ふるさと直方フォーラムは、2021年10月以来、環境エナジータウン直方の創造に向けた提案をしてきました(2021.10.10付「環境エナジータウン直方を実現する施策やプロジェクトを提案します」)。
そして、施策やプロジェクト提案の実現可能性をアップさせるため、参考にしたい自治体の活動を検討し、紹介してきました。諸事情により前回の紹介から少し、間が空きましたが、最後に、ローカルエナジー株式会社(鳥取県米子市)を紹介します。
以下の6回に分けて連載する予定です。6回の連載が終わったのち、これまでに取り上げて検討した5つの自治体における地域新電力に関する具体的な情報を参考にして、上記「2021.10.10付「環境エナジータウン直方を実現する施策やプロジェクトを提案します」を書き直し、最終的な提案とします。
そして、ふるさと直方フォーラムの最終的な提案として、直方と筑豊で、友人・知人やいろんな関係方面の方々とお会いしていただき、提案の実現に向け活動したい所存です。
ニ 事例3-7 ローカルエナジー株式会社(鳥取県米子市、人口約15万人、 世帯数約69,000)
[目次]
1⃣ 概要
2⃣ 公に認められた活動成果
3⃣ 気づいた点・気がかりなこと
4⃣ 新しい動き
5⃣ 受けた示唆・教訓
6⃣ 最後に
1⃣ 概要
⑴ 「ローカルエナジー」は、米子市(鳥取県、人口15万人弱)と隣接する境港市(人口約3.3万人)、それに地元ケーブルテレビ(CATV)である(株)中海テレビ放送など5つの地元企業(中海テレビ放送以外は米子瓦斯(株)、皆生温泉観光、山陰酸素工業、三光)が2015年12月に設立した地域新電力です(設立当初の資本金 9,000万円のうち、 米子市・境港市が合わせて10%出資、残り90%は地元企業5社が出資)。
⑵ 設立に際して、鳥取県内の有志がドイツを視察、官民連携による「日本版シュタットベルケを実現しよう」の気運を育み、『ローカルエナジー』設立に至ったとのことです。その反映でしょうか、「地域新電力事例集」掲載情報によると、「エネルギー消費により、地域からお金が流出する仕組みを地域でお金が回る仕組みに変えることを目指」すとしています(「ポイント」。鳥取県では年間約1,000億円程度が「電気代」として地域外に流出しているとの独自試算がある)。そして、「事業目的・ビジョン」として、「エネルギーの地産地消で地方創生」(エネルギーの地産地消⇒地域経済基盤の創出⇒地方経済の自立⇒地方創生)を掲げています。
⑶ 地域に根差しているガス会社やCATV会社が出資し、CATV会社が入居するビルに地域新電力の事務所が置かれています。そして、(株)中海テレビ放送の代表取締役社長がローカルエナジーの代表取締役を務め、「通信や放送に加えてエネルギーも供給するようになり、真にまちづくりの会社になった」と発言しています(加藤 典裕「中海テレビ放送の成長戦略と未来への構想 地域をつなぎ選ばれる街へ」、事業構想 2023年4月号 )。
地域新電力として極めて珍しい例だと思われますが、上の⑴であげた以外に、地域の住民に親しまれているに違いない皆生温泉観光(株)も出資者として名を連ねています。このことから推測しますと、これらの企業が出資参加することで住民になじみがあって浸透しやすく、地産地消をいっそう実現しやすくなるとの狙いがあるのかもしれません。 (2⃣に続く)