ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

4⑷ 自治体も出資する「自治体新電力」の設立と環境エナジータウンを目指す立場からの評価  2023.10.8

ⅰ 以前、2で、「PPA企業と連携し、市民の取組みにより環境エナジータウンを目指すムードを高めます。そして、市役所や農協など公的機関の賛同を得て太陽光発電システムを、市内の公共施設、小中学校、体育館、駐車場、ため池、耕作放棄地を含む農地に設置します。」と述べました。

また、「多くの市民や事業所に参加してもらう誘引方法として、卒FITや余剰の電気の電気を買い取ったり、それらを地元の企業に売る、地域新電力事業をスタートさせる」、そして「可能ならNPO的な組織とは別に、直方市にも出資してもらい、「自治体新電力」の形態をとることが望ましいことは間違いないと思われます」と述べました。

上記は、環境エナジータウンを目指すふるさと直方フォーラムの視点から見た自治体当局(直方市役所) に期待される取組みです。今日は視点を変え、自治体当局自身の主体的な選択という関心とテーマで、地域新電力事業、特に自治体が出資する「自治体新電力」について、若干の整理と検討を試みたいと思います。

ⅱ ドイツでは自治体が、電気やガスの供給、水道、路面電車やバスなどの交通、通信など、住民の生活に直結する多様な事業を行う「シュタットベルケ」(STADT WERKE、都市公社。英語では public utilities公益企業)と呼ばれるものがかなり一般的にあるようです。

専門的な論文(IEEJ「ドイツのシュタットベルケから日本は何を学ぶべきか」、「ドイツ・シュタットベルケの現地ヒアリング調査報告」など、webから検索できます)によると、ドイツでは1500前後のシュタットベルケがあります。出資から見ると、自治体が100%出資しているもの、他の自治体あるいは民間企業等と共同で運営しているもの、株式会社として上場しているものがあるとされています。

 公共性と効率の両方をにらみながら住民サービスを遂行するというのは、大変素晴らしいことですが、言うほどに容易なことではないでしょう。ですから、ドイツにおいてシュタットベルケが果たしているような多様な機能を、東京や大阪などの巨大都市ならともかく、日本の普通の自治体が見倣って実行することを期待するのは現実的でないように思います。

ただし、「ローカルエナジー」 (鳥取県米子市) といこま市民パワー株式会社(奈良県生駒市)は、生活総合支援事業としての「日本版シュタットベルケモデル」の構築を目指すなどとして一定の成果を上げているようです(後述)。

ⅲ 次に、環境省HPから閲覧できる「地域新電力事例集」(2021年3月、環境省大臣官房環境計画課地域循環共生圏推進室) の中から、福岡県内の3つの自治体(みやま市田川市市、事例集に掲載されてはいない北九州市)と、上記した「シュタットベルケモデル」を参考にしている自治体(米子市生駒市)を取り上げて紹介します。注目している点は、出資者、市民参加の有無、地産地消に関する具体的取組などの特徴的な活動です。

「地域新電力事例集」(2021年3月、環境省)