ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

クローズアップ現代「電気代の不安▼住宅用太陽光パネルで“創エネ”暮らしどうなる」([総合] 2023年10月04日)、特に注目される箇所  2023.10.11

先日、クローズアップ現代「電気代の不安▼住宅用太陽光パネルで“創エネ”暮らしどうなる」([総合] 2023年10月04日)を見てくださいと述べました。その後、NHKのHPに番組内容のフルテキストが公表されています。

NHKの人気番組だけあって、写真と図をふんだんに使い、分かりやすい文章で説明しています。その中から、“環境エナジータウン直方を創ろう”の視点から特に注目される箇所をアトランダムなピックアップで申し訳ないのですが紹介します(全体を短くするために、文意を変えない範囲でカットするなど一部加工しています。また、太字や文字の変色は勝手に加工しています。正しい完全なフルテキストは次のアドレスで閲覧できますのでご確認ください)。 

[ポータブルの太陽光パネルと蓄電池で電気代が去年の半額に]

自宅のマンションで2022年12月から太陽光発電を始めた金子真由美さんが使っているのは、ポータブルの太陽光パネルと蓄電池です。合わせて約6万円で購入しました。

晴れの日は朝8時ごろ、ベランダに太陽光パネルを広げます。発電する電気はポータブル蓄電池に充電。更に、LEDライトや電動自転車のバッテリーなど、さまざまな充電式の電化製品をつなぎます。 

ポータブルの太陽光パネル発電と蓄電池を始めた金子真由美さん

日没後の夜7時。充電を終えた機器を取り込みます。雲が多かったこの日。ポータブル蓄電池は10時間ほどで34%充電されていました。ライトやバッテリーも充電完了。日中に発電した電気を夜さまざまな用途に活用します。

部屋の照明は使わず、充電したLEDライトを使用。調理家電には、ポータブル蓄電池にためた電気を使います。一方、エアコンや冷蔵庫などの大型家電はこれまでどおり電力会社の電気を利用しています。それでも政府による補助もあり、7月分の料金は家族3人で5,356円。2022年7月(10,251円)と比べてほぼ半額です。

 

[太陽光発電は蓄電池と組み合わせた「自家消費」がトレンド]

住宅屋根の太陽光発電でも新たなシステムが広がっています。千葉県に住む西牟田雅和さんは、2023年8月、自宅の屋根に太陽光パネルを設置しました。西牟田さんの家はオール電化。2023年1月の電気代が夫婦2人で5万円を超え、電気料金の高騰を痛感したといいます。

更に西牟田さんが活用しているのが電気自動車。1年前にガソリン車から切り替えていました。電気自動車には大容量の蓄電池が搭載されています。オール電化西牟田さんの家でも、2~3日分の電気を蓄えておくことができるといいます。

日中、太陽光発電で家の電気を賄うと同時に、電気自動車に蓄えます。車を使っている時には据え置きの蓄電池に電気を蓄えます。

購入した電力量(9月分)  662kWh→78kWh

太陽光発電の導入後、電力会社から購入した電力量は、2022年のおよそ9分の1

電気料金(9月分)25,158円→3,795円

9月分の電気料金は、およそ3,800円。2022年の同じ月よりも2万円以上安く抑えることができました

 

[宮古島にある740世帯の太陽光パネルと蓄電池を一括管理]

沖縄の離島、宮古島。島内には太陽光パネルと蓄電池を備えた住宅が700以上あります。玉城恵子さんは、2年前に太陽光発電を始めました。

蓄電池のコントローラーについているのは通信装置。実は、事業者がインターネットを介して発電システムを遠隔操作しています。・・・

制御しているのは沖縄本島にあるベンチャー企業です。宮古島にある740世帯の太陽光パネルと蓄電池を、ここで一括管理しています。社長の比嘉直人さんは、沖縄電力グループのエンジニアだった経験を生かし、5年前に起業しました。

ネクステムズ 社長 比嘉直人さん
個人宅で終始するんじゃなくて、地域全体でうまく融通し合いながら使っていく」「地域全体で最適化する制御が必要。地域の500件1,000件を束ねることで十分に安定した電気をつくりあげて、地域全体に供給していく」

