ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

環境エナジータウン直方が取り組む環境エナジーの個別検討 環境エナジータウン直方の政策選択のためのメモ① 2020.4.21

4 環境エナジータウン直方が取り組む環境エナジーの検討

 このシリーズ初回(4月3日付)で、“環境エナジータウン直方”として取り組みを検討したい環境エナジーを列記しました。それらについての化学と物理、そして電気技術などに関する専門情報はネットなどからでも十分に得ることができます。

 今回からのシリーズは、いわゆる文系人間で上記の専門知識をまったく持たない、ごく普通の一般人が環境エナジータウン直方に取り組み、“政策選択に役立てたい”という問題意識を持って、一つ一つの環境エナジーについての認識を深めていった体験的物語として公表します。

 つまり、「将来的にこの環境エナジーに対する強い需要が見込めるか?」「環境エナジータウン直方として、企業誘致を含め、この環境エナジーを生産し供給するためのインフラ整備に取り組むべきか」といった視点です。

 そのため、化学や物理、そして電気技術などに関する高度な専門知識を駆使した分析とは程遠いものです。正確さに欠けていたり誤解など多々あるかと思います。ご指摘等をいただいて訂正補充等しますのでよろしくお願いします。

 

(1) リチウムイオン電池

 ⅰ 昨年、吉野彰さんがリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞され、改めて(初めて?)リチウムイオン電池の偉大さを知りました。

 その第一は、スマホやノートパソコンなど、使い捨ての乾電池と異なり何百回何千回も充電して繰り返し使うことができるのはリチウムイオン電池が使用されていて、正極と負極の間をリチウムイオンが行き来することで充放電が繰り返されるということです。

 そのうえ、充放電の繰り返しによる充電容量の低下が大変小さく、また使用しない時の電圧低下も少ないというのです。しかも、従来からある二次電池に比べて2倍以上のエネルギー密度をもっているため、携帯機器の電源の小型軽量化を実現できたとされています。また、直列につなぐと高電圧、高電流が得られ、大きな出力パワーが得られます。

(ボーイング社787型機が初めて採用したリチウムイオン・バッテリーの特徴を説明するものとして、参照、JAL「リチウムイオン・バッテリー」https://www.jal.com/ja/flight/safety/trouble/boeing787/battery/lithium_ion_battery01.html)

 

ⅱ 吉野さんのノーベル賞受賞記念講演の演題はリチウムイオン電池が電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電に広く普及する未来社会」でした。

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吉野彰氏ノーベル化学賞受賞記念講演会「リチウムイオン電池が拓く未来社会」のポスター

 新聞報道などによると、吉野さんは「環境問題解決のためのエネルギー革命の時代を迎えている。環境・経済性・利便性のバランスがとれたリチウムイオン電池は電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電に広く普及し、持続可能な未来社会づくりにおいて中心となる重要な役割を果たす」と話されています。

   ※ 2020年9月9日~11日、関西スマートエネルギーWeek2020が開催され、吉野さんの講演を聞く機会がありました。吉野さんは、ノーベル賞を受賞されたストックホルムの記念講演でも、リチウムイオン電池はこれまでITなどのモバイル電源として活用されてきたが、これからはサステイナブル(持続可能)な未来社会づくりに大いに貢献したいし、それができると強調しました」と話されていました。(2020.9.15追記)

 

 ここでは、リチウムイオン電池再生可能エネルギーを蓄電できること、そして持続可能な未来社会づくりにおいて中心となる重要な役割を果たすとされていることに注目しておきたいと思います。 

 

 ⅲ ノーベル化学賞受賞前の2013年11月の時点ですが、吉野さんはリチウム電池の開発初期からの30年以上を振り返って次のように述べています(―公表の副題は「小型民生用から車載用・大規模蓄電システムへ」です)。

リチウムイオン電池が成長したのは小型民生用で、そのきっかけになったのがいわゆるIT変革です。つまり、これまでは「リチウムイオン電池=IT」だったわけです。しかし、これからは車載用や大規模蓄電システムのような、次のマーケットに向かって進んでいるわけです。そういった意味で第2の出発点なんです。」

 

