ふるさと直方フォーラム

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製造業を強化することで域内での経済循環をしっかりしたものにするという選択と判断は正しいか!?  基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(13)ー2019.11.23

ⅰ 初めに、直方市経済循環の状況を確認したいと思います。下のリーサス地域経済循環図・直方市をご覧ください。画面左上に「地域経済循環率 92.6%」と明記されています。この地域経済循環率は「生産(付加価値額)÷分配(所得)」により算出され、地域経済の自立度を示すとされています。つまり、その値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高いことを意味すると説明されています直方市の場合は、1704(8+472+1224)÷1841(955+699+187)≒ 92.6です。数字の単位は億です。

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リーサス、地域経済循環図・直方市2013年

ⅱ 地域経済循環率92.6%をどう評価すべきでしょうか。直方市の92.6%は1を割っているから単純に喜ぶことはできないのでしょうが、参考に他都市の地域経済循環率をいくつか調べて見ますと、高いほうから、東京都154.2%、宮若市116.7%、福岡市111.8%、北九州市97.2%、福岡県95.5%、そして直方市の周辺自治体である田川市が85.4%、飯塚市85.2%、行橋市70.1%、宗像市69.3%、中間市は65.7%です。他都市との比較だけで評価するのは適切でないかもしれませんが、宮若市の116.7%を除いた直方市の周辺自治体よりは多少良い線を行っているなと、度量が狭いのでしょうが嬉しくなってしまう気もします。

 

ⅲ そこで、地域経済循環を把握する意義について確認します。

簡易解説は「地域経済循環率は・・・域内で生み出された所得がどの程度域内に環流しているかを把握するもの」(5/15頁)であると説明しています。また、さきほどⅰで、地域経済循環率は地域経済の自立度を示しておりその値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高いことを意味すると述べました。 

 

それらは具体的にはどのようなことを意味しているのでしょうか。簡易解説は要旨、以下のとおり分かりやすく明快な説明をしています (簡易解説1/15頁。ただし、一部入れ替え等しています。原文に太字等はありません)。

 

「地域経済循環マップ」は都道府県・市町村の自治体単位で、地域のお金の流れを生産(付加価値額)、分配(所得)、支出の三段階で「見える化」することで、地域経済の全体像と、各段階におけるお金の流出・流入の状況を把握可能にします。これにより、地域の付加価値額を増やし、地域経済の好循環を実現する上で改善すべきポイントを検討することができます。

 

つまり、地域内企業の経済活動を通じて「生産」された付加価値は、労働者や企業の所得として「分配」され、消費や投資として「支出」されて、再び地域内企業に還流します。このいずれかの過程で地域外にお金が流出した場合、地域経済が縮小する可能性があるため、上記の地域経済の循環を把握し、どこに課題があるのかを分析する必要があります。そうすることにより、地域の付加価値額を増やし、地域経済の好循環を実現する上で改善すべきポイントを検討することができます。

 

具体的には、地域で稼いだお金が地域の住民や企業等の所得や、地域住民の消費や地域の企業の投資に回っていないこと、そして、そのような消費や投資がさらに生産や販売に回っていかないこともあります

 

ⅳ 以上のとおり、地域経済循環を確認する最大の意義は、生産(付加価値額)、分配(所得)、支出の三段階で、地域外にお金が流出しているかどうかを把握することにあります。そして、三段階のどこかで地域外にお金が流出していると必ずや生産(付加価値額)が縮小し、それが繰り返されていくと、将来的に地域の生産力と地域経済はジリ貧的に縮小していくことを予測できるということかと思います。

 

そうしますと、生産(付加価値)、分配(所得)と支出の額は同一であることが望ましいし、3つが同額ながらも少しずつ増えている状態が理想的で、そのとき地域経済に待望の活気が生まれてきそうです。「手引き」もまとめで次のように述べています。

 

地域の経済循環を活性化するということは、循環の環を閉じて自給自足経済を目指すものではなく、地域間の交易も含めて所得の巡りをより太くより活発にすることです。各々の持てるポテンシャルを最大限活用して付加価値を高め、他地域への必要以上の所得漏出を減らし、地域で消費し地域に投資をしたくなるような魅力ある「場」をつくることとも言えます(72頁)。 (ⅴにつづく)

直方市で特に外貨を稼いでいるのは製造業という前提は正しいか!? 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(12)ー2019.11.22