天気予報や電力の需要予測などを基に、コンピューターが各家庭の発電や蓄電池の充電と放電をコントロール。地域をまとめて管理することで太陽光発電の変動を抑え、電力系統に安定した電気を流すことができるのです。

このシステムは台風など災害時にも大きな役割を果たします。・・・台風が近づく前に各家庭の蓄電池を100%充電させ、停電に備えます。

ベンチャー企業では太陽光発電を普及させるため、導入費用を無料にし、利用者から割安の電気使用料を支払ってもらうビジネスモデルを展開しています。

 

[太陽光の電気を蓄電池に蓄電して電力全体の安定にも貢献]

飯田さん: (太陽光の電気を蓄電して、発電ができない時間帯を補うという取り組み。しかもそれを地域ぐるみで行う)取り組みは本当に今、進んでいると思いますが、海外は更にもっと進んでいます。アメリカのテキサス、カリフォルニア、ハワイ、あるいはオーストラリアといったところでは、個人の蓄電池が、電力の取り引きのところにみんなで参加をすることによって月に何万円も逆に収益を上げるというような形で。余った太陽光も吸収できますし、全体の電力の不足・過不足も吸収できるという仕組みができています。

しかも蓄電池は今、急激にコストが安くなって世界的にもどんどん普及していますので、これからどんどんこれを広げていって、地域全体の災害にも役立ちますし、個人の停電にも役立ちますし、電力全体の安定にも役立ちますので、これをどんどん広げていくことが必要かと思います。

 

[電気の“地産地消”お金も地域に還元]

愛知県豊田市の山あい、足助地区。高齢者の移動を住民同士で支える「たすけあいカー」の財源確保を解決するために、JAや住民などが出資する地域の電力会社、通称「MYパワー」が作られた。

そこで目を付けたのが家庭の電気代です。家計を調べると、豊田市山村地域からは電気代として毎年25億円余りが大手電力会社に支払われていることが分かりました。そこで地域で発電し、地域で売る電力会社を作り、お金を地元にとどめて課題の解決に充てようと考えたのです。

三河の山里コミュニティパワーHPで提案されている電気の地産地消

桑子 真帆キャスター: 地域の外の電力会社から電気を買うのではなく、地域の中に電力会社を作ってしまおうという取り組みでしたが、これはどうすれば広がっていくでしょうか。

飯田さん: VTRにもあったように、25億円、これは地域経済で大体一般的に5%から10%ぐらいのお金が(電気代として)失われていますので、それを循環させ、しかも雇用を11人生み出していると。これはすごく経済的に、地域経済にメリットがある。それをやはりきちんと伝えていくということが広がりを作っていく一番のポイントだと思います。

飯田さん: 今、再生可能エネルギー、特に太陽光、風力、更には蓄電池、電気自動車というのは文明史的な大転換期で爆発的に普及しています。これが今、気候危機や、そして2022年、日本は35兆円も化石燃料を輸入した。こういう、経済に対してもすごく有効な手段として日本全体もやらなきゃいけないのですが、今回VTRで見たように個人のベランダでもできる、屋根でもできる、自分たちが参加できるわけですね。そして地域ぐるみでできる。そういう時代になってきたので、本当に今、電力あるいはエネルギーの仕組みが一世紀単位で大きく変わる大変革。そして気候危機、エネルギー危機を救っていくのに、自分の取り組みから参加していくという意識が自分事になっていけば、ますます広がっていくのではないかと期待しています。    以上

4⑷ 自治体も出資する「自治体新電力」の設立と環境エナジータウンを目指す立場からの評価  2023.10.8

ⅰ 以前、2で、「PPA企業と連携し、市民の取組みにより環境エナジータウンを目指すムードを高めます。そして、市役所や農協など公的機関の賛同を得て太陽光発電システムを、市内の公共施設、小中学校、体育館、駐車場、ため池、耕作放棄地を含む農地に設置します。」と述べました。

また、「多くの市民や事業所に参加してもらう誘引方法として、卒FITや余剰の電気の電気を買い取ったり、それらを地元の企業に売る、地域新電力事業をスタートさせる」、そして「可能ならNPO的な組織とは別に、直方市にも出資してもらい、「自治体新電力」の形態をとることが望ましいことは間違いないと思われます」と述べました。

