュースが出てきていますので、追加、変更や削除、その他かなりの訂正をするかもしれません。そして、コロナの不安もなんとか収まりそうですし、年内に書き終え、来春は2年ぶりに直方に行き、“環境エナジータウン直方” に関心を持っていただける方とお会いして意見交換させていただき、実現に向かって進みたいと思っています。また、どなたからも感想やご意見をお聞かせください。

 

 1⃣ 太陽光発電システムと蓄電池をセットで設備する

      1 住宅・市内事業所とPPAモデルの採用

   2 「促進地域」を推進する市役所

   3 地域新電力と「地産地消型VPP事業」のスタート     アグリゲーターの登場、

              低圧VPPプラットフォームの導入を経由するVPPの確立

   2⃣ 環境エナジータウンの関連事業

  1 環境価値を重視するRE100企業の進出誘致

       2 太陽光発電パネルやバッテリーメーカーの進出誘致

  3 市内事業所による太陽光パネルや蓄電池のリユース・リサイクル・廃棄物処理

            などへの取組みや事業転換の誘導

 3⃣ 水素自動車と水素ガス社会の到来を見据えた施策の展開

*1:2019年6月24日