イ 直方市で特に外貨を稼いでいるのは製造業という前提は正しいか

 ⅰ 大塚市長が言う「外貨を稼ぐ」に関して、地域経済は、下記に引用していますように、地域外を主な市場とする域外市場産業と地域内を主な市場とする域内市場産業に分けて説明することが一般的であるようです。この説明によりますと、製造業は農業や観光業と同様の域外市場産業として、日用品小売業や対個人サービス業などの域内市場産業とは対照的に、本来的に域外を市場とする性質を有しているとされています。したがいまして、製造業が「外貨を稼ぐ」というのは、一般的には正しいと思われます。

 

(以下の段落は、たしか地域経済循環に関する県の報告文書からの引用です。後日、確認して明記します)

地域経済は、地域外を主な市場とする「外市場産業(製造業、農業、観光)」と地域内を主な市場とする「域内市場産業(日用品小売業、対個人サービス業)」に分けて考えることができる。 お金の流れに注目すると、例えば、製造業の会社が地域外に製品を販売し、売上を得る、会社が従業員に給料を支払う、地域住民が地元のスーパーで買い物をする、スーパーが従業員に給料を支払う、その後➂➃を繰り返して、域内需要が拡大する、という地域経済の模式図(構造)が浮かび上がる。域外から資金を流入させる域外市場産業は、地域経済の心臓部とも言え、域外から資金を稼いでくる産業の集積を促進し、競争力を強化することが重要。

 

ⅱ では、直方市においても製造業は外貨を稼いでいるのでしょうか。リーサスではそれを直接示す情報は見当たらないようですので、初めに、直方市全体の付加価値産出額を産業別に見た下の図①と、直方市全体の産業において製造業(企業単位・大分類)がどのような位置にあるかを示す下の図②を見てみます。 

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図① https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/40/40204/2/2013

そうしますと、2013年の直方市全体の付加価値額に占める製造業を含む第2次産業の付加価値額の割合は27.7%(472÷(8+472+1224)。単位百万円)で4分の1強です。

 

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図② https://resas.go.jp/industry-all/#/map/40/40204/2016/2/4/1/-

そして、図②(企業単位・大分類)で見ますように、卸売業・小売業、医療・福祉、建設業、サービス業、宿泊業・飲食サービス業、不動産業・物品賃貸業などを含めた13の業種のなかでは製造業の付加価値額が一番多く、割合で示すと33.3%(25,494÷76,652)です。

製造業を含む第2次産業の付加価値額の割合は27.7%だったのに、13の業種のなかで製造業の割合が33.3%というのは一見おかしいのですが、後者は2016年の統計であり、3年の時間が経過するうちに変化があったのかもしれません。

 いずれにしろ、以上から言えることは、直方市全体の付加価値産出額において製造業が大きな位置を占めていることは事実ですが(2016年は33.3%)、圧倒的とか決定的というjまでの比重を有してはいません。

 

次に、付加価値産出額(企業単位・中分類)に関する下の図③を見ます。すると、大分類で一口に製造業といっても、企業単位では20に分かれる中分類では、額の大きい順に、生産用機械器具製造業4位、食料品製造業7位、金属製品製造業8位、輸送用機械器具製造業,9位、はん用機械器具製造業10位、 プラスチック製品製造業(別掲を除く)12位、鉄鋼業13位、 電子部品・デバイス・電子回路製造業15位となっています。

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図③https://resas.go.jp/industry-all/#/map/40/40204/2016/2/4/2/-

これから言えることは、付加価値産出額において製造業は大きな位置を占めていますが(2016年は33.3%)、製造業をさらに8つに区分した企業単位・中分類の業種で言うと、一番割合の大きい生産用機械器具製造業にしても、5.8%(4,463÷76,652)の比重です。

製造業というと、50年、60年前からになりますが、私など、小学生の頃から同級生の家庭が複数、鉄工所を営んでいてその看板をよく見かけていましたから直方市内では鉄鋼業を思い浮かべます。それでですが、大塚市長のいう製造業が鉄鋼業をさしているなら、鉄鋼業の付加価値額の割合は3.2%(2,436÷76,652)と一段と小さくなります。ですから、鉄鋼業の強化に少々成功したとしても、市全体の稼ぐ力に及ぼす影響は、残念ながら限定的です。

 

そういうわけですから、大塚市長のいう製造業がどの業種をさしているのか、特定して明示していただかなければなりません。あるいは、上記した製造業のすべてを強化するという意味かもしれませんが、きっとそれぞれの業種ごとに有効な強化策は異なってくるでしょうから、ITやAIを含め専門技術化が著しいそれぞれの業界について、公益を追求する自治体が公共性を確保しつつ適切な強化策を提案できる体制を用意するなど、無理な相談だと思います。

