ふるさと直方フォーラム

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リチウムイオン電池のまとめと考察 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑭ 2020.7.27

以下の下線は消すことができないため残っています。無視してください。

 

4 個々の環境エナジーについて一般市民目線からの政策選択メモ 

 (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池  (①,②、③、④、⑤)

   ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池   (⑥,⑦)

 ハ 大規模蓄電システム 

  ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (⑧)

  ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   (⑨)

  ㈢ 電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ   (⑩、⑫)

  ㈣ 太陽光発電など再生可能エネルギーからの接続申込を回答保留する理由(⑪)

  ㈤ 海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化 (⑬)

 ニ 車載用or大規模蓄電システム ?  限りなく広がるリチウムイオン電池の用途 (⑬-2) 

 ホ まとめと考察  (今回⑭、次回⑮、次々回⑯)

 

 ホ まとめと考察

 リチウムイオン電池の利用状況などについて、以上4月21日付け①から7月15日付け⑬の13回にわたり検討してきました。毎回、取り上げるテーマについて、それなりの理解ができたと思い、出典等を確認して原稿を書き始めようとするのですが、ほとんどその都度、出典等を確認する最中にまだ読んでいない新しい記事や文献に出くわしました。

 そして、暫し、それらを読み終えるのに時間を費やしますし、紹介されているいろんな事実が環境エナジーの発展においてどんな意味を有するかですとか、環境エナジー全体の展望、さらには“環境エナジータウン直方”との交錯のありようですとかを、素人かつ凡人の頭で考えているうちに、すぐに一日どころか一週間が経ち、そして、7月も早や後半に入ってしまいました。 

 それでも3か月あまり13回をかけて、リチウムイオン電池について、まずは現在の利用状況を知り、そこから将来のニーズを予測し、直方が“環境エナジータウン”を志向するときのヒントを得るという目的で、ひととおり検討してきました。

 そこで、小括として、これまでの記事を簡潔に見直し、「まとめ」ておきたいと思います。また、「まとめ」るなかで改めて気付いたことを、後に「考察」として述べたいと思います。

 これまでの目次は上記のとおりです(以前、4-⑴-ニ 「リチウムイオン電池の未来」としていましたが間違っていました。上記のとおり訂正します。)。

 

 Ⅰ まとめ 

 2020.4.21付け①は、吉野彰さんがリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞されたことをきっかけにリチウムイオン電池について関心を抱くようになったこと、そして、吉野さんが「環境・経済性・利便性のバランスがとれたリチウムイオン電池は電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電に広く普及し、持続可能な未来社会づくりにおいて中心となる重要な役割を果たすと言われていることの正しさを、次回以降、市民目線で検討したいと述べています。

 

 より具体的には、リチウムイオン電池が成長したのは小型民生用で、そのきっかけになったのがいわゆるIT変革です。つまり、これまでは「リチウムイオン電池=IT」だったわけです。しかし、これからは車載用や大規模蓄電システムのような、次のマーケットに向かって進んでいるわけです。」という吉野さんの見方が、大変おこがましい言い方になりますが、検証させていただくという私の出発点を明らかにしています。

 

 2020.4.29付けから2020.5.9⑤は車載用リチウム電池についてです。

 ②は、車載用リチウム電池の具体例として、動力源にリチウムイオン電池を使用する電気自動車(EV)の今後の動向を素人なりに占ってみると述べ、次回③以降に着目する項目を目次として示しています。 

 2020.4.30付けは、 EVの成長性を左右する主な要因について、走行距離(航続距離)、充電時間の長さや価格面から検討し、EVの将来的な成長性を肯定しました。 

 2020.5.3付けの④と2020.5.9付けの⑤は、EU、中国、そして米国における自動車からのCO2排出規制概要と2019年中に開催されたジュネーブ国際自動車ショーや東京モーターショーにおける展示、および、国土交通省経済産業省が公表している「EV/PHV普及の現状」(2019年3月)を紹介し、世界の自動車メーカーの大勢は、米国における対立はあるものの、次世代自動車のエネルギーとして、CO2フリーなリチウムイオン電池が中心になるEV車の供給量を増やす方向に向けて大きく舵を切ったと言えそうであると述べました。

 

 ②から⑤に関連して補足します。

 つい先日ですが、日産が来年2021年の中頃に「アリア」を発売見込みと発表しました。航続可能距離はたしか500km強で、価格もテスラより50万以上安く設定するとしていたようですので500万円を切る可能性があるかもしれません。EVで有名なテスラの株価が急上昇し、時価総額トヨタを抜き自動車メーカーで世界首位となったとのニュースもありますので、併せて日産がEVで回復することを期待したくなります。

 

 それと、2020.4.30付けのでは触れていませんでしたが、私の個人的な感覚を追記しておきたいと思います。それは、EVの走行時の静かさです。プリウスプラグイン・ハイブリッド(PHV)に乗っていますが、1日で60キロくらい以上を走ると電池がなくなり、自動的にガソリンで走ります。電池からガソリンへの切り替わりはディスプレイを見れば分かりますが、私の場合、小さなエンジン音がするとガソリンに切り替わったなとすぐに感じています。  

