ふるさと直方フォーラム

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海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化している! 環境エナジータウン直方創造のための市民目線の政策選択メモ書き⑬ 2020.7.15

4 個々の環境エナジーについて一般人目線で政策選択に役立てたいメモリチウムイオン電池

 (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム 

       ㈠ 国内最大規模109万個リチウムイオン電池による蓄電池施設  

    ㈡ 関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   

   ㈢   電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ    (前々回)

   ㈣  太陽光発電など再生可能エネルギーの接続申込みを回答保留する理由     (前回) 

       ㈤ 海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化(今回)

 

㈤  海外(ハワイ・アメリカ本土・英国・ドイツ)でも“太陽光発電所+大容量蓄電池”の導入が本格化(今回)

 “太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせで情報検索などしていますと、ハワイと米国本土、そして英国やドイツでも、蓄電池を大規模に導入しているとの現地レポート記事を見かけました。世界レベルでの今後の動向を強く示唆しているように思われますので適宜一部抜粋して紹介します (抜粋であることを示すため、文字を青色にしています。ただし、太字・赤字は筆者が強調するためにしています。また、文意を損なわい範囲で修正して引用している箇所もあります)。

①Junko Movellan、ハワイ「再エネ100%」に向け、「メガソーラー+蓄電池」続々 太陽光急増による需給のミスマッチを解消へ 日経BP 2020/06/08

ハワイ電力工業(Hawaiian Electric Industries)は、昨年末に公募した入札の結果、16の「メガソーラー(大規模太陽光発電)+蓄電池」プロジェクトと、太陽光と併設しない「単設(スタンドアローン)」のエネルギー貯蔵プロジェクトを選択した、と発表した。これらのプロジェクトが完成し、稼働を始めると、ハワイ州における太陽光発電の発電量を50%以上増加させることになるという。

ハワイ州は、石油への依存から脱却するために、米国本土に先立って、「再エネ100%」を最初に掲げた州である。2018年末で、同州の再エネによる電力供給は28%に達していて、同州の中間目標である「2020年末までに再エネ30%」は、ほぼ確実と言える。米国全体の電源構成で太陽光発電の占める割合はわずか2.3%なのに対して、ハワイ州では何と10.2%と4倍以上の構成比になっている。

さらに、太陽光発電の急速な大量導入により、同州の場所によっては太陽光の発電量が昼間の最小電力需要を上回り、系統運用に問題が生じてしまった。同州の電力需要のピーク時間帯が夕方5時~夜10時になる一方、太陽光の出力は昼間がピークになる。需要と太陽光発電の供給量との間に、ミスマッチが起こってしまった。そこでハワイ州では、メガソーラーに蓄電池を併設することで、これらの問題・課題を軽減し、「再エネ100%」転換に向け、再エネ導入加速・化石燃料の消費削減に取り組んでいる。 

一方、落札された「単設エネルギー貯蔵プロジェクト」の中で最大規模となる案件は、「カポレイ・エネルギー貯蔵」で、リチウムイオン蓄電池が使用される予定で、グリッド(系統)の信頼性を高める。

 

 ②バッテリーが変える米発電産業の未来

 2020年2月27日  日経ビジネス2020年3月2日号 96~97ページより

米国で、太陽光発電事業者が電池(バッテリー)を導入する動きが相次いでいる。年内にも2倍の4800メガワット(MW)に達し、2025年までに3万2000MWを上回るとの試算がある。ソーラーパネルなどの価格低下と税制優遇策、規制緩和が投資拡大を促す。

投資の波が押し寄せて、大規模なバッテリーパックを備える太陽光発電設備の建設が米国の各地で進んでいる。日中に発電した電気の余剰分を蓄えておき、人々が帰宅して電灯や家電、エアコンを使用する夜間に電力を供給することができる。

こうした「太陽光発電+バッテリー」のプロジェクトに多額の資金を投じているのはファンドマネジャー、電力生産者、電力会社のほか、大量のエネルギーを消費するテック企業などだ。このような投資が、再生可能エネルギーによる発電に急拡大の道を開いている。

カリフォルニアからフロリダに至る米国の各州において、太陽光発電とバッテリーを併せ持つ設備の計画が次々と発表されている。過去10年間でソーラーパネルの価格が77%、リチウムイオン電池の価格が87%低下した。このため、太陽光発電+バッテリーのプロジェクトが経済的に可能になった。中には天然ガス火力発電よりも安価な電力を提供できるプロジェクトも存在する。

太陽光発電とバッテリーによる電力供給の市場は爆発的に伸びている」。政府が進める政策も投資意欲を刺激する。再生可能エネルギー発電とバッテリーを併設すれば税額控除を受けられる。一部の州は電力会社に対してバッテリーの設置を義務づけている。