 

ⅲ ところで、地域の産業の移輸出額から移輸入額を差し引いて得られる「移出入収支額」を分析すると、地域の外からお金(所得)を稼いでいる産業を把握できます。そこで、移輸出入収支額に関する下のリーサスの図④を見てみます(不鮮明で申し訳ないのですが、図で濃い青は「移輸出入収支額」、薄い青は「生産額の構成割合」を示しています。また、左から縦に、1次産業、2次産業、3次産業と書いてあります。)。

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図④https://resas.go.jp/regioncycle-production/#/balance-industry/8.946418959795157/33.53711514/130.8218368/40/40204/2/2013/4/1/-/-/-

そうしますと、第2次産業の移輸出入収支額は0を割っていてマイナス25億円でして、地域の外からお金(所得)を稼いではいません(生産額の構成割合は41.4%です)。ただ、第3次産業の移輸出入収支額はマイナス406億円ですから(生産額の構成割合は58.1%です)、第2次産業、第3次産業とも地域の外からお金(所得)を稼いではいません。言えることは、第2次産業は、第3次産業ほど、地域の外にお金(所得)を流出していないというだけです。

 

もちろん上記は、産業別に見た「移出入収支額」ですから製造業に限定して見る場合、事情は若干異なるかもしれません。産業連関表を正確に読めば製造業に限定した移出入収支額を読み取れるかもしれませんが、おそらく大きな傾向は変わらないように思われます。(この点の正確な情報に基づくご意見等ありましたら、是非ご指摘ください)

 

以上、ⅰからⅲの検討から、直方市で特に外貨を稼いでいる、あるいは外貨を稼ぐ可能性があるのは製造業という前提は、ハッキリ間違っているとまでは言いませんが、正しいと断言できるデータはないように思われます。(続く)

地域経済分析システム(RESAS:リーサス)を活用しよう!! 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(11)ー2019.11.21

2 製造業を含む産業を強化して域内経済循環をしっかりしたものにしたいという狙いは社会経済的見地からの根拠を有する合理的な考えか

 

大塚市長は、「本市の産業連関分析からしますと、特に外貨を稼いでいるのは、やはり製造業であり、本市の産業の特徴でもあります。ここを一定強化しながら域内での経済循環をしっかりしたものとすることが肝要」と述べています。

 

商品やサービスを新しく作り出して稼ぐことは格別難しいでしょうから、すでにある産業を強化するという考え方は実際問題としても合理的な選択だと思います。そして、これにより域内の経済循環をしっかりしたものにするという方向の見定めもきわめて正しいと思います。

 

 それでも、直方市で「特に外貨を稼いでいるのは、やはり製造業である」という前提、そして、「(製造業を)強化することが域内での経済循環をしっかりしたもの」にするという選択は、直方を元気にするという最終目的に照らしたとき正鵠を射る適切なものかは、製造業に関する事実の正しい把握や域内の経済循環を確立する意義の確認を含め、もう少し検討を加えてから結論を出す必要があるように思います。そこで、この前提と選択について検討を加えてみます。

 

検討を始める前に、以下で頻繁に引用する文献について説明しておきます。

大塚市長が前提の根拠としている産業連関表については、「わがまちの経済 産業連関表で見える地域 福岡県60市町村表試案」、福岡県自治体問題研究所編(税込3000円)などがありますが、ネットで簡単に閲覧できるものは見当たらないようです。また、行列方式に基づく産業連関表はなじみがないためか、どうしても親しめず解釈するのも一苦労です。

 

そこで代わりに、地方創生の様々な取り組みを情報面から支援する目的で、経済産業省内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供している地域経済分析システム(RESAS:リーサスhttps://resas.go.jp/#/13/13101 以下、リーサスという。)を利用します。

 

リーサスの地域経済分析システムは「産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化するシステム」でして、これからの地域政策やまちづくりを考えていくうえで最優先される必須のツールになる可能性が大きいと考えられますが、産業連関表の仕組みや数値を取り入れています※。まだ利用されていない方に知っていただくため、以下に少し詳しく紹介しておきます。

 

※ リーサスの地域経済分析システムで示されている地域経済循環図は、「どこから所得を稼ぎ、地域で稼いだ所得がどのように分配されているか、その所得をどこに使っているかというお金の流れの概要を把握することができるもので、産業連関表をコンパクトにまとめたものといえる。」と説明されています(米山知宏「政策立案におけるRESASの活かし方(下)」http://www.dh-giin.com/article/20160926/6875/print/)。 