上記は、環境エナジータウンを目指すふるさと直方フォーラムの視点から見た自治体当局(直方市役所) に期待される取組みです。今日は視点を変え、自治体当局自身の主体的な選択という関心とテーマで、地域新電力事業、特に自治体が出資する「自治体新電力」について、若干の整理と検討を試みたいと思います。

ⅱ ドイツでは自治体が、電気やガスの供給、水道、路面電車やバスなどの交通、通信など、住民の生活に直結する多様な事業を行う「シュタットベルケ」(STADT WERKE、都市公社。英語では public utilities公益企業)と呼ばれるものがかなり一般的にあるようです。

専門的な論文(IEEJ「ドイツのシュタットベルケから日本は何を学ぶべきか」、「ドイツ・シュタットベルケの現地ヒアリング調査報告」など、webから検索できます)によると、ドイツでは1500前後のシュタットベルケがあります。出資から見ると、自治体が100%出資しているもの、他の自治体あるいは民間企業等と共同で運営しているもの、株式会社として上場しているものがあるとされています。

 公共性と効率の両方をにらみながら住民サービスを遂行するというのは、大変素晴らしいことですが、言うほどに容易なことではないでしょう。ですから、ドイツにおいてシュタットベルケが果たしているような多様な機能を、東京や大阪などの巨大都市ならともかく、日本の普通の自治体が見倣って実行することを期待するのは現実的でないように思います。

ただし、「ローカルエナジー」 (鳥取県米子市) といこま市民パワー株式会社(奈良県生駒市)は、生活総合支援事業としての「日本版シュタットベルケモデル」の構築を目指すなどとして一定の成果を上げているようです(後述)。

ⅲ 次に、環境省HPから閲覧できる「地域新電力事例集」(2021年3月、環境省大臣官房環境計画課地域循環共生圏推進室) の中から、福岡県内の3つの自治体(みやま市田川市市、事例集に掲載されてはいない北九州市)と、上記した「シュタットベルケモデル」を参考にしている自治体(米子市生駒市)を取り上げて紹介します。注目している点は、出資者、市民参加の有無、地産地消に関する具体的取組などの特徴的な活動です。

「地域新電力事例集」(2021年3月、環境省)

 

“環境エナジータウン直方を創ろう”と同じ提案だった! クローズアップ現代 電気代の不安▼住宅用太陽光パネルで“創エネ”暮らしどうなる 2023.10.10

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4⑶ 小規模分散電源を束ねるアグリゲーターとVPP(仮想発電所)についての学習と提携  2023.9.8

 ⅰ 家庭や事業所に設置された太陽光発電で発電した電気を売り買いする「地域新電力」として活動し、電気の地産地消を実現したいと述べましたが、電気の売り買いという活動を行うには、電気を物理的に管理制御する能力が必要です。パンなどの有形の商品であれば、生産者から納品してもらい、それを小売店舗などで販売することができますが、電気はそういう訳にいかず、発電場所から電気を必要とする需要家まで、地域全体の電気需給の均衡を保持しつつ、電線などを使って送配電することが必要になるからです。 

 ⅱ 太陽光発電システムは、従来の大規模発電所とは異なり一般の住宅や事業所など身近なところでも発電しているので、一般に分散型エネルギー源(DER、Distributed Energy Resources)と言われています。そして、分散した場所で発電した電気を売買する「地域新電力」としての事業活動を遂行するには、分散した家庭や事業所などの小規模分散電源を集め束ねる作業が必要となります。

 この小規模分散電源を集め束ねて大量に管理することが煩雑極まることは容易に想像できます。また、時には蓄電池を設置していることもある個人の側で電気を出し入れして売買することは、実際にはほとんど不可能です。このため、家庭や事業所が持つ電気を積極的に活用してビジネスとして成り立たせようとすることはこれまでほとんどありませんでした。

 ところが、ICTとかIoT※1という高度なエネルギーマネジメント技術が実用化されるようになって、小規模分散電源を集め (束ね)※2、遠隔・統合制御することが可能になり、電力の需給バランスを崩さないようにすることができるようになったと言われています※3。具体的には、再生可能エネルギーの供給過剰の吸収、電力不足時の供給、その他時間帯や季節ごとの電力需要格差を縮小する負荷の平準化です。