 ⅳ リチウムイオン電池と言うと、腕時計やスマートフォン・ノートパソコンなどポータブルな電子機器で使われているくらいは知っていましたが、車載用や大規模蓄電システムと言われてもすぐにはピンと来ません。車載用と言われたら、ハイブリッド自動車や電気自動車などで使われているものかなと思うくらいです。そこで、あやふやな私の知識や記憶などあてになりませんから、ネットで「リチウムイオン電池 小型民生用から車載用・大規模蓄電システムへ」などを検索しますと、たくさんの記事等がヒットし、そこからさらに次々と関連情報にたどり着きます。 

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リチウムイオン電池とは 充電で繰り返し使える蓄電池2019/10/9 20:17日本経済新聞 電子版

そこで、以下では吉野さんが指摘されている車載用と大規模蓄電システム、それと私が一人の生活人としてリチウム電池を認識した家庭用蓄電池に大別し、それらについて図や写真を用いて分かりやすい説明であるとか、具体的な使用例を紹介してくれている記事等を整理して適宜紹介するとともに、随時、私の初心者的な体験的認識を述べておくことにしたいと思います。

(つづく)

環境エナジータウン直方の提案! 内発的外部交流型持続的発展モデル探求の結論としての直方のまちづくり将来像⑵  2020.4.4、4.9

2 内発的外部交流型持続的発展モデルの探求が環境エナジータウン直方です。

(1)  私たちふるさと直方フォーラムまちづくりの基本として、政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略略」の政策体系なども参照して、“地域のなかに成長・発展の種を見出し(内発的)、外部と交流し外部の良さを取り込みながら、みんなが参加して持続性ある発展モデルを築いていこう”という「内発的外部交流型持続的発展モデル」を掲げていました (http://内発的外部交流型持続的発展モデルの提唱 “地域のなかに未来へとつながる種を見出そう! 外部とも交流し、みんなが参加して持続性ある発展モデルを築いていこう!” 2019.6.24)

そして、この内発的外部交流型持続的発展モデルを直方の状況に当てはめて次のように提案していました。

「人口減少、財政危機、そして持続可能であることに十分留意し、福智山と遠賀川という自然環境に恵まれていること、そして福岡(博多)、北九州や筑豊筑後地区などを結ぶ交通の結節点に位置するという地理的環境にあることを直方の自己アイデンテティとして十分に認識し、これらをみんなの知恵と工夫で活かしていく」です(目標を実現する基本政策や方針の決定②-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(4)ー2019.9.7、9.16、10.9)

 (2) ところで、大塚市長は、「直方に元気を取り戻したい」「今を生きる私たちは、次代に誇れる直方を創り、しっかりと引き継がなければなりません」「このまちに生まれて良かった、住んで良かった、住み続けたいと云われるまちを、市民と共に創っていきたい」と抱負と目標を掲げています。

そして、政策を決定するときの基本方針として、『投資のないところに成長はない』との思いに立って、投資をいかに呼び込むか、どこに投資をしていくのか、民間投資を誘発するにはどうすればよいかを念頭に施策の展開を考えていく。」と述べると共に、基本政策として、『まちを豊かに』『人に夢を』『産業に活力を』の3つを示していました。

さらに、『まちを豊かに』を実施する施策として「立地環境を生かしたまちづくり」に着目し、『人に夢を』を実施する施策の一つとして「夢にチャレンジしこの地で頑張りたいという若者に応えられる働く場を提供することや起業してもらえる環境整備に努めます」とし、また『産業に活力を』を実施する施策の一つ「植木地区の開発について、インターチェンジ近くに位置し、鞍手町と隣接していることなどを踏まえ、本市の産業をリードしていく産業の立地促進を図るため、整備を進めていきます」と述べています。 

※ 福岡市を中心に北九州方面と佐賀方面において、水素で発電して走行する燃料電池小型トラックを使った環境省委託の実証事業が行われていました(スマートエネルギー2020、東京ビッグサイト今年2月下旬開催)。水素システムを使った航続距離は150キロから210キロといいます。また、以前にも2016年から2018年にかけて福岡市天神地区で配送車両として運用実証されていたようです。私が知らなかっただけで、水面下で水素社会に向け着実な努力が展開されていました。しかも東京周辺でなく、福岡市から北九州方面で実証事業が行われているというのは、この地域に水素社会に対する何らかの適性が存在するからのように思われます。 

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スマートエネルギー2020、東京ビッグサイト2月26-28日開催