 環境省も、地域経済循環分析は市町村毎の産業連関表を中心的に活用する分析であるとして次のように説明しています(http://www.env.go.jp/policy/circulation/index.html)。

「地域経済循環分析は、市町村毎の「産業連関表」と「地域経済計算」を中心とした複合的な分析により、「生産」、「分配」及び「支出」の三面から地域内の資金の流れを俯瞰的に把握するとともに、産業の実態(主力産業・生産波及効果)、地域外との関係性(移輸入・移輸出)等を可視化する分析手法です。」

 

 また、リーサスの「地域経済循環図」に併せてアップされています「地域経済循環マップについて」地域経済循環分析(簡易解説書)(全15頁)および「地域経済循環マップの概要」 (全13頁) (いずれも平成27年12月18日内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局。以下、それぞれ簡易解説および概要という。https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/40/40204/2/2013)も、地域経済分析システムに対する基本的な理解を容易にしてくれますので、しばしば引用しています。是非ご参照ください。

 

もう一つ、株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)が発行している「地域経済循環分析解説書・地域経済循環分析の手引き」(以下、手引きという)があります。これも、地域経済分析システムに対する理解を一段深めるうえで有用ですので時折、引用します。(つづく)

『産業に活力を』で直方に元気を取り戻すことができるか!? その2 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長所信表明抱負を公共政策の定石から考える(10)ー2019.11.19&25

1 産業を活力あるものにして稼ぐ力を磨くことにより市民所得を向上させるという狙いは社会経済的見地から見たとき、根拠ある合理的な考えか

 (1) 所得の向上というと、私たち団塊の世代なら、岸信介の後を継いで首相になった池田勇人所得倍増計画を提唱したのを覚えているでしょう。当時の社会状況は1960年の安保騒動できわめて対立的でしたから、池田勇人の笑顔や穏和な表情は、政治的思想的なことなどまったく理解していない子ども心にもなんとなく安らぎを感じさせて好感を抱いたことを記憶しています。

 

さて、池田勇人10年の間に国民総生産を2倍以上に引き上げることによって国民所得を倍増させることが可能になると考えていたようです。そうすると、産業を活性化させることにより市民所得を向上させたいという大塚市長の考えは、若干大げさかもしれませんが、かっての池田勇人ばりの経済政策、社会政策ということになるかもしれません。

 

しかし、1960年代は日本が高度成長を成し遂げた時代でしたから所得倍増計画は実現して成功したと評価されているようですが、他方、今日では、安定成長はありえても「高度成長の夢よ再び」と考える人は皆無です。

 また仮に先端技術や最新の設備を導入して運よく生産性と付加価値の向上を図ることができたとしても、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱をめぐる混乱の影響で世界経済の減速傾向が強まり、日本でも輸出が落ち込み製造業を中心に地方経済もその影響を受けざるをえない現在の状況を考えますと、生産性の向上が必ずしも付加価値の増加と市民所得の向上につながらないことも大いに考えられることです。

 

そして、大塚市長は、所得の倍増でなく市民所得の向上とトーンを下げていますが、先端技術や最新の設備を導入して生産性の向上を図ることができたとしても、産業を活性化させて市民所得の向上につなげる社会基盤や経済基盤を見出すことは、今日なかなかに容易でないというのが客観的な社会状況だと思います。

 

(2) 見落とすことができないのは、一次産業であれ二次産業であれ、先端技術や最新設備、あるいはIT 先進技術などの導入の要否や時機と内容を判断する主体はあくまで民間だということです。

現在は明治のような殖産興業政策の時代ではありませんから、産業育成を担当する農水省経産省であれば若干別論かもしれませんが、経営(判断と活動)に対する行政の過剰な関与の弊害を反省して行政改革規制緩和の取組みを余儀なくされた後でもありますし、経営責任を負わない・負えない一自治体が原則、民間の経営判断に口出しすべきではありません。

 

あるいは、現在は機関委任事務の時代ではなく地方分権の時代であるから、自治体が地域の課題として民間の経営に関与する必要性があるとの見解もありえるかもしれません。

 しかしながら、現代の企業は、国内事情だけでなく世界レベルの状況も十分に把握して生産量を調整しています。また、さまざまな利害得失要因を冷静に判断したうえで、新しい工場を建設したり、内外の市場に進出し、また随時撤退するなどの経営判断を行っています。