    ※1 少し前まで、デジタル社会、情報社会の到来が言われ、そこで求められるIT技術などと言われてきました。 IT(Information Technology)はデジタル機器で用いられている情報技術全般を指していますが、代表的な具体例はパソコンやスマートフォンです。そして、ITの中にICTとIoTが含まれています。ICTは「Information and Communication Technology」の略語で「情報通信技術」「情報伝達技術」IoTは「Internet of Things」の略語で、いろんなモノをインターネットでつなぐ技術全般を指しています。

   ※2 小規模分散電源を集める(束ねる)ことを英単語では「アグリゲート(aggregate)」と言い、その事業者は「アグリゲーター」と呼ばれています。

  ※3 資源エネルギー庁の補助事業として、豊田市太陽光発電や蓄電池、HEMSなどを導入した新築住宅67戸を対象に、電力需給に合わせた蓄電池充放電の遠隔操作を行ってエネルギーの地産地消とVPP機能を実証することが行われている(2019)。

 ⅲ 家庭や事業所に設置されている小規模分散電源の電気をアグリゲートし、あたかも一つの発電施設であるかのように機能させようとしているのがVPP(Virtual Power Plant)と言われる考え方です。仮想発電所とも呼ばれています。

 下図は、小規模分散電源とアグリゲーター企業、およびVPP(仮想発電所)や大手電力系統の一般送配電事業者などとの関係についてのイメージ図(資源エネルギー庁HP)です。 

小規模分散電源とアグリゲーター企業およびVPP(仮想発電所)や大手電力系統の送配電事業者などの関係イメージ図

 ⅳ  以上で述べたアグリゲーターは、小規模分散電源と直接契約を締結して制御を行うリソースアグリゲーターを指しています。しかし、上の資源エネルギー庁HP図では、さらにリソースアグリゲーターが制御した電力量を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者をアグリゲーションコーディネーターと呼んで区別しています。二つの役割を兼ねる事業者も存在しているようですが、大手の系統電力会社がアグリゲーションコーディネーターの役割を果たすのか、またその例があるのかは不明ですが、中部電力のHPで、アグリゲーションコーディネーターのことを「親アグリゲータ(電力会社)」としています。

 ⅴ この図からも窺えるのですが、従来は大手電力会社が「需要に合わせて電力供給を集中管理でコントロール」していましたが、分散電源時代では「供給に合わせて需要を分散管理する」形に変わるといわれています。

 そして、小規模分散電源を集める(束ねる)リソースアグリゲーターは、大手電力と分散している小規模の発電設備との間で「電気の需給バランスを束ねる中間事業者」などと説明されることがあります。私たちは電気の需給管理を勉強し、自分で電気の需給管理機能を遂行することができないわけではないのですが、やはりここはICTとIoTに関する高度な専門ノウハウを有して、VPP(仮想発電所)として求められる機能を確実に実践できる専門のアグリゲーター企業と提携することが必要になるようです。

ⅴ 地産地消型のVPP(仮想発電所)を目指している私たちとしては、地産地消型VPP(仮想発電所) を実現し、環境エナジータウンを創るという私たちの目標に理解を示してくれるアグリゲーター企業を見つけ、提携のための交渉をすることが重要で必要な作業となります

 資源エネルギー庁のHPを見ると、57社にのぼるアグリゲーター企業の情報が掲載されています(「特定卸供給事業者一覧」2023年8月6日時点)

 なお、資源エネルギー庁は次のような告示を出しています。アグリゲーターは特定卸供給事業者と呼ばれ、届出が必要になっています。

 「2022年4月より、特定卸供給事業者(アグリゲーター)制度が開始します。特定卸供給事業に該当する事業者は、事業を実施する30日前に経済産業大臣への届出を行う必要があります。・・・2022年4月1日時点で、既に特定卸供給事業に該当する事業を行っている場合は、制度開始以降も、継続して事業実施が可能です。その際は、2022年6月30日までに届出が必要です。」 

4⑵ 「地域新電力」事業のスタート & 進行におけるふるさと直方フォーラムの役割   2023.9.4

 ⅰ「地域新電力」を設立する最大の狙いは、電気の地産地消を実現し、住民が支払う電気料金が地域内で循環する経済の地域循環に貢献することです。

 前にみやま町における電気の地産地消に関する図を示しましたが(2⑷、2023.8.13)、ここではもう一つ、60年以上にわたり自治体、地元企業とパートナーシップを構築し、数多くの自治体新電力会の設立・運営に携わってきたというパシフィックパワーが示しているイメージ図を参考にして構想を練ることにします。