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福岡市を中心に北九州方面と佐賀方面を結ぶ燃料電池小型トラックを使った環境省委託の実証事業。左の地図上④の横に写真の現物では「直方市」がハッキリ見え、たくさんの人がいる東京ビッグサイトの会場で私は一人嬉しくなっていました。

(3)  ふるさと直方フォーラムも、しっかりとした経済基盤のあることが社会が成り立つ基本として不可欠であることは十分に承知していましたから、大塚市長のこうした抱負や目標などを共有させていただき、それらを実現するための具体的な計画や施策を常に最優先の重要課題として考えてきました。そして、今たどり着いた答えが“環境エナジータウン直方”という次第です。

もちろん、内発的外部交流型の「内発」には、殖産興業時代以来、筑豊炭田として石炭を産出してきたエネルギー産業地としての伝統も組み込まれています。

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“環境エナジータウン直方”に類似して連想できる「水素社会の実現に必要な低炭素水素サプライチェーン環境省HPから

3 福岡水素エネルギー戦略会議に参加してください。

「環境エナジータウン直方」についての提案はエネルギーや化学の分野に関するもので、正直に申しあげてふるさと直方フォーラムを主宰する比山節男にとってはまったくの専門外の話題です。去年の暮れから3ヶ月ほど、2月26日から28日東京ビッグサイトで開催された「スマートエネルギーWeek 2020」に出席するなどして勉強してきたのですが、それでもまだまだ理解不足なところや誤解しているところがあると思います。

幸い、福岡県には産学官による「福岡水素エネルギー戦略会議」が平成16年8月3日に設立され、産学官のキーパースンが参加して「水素製造、輸送・貯蔵から利用まで一貫した研究開発、水素人材育成に加え、社会実証、世界最先端の水素情報拠点の構築、水素エネルギー新産業の育成・集積に取り組む「福岡水素戦略(Hy-Lifeプロジェクト)」を推進しています。

願わくば、大塚市長ご自身でやる気のある職員を同道され、「福岡水素エネルギー戦略会議」に出席され、環境エナジータウン直方の将来像を見定めていただきたいと希望します。(続く)

 

※ 気づくのが遅れましたが、「福岡水素エネルギー戦略会議」は随分と早い時機から社会実証を進めていました。

2014年か15年頃、「福岡水素タウン」で1キロワット級の家庭用燃料電池150台を新興住宅地の戸建て住宅に設置したり、北九州市と福岡市の2カ所に水素供給ステーションを設置し、両者間に「水素ハイウェイ」を構築するというものです。ただし、「北九州水素ステーション」は、市内製鉄所で発生する年間5億m3の副生水素を利用するオフサイト型のステーション、一方、福岡市の「九州大学水素ステーション」は水を電気分解して得られる水素を利用しています。そして、「北九州水素ステーション」から約1.2キロメートルの水素パイプラインを敷設し、集合住宅や博物館、ホームセンターなどに設置した14台の定置型燃料電池に副生水素を供給して、効率的な水素供給やパイプラインの耐久性などに関するデータを収集し、技術・運用面での課題の洗い出しを行っています。また、福岡水素エネルギー戦略会議で先見性をもって的確に事務局を担っていたのは、福岡県商工部新産業振興課水素班のようで当時からの関係者の進取性には驚かされます。なお、以上の情報は、銀行業務を中心に金融サービス事業を行っている三井住友フィナンシャルグループのHPに掲載されていることも興味深いことです(「特集 水素社会は本当に実現するのか」 https://www.smfg.co.jp/responsibility/report/topics/detail108.html)。

環境エナジータウン直方の提案! 内発的外部交流型持続的発展モデル探求の結論としての直方のまちづくり将来像①  2020.4.3、5.16

 (前回の末尾で政策パッケージをお示しするとしていましたが、個別施策等に関する提案を4つほどですが先に済ませてからにします。個別施策等に関する提案は8月頃まで続く可能性があります。) 

〔提案趣旨〕

新型コロナウイルス感染が拡大を続け、外出自粛要請や政府の金融措置などでてんやわんやですが、こんなときにも・こんなときこそ、次世代30年後くらいを見据えた社会構想を描き深めておかなければ、結局のところ全体の流れに埋没してしまうと思います。

そこで、今日から10回くらいの連載予定で、ふるさと直方フォーラムは心底から万感の思いを込め、“環境エナジータウン直方”の提案をします。産業経済分野だけにとどまらず、直方が大きな「投資」をして目指す、未来志向のまちづくりビジョンの話です。