 そして、私の個人的な受け止め方かもしれませんが、このエンジン音で、小さい音ですが世間の喧騒に引き戻される感じがするのです。逆に言うと、小さなエンジン音がするまでの、電池で走っているときの静けさというか滑らかさは、ゆったりとした気持ちでハンドルを握ることができる感じです。自宅で充電でき、ガソリンスタンドには1年に1度位しか行かなくていいことも関係していると思いますが、もう少々のことではEVからガソリン車に戻ることはできないと感じています。

 

 2020.5.10付けの⑥と2020.5.11付けの⑦は、家庭などに固定し、夜間や防災用の電源として利用できる固定式リチウムイオン電池を取り上げました。そして、リチウムイオン電池が量産化されるようになって、たとえば50万円以下で設置できるようになれば、太陽光パネルを設置する家庭を中心に、固定式リチ池を使って蓄電し、自家消費するスタイルが全国的に大きく普及すると思われると述べました。

 

 2020.5.12付けの⑧は、大規模蓄電システムの一例として、福島県南相馬市にある東北電力の変電所にあって、国内最大規模109万個のリチウムイオン電池を使い、2016年から実証実験が行われていることを取り上げています。そして、「送配電の系統にリチウムイオン電池を組み込むことは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの拡大に重要な意義がある」との専門家の意見を紹介しています。 

 

 2020.6.22付けの⑨は、福島県南相馬市東北電力変電所における上記⑧の実証実験よりもさらに早い2011年9月、関西電力堺市との共同事業として、大阪湾に面したメガソーラー「堺太陽光発電所」(大阪府堺市西区)において、蓄電池を使った出力安定化を試みる営業運転を開始したと発表したことを取り上げました。

 特に、堺市という一自治体が共同事業者として関与していることは、ふるさと直方フォーラムが「環境エナジータウン直方」を提案するときに重視していることと重なる点が多く、大いに注目したいと述べています。

 

※補遺   

自治体が発電や送配電の共同事業者として関与する新しい情報に接しました。赤字に変更している箇所に注目したいと思います。

東急不動産、北海道で風力発電+蓄電池を活用したマイクログリッド構築に着手」(2020年07月20日掲載)の記事です。北海道松前町と東急不動産(東京都渋谷区)は7月17日、経済産業省の補助事業の採択を受け、東急不動産が松前町に保有する風力発電設備と蓄電池設備を活用し、平常時から電力の調整を行いつつ、災害等の大規模停電時には自立した電力供給が可能な地域マイクログリッド構築に向けたマスタープラン作成事業に着手したというものです。また将来は、松前町で消費される電力の100%を再生可能エネルギー由来とすることも検討するということです。

 

2020.6.25付けの⑩は、リチウムイオン電池の蓄電池施設が、太陽光発電パネルの拡大に伴い併設されることになった経緯や課題を報じる二つの記事を紹介し、蓄電池導入の理由は、再生可能エネルギーの宿命ともいうべき出力変動を抑えて電力会社に接続拒否されないようにするためであったと述べています。

 また、パワーコンディショナー(直流交流変換器)を含む蓄電池システムについて、エジソンパワー社や 韓国のサムスンSDISamsung SDIが担当していることを知りました。さらに、蓄電池導入に当たり充放電システムの制御や20年以上の長期事業になる太陽光発電と蓄電池システムの最適な運用と管理が現実的に重要な課題となること、このことに関連して、大林組蓄電池の併設を担当し、知見を持つ三菱電機GSユアサと協力してシステムの検証を行っていることを知りました。

 

 2020.7.1付けの⑪は、再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留したり、買い取るための条件として蓄電池併設などを求めるのは、地域における発電量と使用量を常にほぼ同じに保つことが求められること、日中の発電量が使用量をオーバーしてこのバランスが崩れると、電気の周波数が乱れたり電圧の変動が生じ、時には大規模な停電になる不都合があるためであることを確認しました。 

 

2020.7.7付のは、電力会社以外による太陽光発電所+大容量蓄電池”について、重要な情報2つを補足しました。一つは、蓄電池併設型大規模太陽光発電所(メガソーラー)が国内最大級の規模で営業運転を開始したという記事です。

 なお、大容量リチウムイオン電池を系統連系の条件として併設するのではなく、高圧業務用電気の基本料金が500kWを境に大きく変わるため、消費電力を500kW未満に抑える方策として、200kW程度の蓄電池を導入する例を補遺として取り上げています。

 

2020.7.15付のは、海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化しているとの現地レポート記事を、世界レベルでの今後の動向を強く示唆するものとして紹介しました。

 

 ※補遺   米国の発電設備における脱炭素化に向けた動きに関する情報を一つ、追加しておきます。

 11月大統領選挙における民主党候補、バイデン氏は7月14日、モダンで持続可能なインフラと公平なクリーンエネルギーの未来を構築するための計画を発表し、計画の主な要素の一つとして2035年までに二酸化炭素を排出しない電力部門の実現(Achieve a Carbon Pollution-Free Power Sector by 2035)」という目標を掲げています(https://joebiden.com/climate/)

 地球温暖化を防止し、今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑えることを目標とするパリ協定からの脱退を決定したトランプ大統領は最近も環境アセスメント実施に関して抑制的な施策を発表していますが、バイデン氏は各種世論調査10%あまりのリードを伝えられており、当選すれば上記公約を実施する可能性は高いと予想されます。参照、ジェトロ海外調査企画ビジネス短信・バイデン米民主党大統領候補、環境インフラ政策を発表 2020年07月17日 

 (⑮へと続きます)