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Cocoテラスたがわ: 地域新電力としての志は指定管理者やPFIで満足する程度のものか!? その2 2023.12.16

4 Cocoテラスたがわの活動状況成果

 再生可能エネルギーに着目して地産地消を実現することは、脱炭素社会を形成し、エネルギーの安全保障にも資するだけでなく、経済の地域内循環を生みだし持続する地域社会を創る確実な一歩になると言われています。このとき、地域新電力は有効な手段になる可能性を秘めていると考えています。

 以下では、Cocoテラスたがわの活動状況と成果を、地産地消やCocoテラスたがわの出資者および経営責任者に着目して検討し、参考にすべきことを学びます。

 ⅰ 地域新電力としてのCocoテラスたがわを設立した目的は明記されていません。   【ポイント】で示されている「地域内資金循環を促進するほか、地域産業の振興を図っている」ことが目的かと思われますが、ハッキリと明記されていません。

 そこで、「事業目的・ビジョン」で示されている「地域新電力事業で得られる収益を活用して公共施設等における省エネルギー化の推進など環境関連施策の展開を図るとともに地域活性化に繋げる」と結びつけて推測します。

 そうすると、地域新電力を設立する目的としては、一般的には“地産地消を実現して地域内の経済循環を達成する”などと考えられていますが、上記した「事業目的・ビジョン」は地域内の経済循環について言及していません。【ポイント】の「地域産業の振興を図っている」と「事業目的・ビジョン」で示されている「地域活性化に繋げる」との間に明確な関連性が認められるだけです。

 そして、産業振興や地域活性化についてはこれまでも多くの施策が実施されてきていますが、それら施策が地産地消や地域内の経済循環と結びつけて考えられたことはないと思います。少なくとも環境省が所管する地域新電力による地域脱炭素化推進のための施策との直接的なつながりを産業振興や地域活性化に見出すことはできません。

 

 ⅱ そこで、Coco テラスたがわは“地産地消を実現して地域内の経済循環を達成する”ことについてどのように考えていたのか検討します。

 すると、Coco テラスたがわが実際に行ってきたメインは、JEPX(Japan Electric Power Exchange、日本卸電力取引所)で調達した電気を市内の公共施設に供給することです。そうすると、JEPXで電気を調達するということは、そのために使った金額がJEPXを経由して地域外に流出することになります。

 すなわち、実際に行ってきた活動という点から見ると、Coco テラスたがわは設立当初から“地産地消を実現して地域内の経済循環を達成する”ことを目標とすることはなく、電気の小売り事業に参入していただけです。

 こうした活動の背景にある考え方を理解するために、中川・地域経営①が「自治体新電力の主業である小売電気事業の電力需給管理業務は外部委託可能で、初期投資・ 資産保有がほぼ不要であること、また、公共施設を主たる顧客としていることから、事業のリスクが低い。これにより事業として始めやすく行政内の意思決定も図りやすいものとなっている。」と述べていることが参考になります。

 地域新電力としての活動をスタートする最初のうちはそれもやむをえないかもしれませんが、電源、それも再エネを地域内に求める見通しを示し、そのための努力をスタートしないと地産地消は永遠に達成されません。

 ⅲ 「事業目的・ビジョン」で示されている「地域新電力事業で得られる収益を活用して公共施設等における省エネルギー化の推進など環境関連施策の展開を図るとともに地域活性化に繋げる」を、もう少し詳しく見てみます。

 CocoテラスたがわはJEPXなどから調達した電気を主に市内の公共施設に供給しています。そして、調達と供給(=販売)するときの差額を地域新電力の収益として計上し、その収益を「省エネルギー化の推進」や「地域活性化に繫げる」(「事業目的・ビジョン」)としています。

 この「地域活性化に繫げる」ことと「地産地消を達成することによる地域内経済循環の実現」にどれだけの違いがあるか、正確に数値に表して言うことはでませんが、地域活性化は地域内経済循環と比べて随分範囲が広く漠然としていることは明らかです。

 ※1 上記の調達と供給(=販売)するときの差額などについて、具体的に以下のような試算を示す報道がありました(ふく経ニュース  2017年7月18日、「地域電力会社「Cocoテラスたがわ」を設立 田川市」) 

   (電力の)供給先は田川市内の公共施設(約40〜50カ所)。同社の電力に切り替えることで電力使用料が年間およそ470万円削減されるほか、収益となる調達分に値する料金と供給価格の差額が約600万円になると見込まれており、新たに年間約1000万円を市の財源に充てることができる。

 ⅳ 再エネの地産地消を重視する立場からすると、小売り電力事業から収益が出たなら、その収益はなによりもまずは再エネ電源を拡充することや地域内の契約電力需要家を増やすための普及広報活動に用いるべきでしょう。そして、この作業を粘り強く繰り返して再エネ電源から得られる電力で地域内の電力需要を少しずつでも賄うことができるようになれば、できるようになった範囲で再エネ電力を売買する電気代という形で、地域内の経済の循環が始まることになります。

 ⅴ 電源構成に関係して地域新電力事例集では、Cocoテラスたがわは地域の再生可能エネルギー発電所との契約について「現在検討中」としています。また、「市内における再エネ発電の可能性について調査検討し、事業実施に向けた準備を行う」や「卒FIT対応が不十分であり、・・・家庭向けの小売・買取に対応したシステム拡充や体制構築が必要」であるとの予定や認識を述べています。したがって、少なくとも2021年3月時点では地産の再生可能エネルギーの電源はないと思われます。 

 ⅵ 地消については、「主に市の公共施設及び地域の民間企業」に4,446MWhの電気を供給しています(2018年度実績)。なお、新電力PPSポータルサイトに掲載されている「自治体出資の新電力一覧表」(2018年12月21日時点)でも、小売りの対象としての「一般家庭:未定」とされています。

  ※ ただし、2020年1月から「一般家庭・店舗・小規模事業者向け電力供給サービスを開始」と発表しています。しかも、そのための「電力供給は、提携先であるミツウロコグリーンエネルギーからとなります」としていますので、その限りでは再エネの地産地消をスタートできたことになります。今後、一般家庭など向け再エネの電力供給・地消サービスが大きく発展していくことが期待されます。

 ⅶ 市内の公共施設等に4,446MWhの電気を供給した(2018年度実績)以外に、地域の民間企業に対する省エネ診断を実施するなどとしていますが、それらは地域新電力事業で得られた収益の活用と呼ぶに値するほどのものか不明です。なお、環境省の脱炭素先行地域には第4回まで選定されていません。 

 なお、外部評価された表彰として、環境省の「平成30年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」と「2019年度(令和元年) 再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業」という環境省の二つの補助事業に採択されています。これは活動の成果が表彰されたというより、補助事業を実施する体制作りがある程度できていることに対する期待の表れであって、成果をあげたことに対する褒賞ではないように思います。

 ⅷ 「地域新電力事業で得られた収益の活用」に関係して、公共施設等への電力供給による「電力コスト削減に貢献」としていますが、具体的な削減金額は分かりません。

 むしろ、Cocoテラスたがわは年間約1000万円の収益を見込んでいたようですが(上記ⅲの※1参照)、ロシアのウクライナ侵略による石油やガスなどの燃料高騰があってからはJEPXで電気を調達する仕入れコストが急上昇し、電気小売事業から撤退する地域新電力が続発しているほどの状況ですから心配です。ただし、中川・地域経営⑥は一般論ながらそうした心配を否定する趣旨のようです。

  (※  「5 Cocoテラスたがわの出資者と経営責任者」に続きます)