 

1 環境エナジーに着目します

(1)  ここでいう環境エナジーは、エネルギー源として「持続性」があって化石燃料原子力ではないものを指しています。たとえば次のようなものです

 ※ 化学や産業から見た専門的体系的なものではありません。後に生活体験などに即して詳しく説明します。なお、エナジーは普通には「エネルギー」という方が耳慣れているかもしれません。発音としては、エナジー(energy)は英語、エネルギー(energie)はドイツ語ですが、もちろん同じ意味です。

イ スマホや腕時計などに使用されている小型でも大容量の電気を充電することができ、充電・放電を繰り返しても劣化しにくいリチウムイオン電池

 

ロ 自家消費型太陽光発電システムにおいて太陽光パネルと組み合わせて使用される太陽光発電向けの家庭用蓄電池

 ※ 家庭用蓄電池には、太陽光発電と連携するタイプと連携せずに電力会社から買電した電気を蓄電する機能のみを有するタイプ(スタンドアローン)の2種類の方式があるということなので、ここでは太陽光発電と連携するタイプのものを指していることになる。なお、現在市場に流通している家庭用蓄電池の主流はリチウムイオン蓄電池が主流です。

 

ハ 再生可能エネルギーを産み出す代表格である太陽光発電システムにおける太陽光パネルとパワーコンディショナー

 ※ パワーコンディショナー(パワコン)は太陽光パネルで発電した電気を家で使ったり売電できるように変換・調節する電気機器

 

ニ 燃料電池車に装備される燃料電池や家庭用燃料電池エネファーム

 ※ 燃料「電池」というと、乾電池のような使いきりの電池を連想しやすいのですが、そうではありませんで、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気をつくっています。より専門的に言うと、「燃料電池(Fuel Cell)」とは、水素を燃料にして空気中の酸素と電気化学反応させる際に生まれる電気エネルギーを使って発電する装置、などと説明されています。そして、燃料電池車はガソリンなどを燃料とするエンジンではなく、電気で動くモーターを使って走行します。家庭用燃料電池エネファーム」と併せて後に詳しく説明します。

 

ホ 太陽光パネルで発電された電気を利用して水を電気分解し水素を発生させる、水素の製造と水素貯蔵のための施設、および、再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池車などに供給する水素ガスステーションその他の再生可能エネルギー由来の水素の供給に関連するサプライチェーンビジネス全般

 

 以上、イからホの「環境エナジー」を生産・供給する環境ビジネスをイメージ図として示したいと思ってネットでいろいろ探したのですが、いくらでもあるようで、なかなかピッタリするものが見つかりません。下図は、関西国際空港島内で燃料電池フォークリフト導入や水素供給施設などのインフラ整備を進める「水素グリッドプロジェクト」に関するもので、なんと早くも2014 年5月に発表されたものの一部です。リチウムイオン蓄電池は含まれていませんが、「環境エナジー」イメージ図としてはこれがもっとも近いので勝手ながら引用させていただきます。

 

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「水素グリッドプロジェクト」 関西国際空港島HPより

 

(2)  環境エナジータウンは、上記した環境エナジーを中心とする環境ビジネスの創生と展開に挑戦的に取り組む産業コミュニティを意味します。

 上の図は環境エナジーを取り扱う環境ビジネスが集積する場のイメージ図ですが、さらに、一般の人々が暮らしている地域を含む、環境エナジータウン直方のイメージを図で示すと下の図の感じです。

 

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水素と燃料電池(蓄電池のように電気を貯めておくのではなく、装置内で水素と酸素を化学反応させて電気を継続的に創り出す発電装置)を活用する社会に取組む豊田通商HPから

 

そして、環境エナジータウン直方と同じような視点から自治体等が企画・実施しているまちづくりの先行例を求めてネット閲覧すると、なんといっても「いわきバッテリーバレー構想」(下図参照)に関する情報提供が圧倒的に多く、次いで「やまなし水素・燃料電池バレー」です。

 

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「いわきバッテリーバレー構想」HPで示されているイメージ図と取組んでいる3つの施策

その他、水素や燃料電池のキーワードでグーグル検索をすると、「福島新エネ社会構想」、「山口県周南市における水素を活用したまちづくり」、「中山間地型水素社会の構築による 100%エネルギー自給自足のまち八百津プロジェクト」および「とやま水素エネルギービジョン」などがあります