 ですから、キツイ言い方で申し訳ありませんが、地方の自治体に厳しい経営判断を下している現代の企業を的確に誘導する能力はないと思います。せいぜい、地元の中小企業が取引先の大中企業から不当な取引条件を強いられているとき等、公正取引委員会その他の政府関係機関に適切な対応を要請するなどが限度かと思います。

 

逆に言いますと、直方市の企業誘致に応じて進出してくる企業が直方市を元気にすることにどれほどに貢献してくれるのか、実際に誘致費用に見合う成果をもたらしてくれているのか、直方市の今日の状況を見るといささか疑問です。

 壬生市長時代にも数千万円を投資して企業誘致していますが、すでに過去の経験に基づいて企業誘致の是非を判断できるだけの十分な事例の蓄積があるはずです。少なくとも30年ほどのスパンで実績を観察したうえでないと施策としての有効性を的確に判断することはできません。なるべく早い機会に、過去30年分ほどの企業誘致に関する十分な決算資料を作成し公表していただいたうえで企業誘致の是非を判断してほしいと思います。

 

そして以上で述べたことは、農業がブランド化、六次産業化により付加価値の向上を図ることにも妥当します。すなわち、ブランド化、六次産業化自体は必要な方向だと思いますが、その進路は、農家と農協が自身の問題として誇りと覚悟を持って選択すべきです。

 ちなみに、地域経済循環マップ・シナリオ事例集(10頁)では、「地域資源の6次産業化による投資額の増加」として、「地域資源の6次産業化を促進するために、農家、食料加工業者、研究機関等が地域外のファンドから資金調達をして、設備投資をする。」「投資された企業・団体が6次産業化に取り組み、付加価値額が増加する。」と述べていますが、行政が関与する事態を想定していません。

 

日本の各地で成功が伝えられている農業経営の実践例もあるように思いますが、それらは行政の助けに依存しての成功例ではなく、断固とした自立心と独立心で状況を打開してきたがゆえの成果だと思います。

 

以上、産業を活力あるものにして稼ぐ力を磨くことにより市民所得を向上させたいという大塚市長の思いと狙いは理解できますし、業界団体や商工会議所との適切な連携は必要でしょうが、あくまでもそれら団体が主体的に取り組むべきであるし、最終的には個別の企業が独自に決断して成し遂げるべき課題であると申し上げました。 

 

〔補遺〕 企業誘致について、政治的・思想的レベルではいろんな見解を見かけることがありますが、政策論レベルでの実務的な意見に出くわすことはあまりありません。そうしたなかで、たまたまですが、昨日、域内経済循環と企業誘致などに言及する以下に紹介する文献に出会いました。以下の引用は事実認識だけですが、最後まで(73頁)まで読めば、もっと積極的な見解が示されていると期待できます。政策業務に携わる議員さんや市の職員の方には是非、その全部をお読みいただき、研究してほしいと思います。

 

これまで、地方では地域活性化のための企業誘致等を進めてきましたが、誘致に成功しても域内の企業との取引が少なく地域の経済が思ったほど活性化しなかったり、誘致した企業が撤退してしまうといった事例もあります。また、大規模商業施設を誘致したものの、中心市街地の商店街が郊外の大型ショッピングセンター等との競争に勝てず、商業施設の雇用が増える一方で中心市街地の衰退・空洞化が進む等、新たな問題が発生することにより地域経済の活性化が当初の狙い通りに進んでいない地域もあると考えられます (日本政策投資銀行DBJ&価値総合研究所「地域経済循環分析解説書 2 地域経済の再生に向けて 2-1 望ましい地域経済循環構造の構築 (9頁))

『産業に活力を』で直方に元気を取り戻すことができるか!? 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(9)ー2019.11.15

大塚市長の3つ目の基本政策は『産業に活力を』です。最終目標―基本政策―施策の政策体系として示しますと、“直方に元気を取り戻したい”―『産業に活力を』― 直方市の市民所得を向上させるため産業を活力あるものとして稼ぐ力を磨く、となっています。

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この政策体系は、私の眼から見ると、前にも紹介した創生総合戦略が掲げる最終目標と4つの基本政策(最終目標である「将来にわたって活力ある日本社会を維持する」と「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」及び「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、 地域と地域を連携する」の4つの基本政策)ほど、率直に言ってスッと頭に入ってきませんが、市民一人ひとりにとっても直方市全体にとっても、経済的に成り立つことは極めて重要ですから、大塚市長のお気持ちは理解できますし、反対するということではありません。

 