パシフィックパワーHPで示されている自治体新電力事業の仕組み

  ⅱ 結論から申し上げますと、「地域新電力」事業の主体をどうするかは、地域の政治社会状況を十分に踏まえ、“環境エナジータウン直方を創造する”という目標に相応しい公正さと未来志向を確保しつつ、実効性のある「地域新電力」の主体を確定することになると思います。

 このとき、ふるさと直方フォーラムは時代と社会の流れを的確に把握したうえで、上記イメージ図の動きを促進してその実現を図ります。

 つまり、まずは市民や事業所の太陽光発電システム設置についての理解と参加を高め、そこから徐々に自治体当局(市役所)へと、太陽光発電システムの設置と“環境エナジータウン直方” 創造の取組みに対する理解と賛同が広がっていくように努めるのです。若干迂遠に思われるかもしれませんが、これまでのところ脱炭素先行地域応募に名乗りをあげていないなどの直方市の状況を踏まえると、次善策としてやむを得ないと思われるのです。

 ⅲ そうして次に時機を見定めて、卒FITや余剰の電気を買ったり、それらを地元の企業に売る事業として、地域新電力事業をスタートさせるのです。

 地域新電力については、多くの市民や事業所に参加してもらうようにする誘引方法として前に触れました。前に紹介したみやま町も自治体新電力でしたが、今度は直方市が出資するなどして「地域新電力」の主体形成に参加し、“環境エナジータウン直方” 創造の取組みに積極的に関与する体制を創るのです。

 直方市に「地域新電力」の主体形成に積極的に参加してもらえないときは、取組みの初めに設立するNPO的な組織に民間の事業者が加わっていただき、「地域新電力」の主体として活動したいと思います。

環境エナジータウン創造の取組みにおいてふるさと直方フォーラムが果たす役割  太陽光発電システムを設置する(可能なかぎり蓄電池とセットで⑹  2023.9.2     

⑴ 市民への参加呼びかけ、市民や事業所とPPA企業との仲介に適切な組織の選択

 ⅰ 太陽光発電システムを設置する当事者は、さしあたり市民や事業所などです。このとき、ふるさと直方フォーラムは市民に取り組みへの参加を呼びかけるとともに、市民や事業所などがPPA企業(市民や事業所が所有する施設に太陽光発電システムを設置し、発電した電気を市民や事業所に売電するなどのサービスを提供する業者です)と接触・交渉し、PPA企業と市民や事業所などが契約締結に至る過程で仲介者のように行動します

 PPA企業と市民や事業所などが契約締結に至る過程で仲介者のように行動するというのは、イメージしやすい例で言うと、建物などの売買や賃貸借をするときの宅地建物業者と同じような役割を果たします。あるいはPPA企業の側から見ると、自動車保険などにおける代理店的な役割を果たすこともあり得ると思います。

 ⅱ 市民への参加呼びかけとPPA企業との接触・交渉は、どちらか一方の内容が明確になっていると、他の一方の作業を進めやすくなるという関係にあると思います。そのため、どちらの内容を先に明確にすべきかについては、卵が先か鶏が先かと似たところがあるように思いますが、現実にはどちらに先に取り組むというのではなく、できるところから始めていくことでいいように思います。

  これまで、1  直方市内の家庭や事業所、2  直方市内の公共施設など、3  筑豊地域全体の順で述べてきました。しかし、これはこの順で取組みをしなければいけないというのではなく、筑豊の地域ごとに、それぞれの実情を踏まえて実行可能なところから始めるということでいいと思います。

 つまり、筑豊の各地域で独立して活動をスタートしていただいていいし、反対に、早い段階で筑豊地域全体を包括する単一の組織をスタートさせることも考えられます。あるいは両者の中間をとり、初めは地域ごとに独立して活動し、後に適切な時点で統一することも考えられます。

 いずれにせよ、参加者は熟慮して、それぞれの地域に合った組織形態を選択できます。そして将来どこかの時点で、筑豊地域全体を包括する単一の組織になったり、あるいはその単一の組織と連携する形で取組みを進めることもできます。