 ※ 参照「とやま水素エネルギービジョン」資料編、平成30年3月27日http://www.pref.toyama.jp/cms_pfile/00019040/01326400.pdf))。また、再生可能エネルギーで検索すると、「室蘭グリーンエネルギータウン構想 - 室蘭市」「鳥取市スマートエネルギータウン構想」が見つかります。「北九州次世代エネルギーパーク-北九州市」も出てきます。ただし、これはまちづくり構想ではなく、「エネルギー施設を見学したり、エコタウンセンター別館内にある展示コーナーでエネルギーについて学んだりする」ための見学学習施設です。

 

さらに、「Suitaサスティナブル・スマートタウン(Suita SST)」のまちづくり構想もありますが、これは自治体ではなくパナソニック大阪府門真市)が大阪府吹田市で2020年春に着工、2022年春にまちびらきを予定する多世代居住型健康スマートタウンです。ただし、街区全体の消費電力を実質再生可能エネルギー100%で賄う、日本初の「再エネ100タウン」を目指すとしていて公共性の高いものです。

 

このように、それぞれの狙いと目標を込めたネーミングがされています。直方の場合も、取り組む環境エナジーの種類や重点の置き所などを総合考慮し、直方の地理的位置や伝統を含めて環境ビジネスとしての成立可能性なども踏まえ、若い感覚で発信力のあるネーミングを決めてもらえればと思います。(続く)

 

 

「住みたい田舎」ランキング人口10万人未満部門で豊後高田市1位から学ぶべきは何だろう!?

「住みたい田舎」ランキングが発表され、8年連続ベスト3に入っている大分県豊後高田市が今年は人口10万人未満の部門で1位に選ばれたそうです。

直方市にとって、30年後の課題の多くは人口減少に起因すると私は考えていますが、地方の過疎化が続く中、豊後高田市は4年連続で、およそ300人という高水準の移住が続いているそうです。

日テレNEWS24の記事によると、豊後高田市には次のような特徴があるようです。どこを真似したらいいか、みんなで意見交換したいですね!

https://www.msn.com/ja-jp/news/video/%e9%9b%bb%e8%bb%8a%e3%82%82%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%91%e3%81%a9%e3%80%8c%e4%bd%8f%e3%81%bf%e3%81%9f%e3%81%84%e7%94%b0%e8%88%8e%e3%80%8d%ef%bc%91%e4%bd%8d%e3%81%ae%e3%83%af%e3%82%b1/ar-BBZ36R8

 

 1. 豊後高田市には、吉野家スターバックスなど大手飲食店は軒並み未進出。電車も通っていない。

 2. 学校給食は中学校まで無料。

 3. 東京から移住して5年の、嶋さんの家の敷地は全体で“1万平米ぐらい”。庭は野球場のグラウンドに匹敵する広さ。購入金額は、築100年以上の古民家と1万平米の土地合わせて2000万円。

 4. 現在、豊後高田市は、こうした古民家を76軒紹介中。例えば、築35年5DKの住宅は、家賃3~4万円。

 5. 豊後高田市の地域活力創造課大塚佳代係長によると、「リフォームに関しては半分で上限40万円、荷物の片付けに関しては10万円まで補助」

 6. 高校卒業までは医療費が無料。豊後高田市としては、今後も子育て環境をより充実させ移住の促進を図る。

係長クラスの方にRESAS(地域経済分析システム)を活用した企画を提案してもらう戦略対応人事を! 公共政策の定石から見る大塚市長の所信表明や抱負(19) 2019.12.29

(続き)  2 (3)の補論

 「共感・共働・共創」からは市民感覚になじみやすい施策が生まれてくるように思いますが、それと整合性を保ちつつ、実務的な実用可能性を兼ね備えた企画を提案できるのは、必ずしも実証的な意見ではないのですが、係長クラスの方たちではないかと思います。課長以上になると、どうしても市長や部局長などの上司や議員との関係を優先して行動せざるをえなくなり、施策や事業の原案を “どう通すか”といった政治的思惑に左右されされやすいように思われるからです。

