ふるさと直方フォーラム

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Cocoテラスたがわ: 地域新電力としての志は指定管理者やPFIで満足する程度のものか!?  その4 2023.12.18

6 Coco テラスたがわの「今後のビジョン」

 Coco テラスたがわは、「今後のビジョン」として、「環境、エネルギー、産業、福祉、観光、災害対応など田川市が抱える様々な課題をワンストップで解決できるオンリーワン企業を目指す」と述べています(中川・地域経営②③⑬はこの立場か)。

 ワンストップ窓口は流行ですが、法規により定められている複数の責任と権限を単に一カ所に集中して処理すれば問題が解決されるというものではありません。そうではなく、市民の負担を最小限にするために、権限と責任を有する担当部局が適切に連携して取り組もうとするものと理解すべきです。

 つまり、上記「 」で、環境、エネルギー以外の「産業、福祉、観光、災害対応など田川市が抱える様々な課題」については、行政責任論の視点から、明確にされている組織編制と事務分掌のもとで、事務処理の権限と責任を有している市役所内の部課がそのための予算措置をしっかり手当して実施すべきものです。地域外のコンサルが主導する民間企業に丸投げして済むものではありません(中川・同上地域経営②③⑬、特に⑬が示す理解とは異なることになります)。

 視点は違いますが、環境とエネルギー以外の課題に対して取り組むのは、やはり地元の人間でなければだめだと思います。地域外の人から指示されて行動するというのであれば、それは地方分権時代以前の機関委任事務時代に中央省庁から通達等で指示されていたのと同じことになります。霞が関統治による機関委任事務時代が20世紀末、地方における財政と地方自治の崩壊で終わり、地方分権への真摯な取組みを余儀なくされた経緯を忘れてはいけません。

 要するに、地域外の専門コンサルが、地域新電力設立や運営の根幹に関する事柄にまで介入して決定的な影響を及ぼしたり、「行政マネジメント」の担い手としての有用性を高めて「地域経営」を主導する(同上⑬参照)ことには大きな疑問を感じます。

 地域外からの専門家に支払う報酬に相当する金額が地域外に流出するからということもありますが、一番の理由は、地産地消と地方創生といった地域の大きな課題に取り組むのは、やはり自分事として腹を据えて取り組む覚悟のある地元の人間でなければならないと確信するからです。

 失敗しても逃げ場のない人間こそが、子や孫の未来のために、電気の需要家になりうる地域の人々に、地産と地消の仕組みづくりの意義を説き、理解して参加してくれるよう根気強く説得できると思うのです。極論すると、そんな覚悟のある地元の人間がいなければ、外部からいくら立派な考え方や資金が投入されても、本当の成果を出すことは難しいと思います。

7 まとめ

 Coco テラスたがわについて、厳しい評価をしてしまいました。

 厳しい評価をすることになった理由を考えてみるのですが、最大の理由は、地域新電力を設立するのは何のためであるかを、Coco テラスたがわの設立当初に関係者がしっかりと確認していなかったからだと思います。

 あるいは、地産地消という大きな目標を目指すべきことは知っていたが、その実現困難性を予想したので、あえてその道を探求することはしないで、【ポイント】と「事業目的・ビジョン」に掲げる不明瞭な道を進むことにしたのかもしれません。そして、卸で仕入れた電気を公共施設などの需要家に供給・小売りして、あるかないか不明な差額という利ザヤを確保することでCoco テラスたがわを設立した目標を達成できたと考えていたのかもしれません。

 そこで、もう一度ここでお尋ねしておきたいのですが、持続可能な地域社会の基盤を確立したいとの希望はなかったのでしょうか。けしてそうではないと思います。地域に潜在する再生可能エネルギーに着目し、地産地消の仕組みを工夫することにより、市民生活と事業活動に不可欠な電気料金という経済が地域内を循環することが可能になる、そして、地域新電力はそのために有用であるとの判断もあって自治体新電力を設立しようとした動機もあったはずです。

 現に、2020年1月から「一般家庭・店舗・小規模事業者向け電力供給サービスを開始」(Coco テラスたがわのHP)と発表しています。しかも、そのための「電力供給は、提携先であるミツウロコグリーンエネルギーからとなります」としていますから、そこでは再エネの地産地消をスタートできていることになります。このことを【ポイント】と「事業目的・ビジョン」でも再確認して明記し、再エネ電源を開発すると共に、一般家庭や店舗など向けの電力供給・地消サービスを大きく発展させていくことが期待されます。

 Coco テラスたがわがその歩みを始めるとき、同じ筑豊地区の直方に住む者として私たちもCoco テラスたがわと連携させていただいて、未来の世代のためにも、共に取り組む活動が見つかると信じます。       以上

 P.S. 

 ご意見や感想をお寄せください。事実誤認はもちろんですが、考え方や評価の異なることがあると思います。地域の持続可能な発展を願う立場からのものについては、一生懸命に考えて返信させていただきます。