経済と金融情報を扱うルームバーグ系列の調査会社BNEFの最新の試算によると、米国に設置されたバッテリーの総容量は今年、2倍以上に増大し約4800MWに至る。25年までに3万2000MWを超えると同社は予想している。これは米国内で約2600万世帯に電力を供給できるほどの規模だ。ただし、それでも米国の発電容量全体(100万MW*)に比べれば、バッテリー容量はごくわずかな割合にとどまる。

カリフォルニア州の独立系統運用機関によると、同州では昨年、主要なグリッドに電力を販売する太陽光発電風力発電の業者が、100万MW時近くの廃棄を余儀なくされた。電力を供給する先がなかったからだ

少なくとも米国南西部では、日差しの強い砂漠地帯があり、「この状態を極限まで突き詰めていけば、太陽光発電とバッテリーの併設プロジェクトはいずれ、グリッドを流れる電力の大部分を占めることになる」と見方がある。

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全米で導入進む  太陽光発電+バッテリー設備の発注 2019年末時点  出所:BNEF/Financial Times

 

③英国で再エネ急拡大、蓄電池の導入量も4年間で1000倍に

 2019/10/18 17:00 大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ

英国の再生可能エネルギー協会(REA)とElectraLinkは同国における蓄電池の導入量が2014年の50MWhから2018年には49GWhと4年間で約1000倍に急拡大したと発表した。

REAは同時に、太陽光発電による電力量も2012年の194GWhから2018年には8TWhと40倍以上に急増していること、および英国の配電網では様々な電源から流入する電力の比率が拡大しつつあることも分かったとしている。

2012年の時点では配電網に流入する電力の60%以上が火力発電などの電源によるものだった。ところが、2018年には火力発電による電力量が40%以下に減少し、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなどによる変動性電源が60%以上に増加して逆転した。

その結果、配電網が不安定化して需給調整が難しくなることから、配電事業者であるDNO(Distribution Network Operator)がフレキシビリティー(需給調整の手段・手法)を確保する必要性が増している。

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図 英国における太陽光発電の導入量の推移(出所:REA) グラフで「Solar」は従来の太陽光発電を、「Solar(mixed)」は太陽光だが蓄電池やディーゼル発電機を併設しているものを示している。

英国は今年1月EUを離脱しましたが、英国における上記動向はEU全体の姿勢を反映したものと思います。コロナウイルス感染であるとか米中対立などの波乱要因はありますが、気候変動と脱CO2のための努力に関しては、英国とEUは気候変動対策については理念と政策を共有しているからです。

つまり、欧州委員会は2050年までにEU域内の温暖化ガス排出をゼロにする「欧州グリーンディール」を掲げています。また、温暖化対策に関する国際ルール「パリ協定」(2015年)において、フランスは22年、英国は25年、ドイツは38年までに石炭火力を全部廃止する目標を掲げています。したがって、英国とEUは、これからも益々世界全体に対して指導性と影響力を有して牽引していくと思うのです。

 

④普及目前!再エネ蓄電池、米欧亜企業がしのぎ 系統安定化、低価格化、高付加価値サービスが後押し 藤堂 安人日経BP総研 クリーンテック研究所 2018.01.04 

この記事はタイトル表題のとおり、広く米欧亜の事例を取り上げていますが、ここではドイツについて言及している箇所のみを紹介します。

 ドイツでは、電源構成に占める原子力発電の比率を減少させて、再エネを拡大する方針を掲げており、風力や太陽光発電などの再エネ比率が高まっている。2017年1~6月期の発電量に占める再エネの割合は前年同期比2%増の35%となり、史上最高を更新した。

 特に、風力発電の建設が相次ぐ北部では、再エネ発電量が地域の電力消費量を超える事態になっている。今後さらに再エネ導入量が増えると現状の調整力である火力発電のマストラン電源(系統網の安定運用のために保持する電源)が限界を迎え、再エネの出力制御を強化せざるを得なくなる。

ドイツの系統運用者であるTSO(Transmission System Operator:独立送電会社)各社は、再エネ拡大に伴う系統網の不安定化を防ぐために、各種の補助的なサービスを市場から調達している。そして、0~30秒という短時間で自動的に調整力を供給する補助的サービスがあり、この補助的サービスを提供する事業者はリチウムイオン蓄電池を装備している。そのさい、ドイツ環境省からの補助金制度があり、利用されることもあるがされないこともある。

なお、短周期変動対策として、300kWの水電解装置を建設している補助的サービス事業者がいる。これは、再エネが瞬時に増えて周波数が基準値よりも上振れした際、系統網からの電力で水電解装置を使って生み出される電気で水素を製造している。水素は直接使用することもできるが、保管しておいて必要な時・場所・目的で、水素を合成ガス、メタン、またはLPGに変換する使い方もできる(いわゆる「P2G=Power to Gas」)。今後こうした補助的市場でP2Gが拡大していく可能性がある

                            以上