ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

製造業を強化することで域内での経済循環をしっかりしたものにするという選択と判断は正しいか!?  基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(13)ー2019.11.23

ⅰ 初めに、直方市経済循環の状況を確認したいと思います。下のリーサス地域経済循環図・直方市をご覧ください。画面左上に「地域経済循環率 92.6%」と明記されています。この地域経済循環率は「生産(付加価値額)÷分配(所得)」により算出され、地域経済の自立度を示すとされています。つまり、その値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高いことを意味すると説明されています直方市の場合は、1704(8+472+1224)÷1841(955+699+187)≒ 92.6です。数字の単位は億です。

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リーサス、地域経済循環図・直方市2013年

ⅱ 地域経済循環率92.6%をどう評価すべきでしょうか。直方市の92.6%は1を割っているから単純に喜ぶことはできないのでしょうが、参考に他都市の地域経済循環率をいくつか調べて見ますと、高いほうから、東京都154.2%、宮若市116.7%、福岡市111.8%、北九州市97.2%、福岡県95.5%、そして直方市の周辺自治体である田川市が85.4%、飯塚市85.2%、行橋市70.1%、宗像市69.3%、中間市は65.7%です。他都市との比較だけで評価するのは適切でないかもしれませんが、宮若市の116.7%を除いた直方市の周辺自治体よりは多少良い線を行っているなと、度量が狭いのでしょうが嬉しくなってしまう気もします。

 

ⅲ そこで、地域経済循環を把握する意義について確認します。

簡易解説は「地域経済循環率は・・・域内で生み出された所得がどの程度域内に環流しているかを把握するもの」(5/15頁)であると説明しています。また、さきほどⅰで、地域経済循環率は地域経済の自立度を示しておりその値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高いことを意味すると述べました。 

 

それらは具体的にはどのようなことを意味しているのでしょうか。簡易解説は要旨、以下のとおり分かりやすく明快な説明をしています (簡易解説1/15頁。ただし、一部入れ替え等しています。原文に太字等はありません)。

 

「地域経済循環マップ」は都道府県・市町村の自治体単位で、地域のお金の流れを生産(付加価値額)、分配(所得)、支出の三段階で「見える化」することで、地域経済の全体像と、各段階におけるお金の流出・流入の状況を把握可能にします。これにより、地域の付加価値額を増やし、地域経済の好循環を実現する上で改善すべきポイントを検討することができます。

 

つまり、地域内企業の経済活動を通じて「生産」された付加価値は、労働者や企業の所得として「分配」され、消費や投資として「支出」されて、再び地域内企業に還流します。このいずれかの過程で地域外にお金が流出した場合、地域経済が縮小する可能性があるため、上記の地域経済の循環を把握し、どこに課題があるのかを分析する必要があります。そうすることにより、地域の付加価値額を増やし、地域経済の好循環を実現する上で改善すべきポイントを検討することができます。

 

具体的には、地域で稼いだお金が地域の住民や企業等の所得や、地域住民の消費や地域の企業の投資に回っていないこと、そして、そのような消費や投資がさらに生産や販売に回っていかないこともあります

 

ⅳ 以上のとおり、地域経済循環を確認する最大の意義は、生産(付加価値額)、分配(所得)、支出の三段階で、地域外にお金が流出しているかどうかを把握することにあります。そして、三段階のどこかで地域外にお金が流出していると必ずや生産(付加価値額)が縮小し、それが繰り返されていくと、将来的に地域の生産力と地域経済はジリ貧的に縮小していくことを予測できるということかと思います。

 

そうしますと、生産(付加価値)、分配(所得)と支出の額は同一であることが望ましいし、3つが同額ながらも少しずつ増えている状態が理想的で、そのとき地域経済に待望の活気が生まれてきそうです。「手引き」もまとめで次のように述べています。

 

地域の経済循環を活性化するということは、循環の環を閉じて自給自足経済を目指すものではなく、地域間の交易も含めて所得の巡りをより太くより活発にすることです。各々の持てるポテンシャルを最大限活用して付加価値を高め、他地域への必要以上の所得漏出を減らし、地域で消費し地域に投資をしたくなるような魅力ある「場」をつくることとも言えます(72頁)。 (ⅴにつづく)