さて、『産業に活力を』の狙いや意図について大塚市長は次のように述べています。

 私は、直方市の市民所得をいかに向上させるかが重要な政策の一つだと考えてす。産業が活力あるものとして、稼ぐ力を磨かなければなり ません。まず重要な事は、既存の一次産業であれ、二次産業であれ、生産性の向上、付加価値の向上を如何に図るかであります。先端技術や最新の設備の導入などを通じた生産性の向上、付加価値を高めるための技術の高度化を図るなど取り組む課題は多くあります。農業にあっては、ブランド化、あるいは六次産業化などを通じて、付加価値の向上を図らなければなりません。本市の産業連関分析からしますと、特に外貨を稼いでいるのは、やはり製造業であり、本市の産業の特徴でもあります。ここを一定強化しながら域内での経済循環をしっかりしたものとすることが肝要であると考えています。

次に、AI や様々な「モノ」がインターネットにつながる IoT 等の IT 先進技術を既存産業界に取り込むことを積極的に支援すると同時に、これら先進技術を担う企業誘致を積極的に展開していきます。こうした産業こそ若い世代が担う産業であり、所得の高い産業群でもあるからです。長期的にはモノづくりの技術を基盤としながらも新しい産業として生まれ変わらせていく必要があります。本市の産業構造そのものもそうした方向に向かわざるを得ないと考えています・・・

 

ここで、大塚市長が『産業に活力を』を力説するのは、市民所得を向上させるためであり、それを実現する手段として『産業に活力を』が提案されていることを確認しておきたいと思います。なぜなら、産業は元気になったが市民所得は少しも向上しないでは意味がないからです。

 

また、直方市の稼ぐ主役は製造業であり、それが直方市の産業の特徴であるからこれを強化して域内経済循環をしっかりしたものにすることに強い意欲を示しています。後に詳しく検討しますが、私は域内経済循環を確立することが直方を元気にするために決定的に重要と考えていますので、製造業に施策のエネルギーを注入することで域内経済循環を確立できるかに着目して十分に検討したいと思います。

 

そこで以下では、産業を活力あるものにして稼ぐ力を磨き、それにより市民所得を向上させるという狙い、および、製造業を含む産業を強化して域内経済循環をしっかりしたものにしたいという狙いについて、それら狙いはそれぞれ社会経済的見地から見たときに根拠を有する合理的なものであるか、また、製造業を強化することに施策のエネルギーを注入することで、果たして域内経済循環を確立できるか、そして、究極的に“直方に元気を取り戻したい”という最終目標の実現につながるか、考えます

 

 大塚市長が特に力を入れている施策であると思われますし、情緒的な主観や思いからでなく、客観的なデータを踏まえて十分に検討したいと思っていますので、5回以上の連載になる予定です。(つづく)

基本政策を実施する施策の立案 ②の2-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(8)ー2019.10.9

前回、大塚市長が提唱している、「直方に元気を取り戻したい」―『人に夢を』―「人権が尊重される社会および自己実現が可能な地域社会の実現」―ジェンダー平等の社会、女性の力が十分発揮できるような環境整備、自己実現がどのような年代においても可能な地域社会づくりなどの、最終目標―基本政策―施策―事務・事業の体系が、どういう考え方の経路でつながるのか、若干分かりにくいと申し上げました。

 

この最終目標―基本政策―施策―事務・事業が、一つの政策体系として趣旨が明確でないと、最終目標以下、そこに挙がっている施策や事務・事業に至るそれぞれがいくら立派なものであっても、最終段階の事務・事業を的確に実施することはできず、結局は最終目標を実現できないことになってしまいます。

 

では、最終目標、基本政策、施策、そして事務・事業のそれぞれは立派であるが、政策体系としての趣旨目的が明確でないとき、それをどうやって是正すればいいでしょうか。いろんな対応策が考えられますが、現実的かつ論理的にももっとも優れたものとして、大塚市長が基本政策「人に夢を」のもとに提案している施策や事業の多くは、まち・ひと・しごと創生法2014年11月28日公布施行に基づく政府の政策、施策や事業と多くが共通していることを活用したらいいのではないかと思います。

 

なぜなら、まち・ひと・しごと創生法の第1条は次のように現状認識と課題を明らかにしていますが、これは大塚市長の所信表明におけるものと多くの点で重なっています。つまり、同法第1条は国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進することが重要となっている」(1条)と述べています。

 