 刻々と変化している社会のなかで、これまでになかったような取組みをスタートさせ、持続可能な未来社会の形を創造していこうというのですから、“環境エナジータウン”の創造という目標は一貫しますが、そのための取組み姿勢は柔軟でありたいと思います。

 ⅳ 仲介者的あるいは代理店的な役割を果たすとき、民間企業や一般社団法人として活動することが考えられますが、営利目的の活動ではないことを明示するために非営利のNPO法人とするのが適切かもしれないと思っています。もちろん、NPOであっても、恒常的に安定した活動を続けるためには、活動コストをペイできる体制を整えなければいけません。呼びかけに応じて5人前後の人が集まった時点で、相談して組織体制をどうするか決めたいと思います。

  組織体制をどうするか以上に重視していることがあります。それは、最初に太陽光発電システムを設置するときはもちろんですが、設置以後の重要な段階、つまり、日常の保守管理、卒FIT時の電力買取、さらには耐用期間を経過した太陽光発電パネルの撤去、撤去後の収集・運搬・リサイクルを含めて完璧なアフタケア体制を用意することです。このことを周知徹底して、市民・事業所などとPPA企業が安心して私たちに仲介業務を依頼してくれるようになりたいと思っています。 

 ⅵ PPA事業については、国内ではエネルギー、不動産、ファイナンス、再エネ、設計・調達・施工(Engineering,Procurement,Construction)の業務を請け負うEPCなど、50社以上のさまざまな企業が参入しているようです。

  ※ 太陽光発電システムの設置の場合ではありませんが、卒FIT電力の買取を行うために設立された丸紅系の会社は卒FIT電気の買取業務のための代理店を募集しています。超大企業であっても、再エネに関連することを全国的に展開することは自力ではできず、全国各地で手足になる者を必要としていることだと思います。

 「PPA企業」をWeb検索すると、PPA事業を行っている多数の企業情報を一覧できるサイトが容易に見つかります。例えば、前に ⑶(2023.8.12)で紹介した「エコ発」(https://www.eco-hatsu.com/0yen_solar/)や「NET ZERO NOW」のサイトです。「NET ZERO NOW」は主として法人向けのPPA事業をしていますが、オリックス、大林組関西電力Looopなど12の有名企業が名を連ねています

 ⅶ そこで、一覧サイトなどに掲載されているPPA企業の中から、それら企業が提供するPPA契約の内容と条件を確認する作業からスタートすることになります。例えば、NET ZERO NOWは「PPA事業者は似たサービスを提供しているように思われがちですが、サービスの内容や契約条件、料金は大きく違っているので・・・PPA事業者選択は慎重に」と述べています。

 私たちとしては、地産地消型VPP(仮想発電所)」を目指す私たちの活動に理解を示してくれるPPA企業と接触し、私たちが市民や事業所などとの間で仲介あるいは代理店的な役割を果たすことに関する意向と条件を確認します。そして、PPA契約の内容と条件が直方の市民や事業所にとって少しでも有利になるものをいくつか選び、私たちに仲介業務を委託してもらえるか交渉します

 ⅷ かくして、仲介業務の委託について合意が成立した委託企業について、PPAサービスに関する情報を広報宣伝します。そして、建物などの売買や賃貸借をするときに宅地建物業者が提供するのと同じような仲介サービスを、PPA契約の締結に向けて実施することになります。

   ※ 私たちが仲介等して太陽光発電システムを設置することになったときは、仲介手数料として、例えば、市民や事業所とPPA企業から、相当額を謝礼として頂戴します。実際に仲介業務を担当した人への報酬、さらなる広報宣伝のための費用などに充てることになります

 

 以下では、PPA企業が提供しているPPA契約の内容や条件に関し、詳しい紹介は後日になりますが、エコ発」に掲載されている特に興味深い例について、簡潔に示しておきます。

 ①太陽光発電システムの初期導入・工事費について、足場があることが前提とするものがある(京セラ関電エナジー合同会社)一方、すべての設置費用が0円で、約10年後に客に完全無償譲渡されるときも長期保証付き(機器保証5年、出力保証15年)というものもあります(株式会社新日本エネックス・0円太陽光発電システム)。