 ところで、「OJTを中心として人材育成に努める」と言われていますが、それは業務を成功裡に遂行する手法が確立している民間で妥当する話だと思います。官公庁では、前例踏襲と指示待ちが隅々まで浸透しているのが現実ですから、以前の通達に代わった「通知」や必携の業務処理手順がない未知の領域に立ち入って未来志向の施策を企画立案するためには、人口や財政の推移状況など重要な事実を正確に踏まえたうえで独創的で挑戦的な取組みを提案できる人材が求められていると思います。

 そこで提案です。大塚市長が掲げる最終目標や重要施策、あるいは「共感・共働・共創」の実践から生まれた提案などについて、係長クラスの方たちに、前に紹介したリーサス(RESAS:地域経済分析システム、2019.11.21第(11)回参照)を活用して、問題に関する全体状況や具体的な実施案を企画してもらい、提出されたものの中から大塚市長が積極評価できる企画を採用し作成者を登用する人事政策はどうでしょうか。

 つまり、旧来の単に人を管理するライン型の人事管理の場合はOJTが適切かもしれませんが、目標―政策―施策―事業の実施―評価―見直しのサイクルで未来に挑戦しようというときには、それに相応しいスタッフ型の戦略対応人事への転換が必要であるように思います。(了)

 

(お知らせ)

 次回は、以上17回の検討を踏まえて大塚市長の所信表明とふるさと直方フォーラムからの提案を合体させ、いいとこ取りした政策パッケージ方式の最終提案を正月過ぎ、来春の4月にずれ込むかもしれませんが、発表を予定しています。乞うご期待です。

 以上17回分を含め、これまで読んでいただき、お礼申し上げます。素直に感謝です。誤解に基づく一方的な批判をしているなどと思われた箇所もあるかと思います。お気づきの点がありましたら、どうぞコメントをお寄せください。次回、ふるさと直方フォーラムからの提案に反映させていただきますし、質問や疑問に正面からお答えしたいと思います。

 みなさま、どうぞよい年をお迎えください。

市政運営の基本的考え方・・・共感・共働・共創を基本として市民と一緒に取り組みます  公共政策の定石から見る大塚市長の所信表明や抱負(18) 2019.12.28

 

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誰が策定するか(主体)、住民・市民・NPO等の関与(Public Involvement)をどうするか

1 大塚市長の市政運営の基本的考え方は「共感・共働・共創」を基本として市民と一緒に取り組むというものです。そして、市行政が公務サービスの提供の面を有することに着目して、顧客である市民の満足度の向上に向け努力するということですから、理由付けも立派ですし、尊敬するだけで終わってしまいそうです。とにかく直方に元気を取り戻したいという最終目標と併せ、この市政運営の基本的考え方を強く支持したいと思います。

ですから、これまで述べてきたこと、これから述べることに、大塚市長の所信表明や抱負に疑問を呈したり批判することがあった・あるとしても、それは最終目標と市政運営の基本的考え方という大きな枠組みに賛同したうえで、それが上手く進行して最終目標が見事、達成されることを願っての、方法論レベルでの建設的な提案だと受止めていただければと思います。そういう前提で、いくつかコメントします。

 

2 大塚市長の市政運営の基本的考え方の大きな特徴を再確認すると、「共感・共働・共創」、国や県との連携はもちろん近隣自治体との連携、そして、中間の管理監督者層を重視する組織運営をすることです。

(1)「共感・共働・共創」をこれほど明確に、しかも前面に打ち出している首長はそんなに多くないと思います。そして、直方市民の皆さんがいろんな立場から、元気な直方つくりのために献身的に頑張っておられるようで、最近特にそうした方たちの活動を取り上げる新聞やネットの情報を頻繁に見かけることが多くなったように感じています

   チューリップ祭りに関わってこられたボランティアの方たちや協賛してくださっている地元企業や団体。夏の『直活祭(ノオカツサイ)』や12月に須崎町公園で開催されている『餅つき大会』で有名な直活会、遠賀川河川敷で開催された「お月見ヨガ」であるとか「おはようサイクリング」♪のおがた星空バル』を主催しているのおがたわくわく実行委員会は言うまでもありません。

   他にも、源氏物語へのお誘い」ほか多様なイベントを主催している直方を熱くする会てであるとか、「千人茶会」や「陵江会展」を盛大に実行された方たち、直方駅舎の保存に奮闘された直方の文化を考える会のみなさん、直方ちょっくらラジオに関わる方たち、さらに、河川環境保全のために頑張っているNPO法人直方川づくりの会、平成筑豊鉄道を元気にする会、など、直方への熱い思いがひしひしと感じられます。