現状認識と課題が多くの点で重なっているので当然ですが、大塚市長の政策体系全般、なかでも前回紹介した基本政策『人に夢を』以下の施策や事務・事業は、前に紹介したまち・ひと・しごと創生総合戦略」とかなり共通しています。まち・ひと・しごと創生総合戦略」の政策体系は前に紹介しましたが、もう一度示しますと、以下のとおりです。

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上の図を参照してください。再確認しますが、まち・ひと・しごと創生総合戦略」の最終目標は“将来にわたって活力ある日本社会を維持する”です。大塚市長の“直方に元気を取り戻したい”とほとんど同じ思いだと言えるでしょう。

 そして創生総合戦略は最終目標を達成するために4つの基本政策を掲げています。「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」及び「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、 地域と地域を連携する」の4つです。そして、基本政策それぞれについて施策や事業が配置されています。

 

そこで、共通する点が多いことをプラス要因としてどう活用するかですが、結論として、政策体系の大きな枠組みは、政策体系としての趣旨目的が明確なまち・ひと・しごと創生総合戦略」の枠組みを活用させてもらい、その枠組みの中に、大塚市長の抱負なり希望を適宜はめこむ方法を試みるのがいいのではと思います。

 

もう少し言うと、最終目標は同じなのでそのまま残すとして、基本政策『人に夢を』の思いは施策や個別の事業で反映できるので外し、基本政策としては大きく二つ、たとえば「まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立」と「健康で幸福なまちづくり」に分けて表現し、施策や事務・事業段階で大塚市長の抱負なり希望を適宜入れるというのはどうでしょうか。詳しくは、次の基本政策その3 『産業に活力を』を実施する施策の立案を検討した後、総合的に取り上げて考えます。

 

幸い、国の枠組を踏まえ、地方公共団体においても「地方人口ビジョン」と「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」(合わせて一般に「地方版総合戦略」とよばれているようです)が策定されているようですし、1年以上前ですが、直方市のHPでもアップされていました。もちろん、大塚市長の気に入らない、納得できない箇所があるでしょうが、無色透明中立的な政策体系の枠組みを借用し、中身は大塚市長の考えや希望に沿うものに仕上げたらいいと思うのです。

 

補足ですが、2015年10月発足の第3次安倍内閣は「アベノミクス第2ステージ」として「一億総活躍社会」を目指すことを宣言し、翌年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しています。

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内閣府HPから

「ニッポン一億総活躍プラン」の概要は上の図のとおりですが、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、 障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型」の全ての人が包摂される社会を掲げています。そして、人生100年時代を見据え、幼児教育と高等教育の無償化やいくつになっても学び直しができるリカレント教育などに取り組むとしており、大塚市長の「人権が尊重される社会および自己実現が可能な地域社会の実現」とも重なるところも多いと思います。

 

他方、ニッポン一億総活躍プランは強い経済の実現に向けた取組を通じて得られる成長の果実によって、子育て支援社会保障の基盤を強化し、それが更に経済を強くするという『成長と分配の好循環』を生み出していく新たな経済社会システム」­≒「包摂と多様性による持続的成長と分配の好循環」を究極の目標としていて、そのためか、政策体系として趣旨目的が明確でないとか、理論的にも整合性がないなどの批判も見受けられます。

 

そこで思うのですが、「ニッポン一億総活躍プラン」による政策体系の枠組みを借用することはお勧めできませんが、「ニッポン一億総活躍プラン」が提案する事務・事業の中で、大塚市長の「直方に元気を取り戻したい」「このまちに生まれて良かった、住んで良かった、住み続けたいと云われるまちを、市民と共に創っていきたい」という目標と矛盾なく両立できるものがあれば、補助金など国からの支援制度を受けられる限度でこれを利用することは、地方創生が求められる自治事務のあり方として当然許容されることだと思います。 

以上。

基本政策を実施する施策の立案②の1 -大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(7)ー2019.10.9

基本政策その2 『人に夢を』を実施する施策 (Program) は、「子どもたちからお年寄りまで、障がいのある人もない人もそれぞれの人権が尊重され自立して生きられる地域社会、自己実現が可能となるような地域社会」実現に尽力するというものです。

 これらが日本社会の重要課題であることは誰も否定できないことですし、大塚市長の〔狙い・意図〕はまったく正しいと思います。しかし、『人に夢を』という表現からイメージされるものと、人権が尊重される社会や自己実現が可能な社会とどういう思考と論理でつながってくるのか、若干分かりにくい気もします。二回に分けて考えます。