 なお、博多区には他に、株式会社サニックス太陽光でんきがあり、サニックスでんき「電動DRIVE HOUSE」プランを提供しています。

 ②設置後の契約期間について、太陽光発電は10年、蓄電池付のプランは14年、契約期間中の電力料金140kWhまで0円 超過1kWhにつき25.85円(税込み)で、太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、 蓄電池、HEMSなどのシステム機器はすべてシャープ製品を採用とするものがあります(シャープエネルギーソリューション株式会社・COCORO POWER)

 ③ PPA企業と市民や事業所などとを仲介あるいは代理店的な役割を果たすサービスは、ふるさと直方フォーラムが最初に考案したと思っていたのですが、「仲介」と言わずに「マッチング」を促進するという表現をしているものがあります(公益財団法人京都市環境保全活動推進協会 アジェンダ課(委託事業受託事業者)・京都0円ソーラープラットフォーム)」     以上

 次回、⑵「地域新電力」事業のスタート進行における、ふるさと直方フォーラムの役割、に続く。

筑豊の市民と市町村当局にも電気の自給自足と地産地消を呼びかけ、余剰電力を八幡の日本製鉄に届ける  太陽光発電システムを設置する(可能なかぎり蓄電池とセットで)⑸  2023.8.26

3 筑豊炭田として官営八幡製鉄所と殖産興業時代を支えてきた伝統を共有する田川、飯塚、中間、宮若、福智町など筑豊地域の市民と市町村当局に呼びかけて電気の自給自足と地産地消を実現する。その成果として発生する余剰電力を八幡の日本製鉄に届けるプロジェクトを実行する。

 ⑴ 環境エナジータウン直方は、もちろん直方市の地域を想定した提案です。そして、環境エナジータウンを創ろうというとき、有志の市民が核になって取り組みを始めることを想定しています。

 ところで、殖産興業の時代、直方には筑豊炭田として石炭を産出し、遠賀川や鉄道を使って八幡製鉄所北九州工業地帯に石炭を供給してきた伝統があります。この伝統は、「初めに」で述べた内発的外部交流型の「内発」の内容に含まれるでしょう。

 そして、筑豊炭田という伝統を踏まえた街づくりに取り組むことにより、直方における電気の自給自足と地産地消を達成できるだけでなく、筑豊地域の全体においても同じようなことを達成する可能性が少しでも増えるなら、是非とも筑豊の各地域と自治体で同じような取組みをスタートさせてほしいと願うのです。

 

⑵ 先日、次のような記事を見かけました。

 「日本の産業の近代化に貢献した官営八幡製鉄所をルーツに持つ、日本製鉄九州製鉄所八幡地区(北九州市)から、製鉄所のシンボル的存在である高炉の火が消えることになりそうだ。・・・日鉄は2030年までに八幡地区の高炉を休止し、二酸化炭素(CO2)排出量が少ない電炉を新設する検討を始めた。・・・将来的にはCO2が出ない水素を使った高炉での製鉄を目指すが、水素の安定供給に課題がある。」(「八幡製鉄所」から消えるシンボル 脱炭素で高炉から電炉へ転換方針 毎日新聞 2023.6.26)

 そこで、伝統を共有する地域と自治体で産み出された再エネの余剰分を、蓄電池あるいは圧縮水素にして、遠賀川彦山川犬鳴川を下り、あるいは鉄道を使い、下流の若松や芦屋を経由するなどして八幡の日本製鉄に届けることを提案したいのです。脱炭素社会の実現に大きく貢献できることはもちろんですし、将来の子どもたちに、筑豊という地域への誇りと愛着心を大きく高めてくれると考えます。

約80年ぶり遠賀川に浮かんだ五平太舟=2018年3月19日西日本新聞(左)と造船資料館・遠賀川を帆走する川ひらた(右)

 なお、化石燃料に代わる代替エネルギーとしての水素の利用は、トヨタ自動車燃料電池車“ミライ”で使われていますが、さらなる活用が現実的な政策課題となっています。つい先日も、政府は来年度予算案の概算要求に、二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代航空機の登場を見据え、水素を活用する航空機の開発を後押しする航空機部品メーカー、水素の製造装置や蓄電池などへの設備投資促進策として、総額1兆2000億円余りの「GX経済移行債」を盛り込むと報じられています。

 今日ここで提案している活動は、水素の製造装置や蓄電池などへの設備投資に関係する取組みとし、上記「GX経済移行債」による補助対象事業になるのではと思います。