   直方を明るく元気にするために、他人ごとではない自分ごととして献身される方たちの活動と成果を市行政に積極的に取り込みながら、もっとも賢明な方法で「共感・共働・共創」を実践していただけたらと思います。きっと中央省庁との人事交流や職員の省庁派遣からでは得られない懸命さが市政に反映されると思いますし、そうしたことの積み重ねが公務サービスの改善と顧客である市民の満足度の向上につながると信じます。

 

(2) 近隣自治体との連携も是非積極的に進めていただきたいと思います。直方市が真剣に地方創生に取り組もうとするとき、国の法律などによる制約があってなかなか思うような活動を展開できないことがあるでしょう。そんなとき一自治体の力だけではなかなか改善要望の声が中央に届かないでしょうから、立場と境遇を同じくする自治体と連携して取り組み、効果をあげてほしいと思います。

   上記は自治体が市町村レベルで連携して県に働きかけ、さらに国を動かしていく場合をイメージしていますから、大塚市長が言われる「財源も含め限られた地域経営資源の中で、行政サービスの最大化を図る」ために国や県と連携するというのとはやや異なるかもしれません。

  しかし、一自治体としてしっかり“自立”していくためにも、立場と境遇を同じくする自治体と連携して声を大きくする必要性は同じだと思います。また、同じような立場と境遇でありながら、ピンチをチャンスに変えることにチャレンジしている自治体にこそ、本省庁への人事交流や職員派遣よりも学ぶべきことが多いというのが現代の実相かもしれません。

 

(3) 「共感・共働・共創」の精神を掲げていますが、現実に日々、首長を支え、首長の手足となって行動できるのは補助機関である市の職員ですから、職員がもっている潜在能力を最大限発揮してもらうことはきわめて重要です。ですから、トップダウンでもなく、ボトムアップでもなくミドルアップ・アンド・ダウンといった中間の管理監督者層の役割」を重視して「活力ある組織」を創造したいと述べておられるところに大塚市長の本気度を感じます。

   その反面、「財政の脆弱な直方市財政の健全化を目指す観点から、行財政改革を推進します」と言われていることには、率直に言ってあまり覚悟と迫力を感じることができません。直方市の人口が減少傾向にあること、それにより財政歳入がいっそう先細りしていくことを現実にどう受止め、克服していくか、大変大きな課題ですが、いっそうの取り組みをお願いしたいと思います。(続く)

『産業に活力を』のまとめ(各回で述べたことの要旨) 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(17)ー2019.11.29

以上、大塚市長の3つ目の基本政策である『産業に活力を』について検討しました。大塚市長の、市民所得を向上させるため産業を活力あるものにして稼ぐ力を磨きたいという狙いと、直方市で特に外貨を稼ぐ可能性があるのは製造業という前提に即して検討しましたが、結論は、製造業を強化することにより直方市の地域経済循環率を1(=100%)に近づけようとする努力は、適切で効果的な施策とはなりそうにないというものです。

しかし、域内経済循環に着目してこれをしっかりしたものにしたいという狙い自体は極めて正しい目標であることも確認していますし、“直方に元気を取り戻したい”という最終目標は不変です。

そこで、次回は“直方に元気を取り戻したい”という最終目標を実施する人的体制について取り上げますが、そのあとでは大塚市長も重視されている、直方が交通の結節点に位置するという立地環境を生かしたまちづくりを基軸にして、“直方に元気を取り戻したい”という最終目標を実現する施策をありったけの力を振り絞って考えたいと思います。その検討結果は、ふるさと直方フォーラムからの心を込めた提案でもあります。どうぞ皆様のご意見もお寄せください。

 

『産業に活力を』については、第9回から第16回の長い連載になりましたので、各回で述べたことの要旨を「まとめ」として、以下にあげておきます。

 

 

大塚市長の3つ目の基本政策は『産業に活力を』です。産業を活力あるものにして稼ぐ力を磨き、それにより市民所得を向上させるという狙い、および、製造業を含む産業を強化して域内経済循環をしっかりしたものにしたいという狙いについて、それら二つの狙いはそれぞれ社会経済的見地から見たときに根拠を有する合理的なものであるか、また、製造業を強化することに施策のエネルギーを注入することで、果たして域内経済循環を確立できるか、そして、究極的に“直方に元気を取り戻したい”という最終目標の実現につながるか、考えます(第9回2019.11.15)