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まず、大塚市長の意図を正しく理解するために、「現状認識、課題の発見や取り組む事業の狙い」 (注 これらは大塚市長による表現ではありません。そのため、誤解している可能性があります。指摘があれば訂正しますのでご教示ください。) を見てみます。上の図を参照してご覧ください。

 

初めに、1)で「教育こそ重要・・・幼児期に人間として生きていく上で必要な基本的な力をしっかり身に着けさせることが重要・・・幼稚園や保育園の充実に向け支援していきたい」と述べています。これも、これ自体はもっともなことと思いますが、今度は人権が尊重される社会、自己実現が可能な社会がどういう経路でここの「教育」とつながってくるのか、分かりにくいように思います。

 

2)  「義務教育の中では、・・・低迷する学力を早い段階で県レベルへ引き上げることを目標とします・・・プログラミング教育やグローバルな競争に対応するための英語教育などの充実に努めてまいりたい」とも述べています。今日の保護者の願いや福岡県内における筑豊地区の現状などに鑑みると、外すことのできない課題の認識であると思います。

 そうではあるのですが、1)の「幼児期に人間として生きていく上で必要な基本的な力をしっかり身に着けさせる」から、7歳から始まる義務教育で教育の重点を学力へと切り替えることが本当にいいのか、日本社会のいろんな現実を踏まえると、もう少し慎重に覚悟して選択しなければいけない二者択一の関係にあるような気もします。

 仮に、義務教育では教育の重点を、人間として生きていく上で必要な基本的な力から学力へと切り替えることが必要だとしても、どのような条件を充たしたとき学力の向上が達成されるのか、切り替えにより得るものと失うものなどについて、きっと研究の蓄積もあるはずですから、実務上の処理手順としてはそうした条件や損益の分析を共有して議論し、切り替えの是非について合意を形成する作業が必要になるように思います。

 なお、この2)も、施策としての人権が尊重される社会、自己実現が可能な社会を、実現に向け一歩前に進めようとするものなのでしょうが、1)と同様、両者間のつながりが今ひとつはっきりしません。

 

3) 「夢にチャレンジしこの地で頑張りたいという若者に応えられる働く場を提供することや起業してもらえる環境整備に努め」るというのは、大変かっこいいし、実現できるならまことに結構なことです。

 しかし、働く場の提供にしろ、起業してもらえる環境整備に努めるなど、この数10年間そうした土壌や基盤がなかったと思われる直方でそんなことが実現可能か、私は率直に言って疑問です。それに、若者の多くが都会へ流出するのは働く場のあるなしだけではないとも思いますので、結論として、私はこうした事業に無理をして大きなエネルギーを注ぐことには賛成できません。

 取り組むとすれば、一度ふるさとを離れて都会に出た若者が、年月を経てふるさとに戻りたくなったとき、それを寛大な心でさりげなく受け入れる「戻れる場」の提供です。似たようなことを言っているだけと思われるかもしれませんが、最初からふるさとを離れないように引き止めたり、若者向けの働く場を提供するというのは、自然の摂理に反して抵抗が大きくコストパフォーマンスも悪く、最終的には4年後や8年後の政策評価・事業評価で厳しく評価されることになるおそれがあると思います。なお、この3)についても1)や2)以上に、人権が尊重される社会および自己実現が可能な地域社会の実現とのつながりが分かりづらいように思います。

 

4)  ジェンダー平等の社会、生涯学習社会、女性の力が十分発揮できるような環境整備、自己実現がどのような年代においても可能な社会、健康寿命を延ばす取り組み、そして住み慣れた地域で暮らしやすい地域社会づくりはどれも立派過ぎるほどに立派です。これらは経済大国になった日本が置き去りにしてきたというか、成し遂げることができていないものですし、日本が本当の意味で豊かな社会になるためには是非とも達成しなければならない大きな課題であることは明らかです。

 

それだけに、実現に向け本気で取り組むというなら、華々しくアドバルーンを揚げるだけでなく、十分な準備と周到な計画を立てなければいけません。そうすると基本的な問題として、上に挙げたジェンダー平等の社会などを政策体系全体の中で単に事務・事業として位置づけることが適切か問題になると思います。

 つまり、これらは、いわば横綱大関クラスの重要テーマですから、「直方に元気を取り戻したい」という最終目標と同じレベルとしてもいいくらいです。一段下げて、『人に夢を』という基本政策レベルの扱いとすることもありえるでしょうが、少なくとも「人権が尊重される社会および自己実現が可能な地域社会の実現」という施策レベルで取り上げるべきだということです。次回、続けて1)から4)をまとめて検討することにします。(続く)