 

産業を活性化させて市民所得の向上につながる社会基盤や経済基盤を見出すことは今日なかなかに容易でない。大塚市長の思いと狙いは理解できるし業界団体や商工会議所との適切な連携は必要だが、あくまでもそれら団体が主体的に取り組むべきであるし、最終的には個別の企業が独自に決断して成し遂げるべき課題です(第10回2019.11.19)

 

これからの地域政策やまちづくりを考えていくうえでは、経済産業省内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が地方創生の様々な取り組みを情報面から支援する目的で、産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化して提供している地域経済分析システム(リーサス)を利用することが必須ですし有用です(第11回2019.11.21)。

 

直方市全体の付加価値産出額において製造業が占める割合は33.3% (2016年)ですが、製造業をさらに8つに区分した企業単位・中分類の業種で言うと、一番割合の大きい生産用機械器具製造業にしても5.8%です。大塚市長のいう製造業が鉄鋼業を念頭に置いているなら鉄鋼業の付加価値額の割合は3.2%であり、鉄鋼業の強化に少々成功したとしても市全体の稼ぐ力に及ぼす影響は限定的です。

それに、8つに区分される製造業はどれもITやAIを含め専門技術化が著しく、公益を追求する自治が公共性を確保しつつ適切な強化策を提案できる体制を用意することは無理な相談です。加えて、第2次産業の移輸出入収支額は0を割っていてマイナス25億円でして、差し引きすると地域の外からお金(所得)を稼いではいません。産業連関表を正確に読めば製造業に限定した移出入収支額を読み取れるでしょうが、大きな傾向は変わらないと思われます。

以上の検討から、直方市で特に外貨を稼いでいる、あるいは外貨を稼ぐ可能性があるのは製造業という前提は、ハッキリ間違っているとまでは言いませんが、正しいと断言できるデータはありません(第12回2019.11.22)。

 

地域経済循環を確認する最大の意義は、生産(付加価値額)、分配(所得)、支出の三段階で、地域外にお金が流出しているかどうかを把握することにあります。そして、三段階のどこかで地域外にお金が流出していると必ずや生産(付加価値額)が縮小し、それが繰り返されていくと、将来的に地域の生産力と地域経済はジリ貧的に縮小していくことを予測できます。

そうしますと、生産(付加価値)、分配(所得)と支出の額は同一であることが望ましいし、3つが同額ながらも少しずつ増えている状態が理想的でして、そのとき地域経済には活気が生まれてきそうです(第13回2019.11.23)。

 

“直方を元気にしたい”を実現するために、政策ないし施策を実施するさいの目標として位置づけられる「域内経済循環の確立」は、政府の地方創生が提唱している、地方の「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立するという、“まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立”と究極的には同じです。

 域内経済循環を確立させることこそ、自治のまちづくり政策ないし施策の本丸ですし、“直方を元気に! ”と直結します。そして、ふるさと直方フォーラムが掲げる目標スローガンは“人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう であったのです(第14回2019.11.27)。

 

直方市の地域経済循環率は92.6%であり、支出面に着目すると「民間消費額」は他地域から379億円流入していますが、「民間投資額」では73億円流出し、その支出流出入率は-24.8%で全国1,106位です。

なすべきは、市内での投資が増えるよう、投資対象としての直方の魅力を向上させる、市民の側に着目すると、市民が当事者意識をもって積極的に参加する気持ちになるような投資の機会と場を市内に創り出すことでしょう。あるいは、人口増の傾向を作り出し、地域としての成長力を増やすなども広くはこれに含まれるかもしれません。

では、製造業を強化すると、投資対象としての直方の魅力が向上して市内への投資が増加し、それにより民間投資が地域外へ流出する状況を改めることができるかというと、強化された製造業自身による市内での投資が増えなければなりませんが、なかなかそれについて現実味あるイメージを描くことができません(第15回2019.11.27)

 

市役所が実施する公共事業による地域外への支出にしろ、地域外からの商品・サービスの移入が地域外に対するその移出を上回る貿易赤字にしろ、他地域へ443億円が流出している現状を改善する即効薬を見出すのは困難なようです(第16回2019.11.28)