ⅲ そこで、地域経済循環を確立する意義について確認します。
簡易解説は「地域経済循環率は・・・域内で生み出された所得がどの程度域内に環流しているかを把握するもの」(5/15頁)であると説明しています。また、さきほどⅰで、地域経済循環率は地域経済の自立度を示しており、その値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高いことを意味すると述べました。
ⅴ 直方に限らず、地域を元気にするという最終目標との関係では、私はこの域内の経済循環を確立できるかどうかが決定的に重要と考えています。ですから、製造業を強化することで域内での経済循環をしっかりしたものにしたいということで、域内の経済循環に着目し、そこに目標を置いている大塚市長の判断はきわめて正しいと思います。
情緒的な理由になりますが、私たちが中、高校生だった昭和の40年代、直方駅前から須崎町、古町、殿町の商店街で賑わいを眼にしていましたが、あの頃はきっと、滞りや流出のない経済循環があったのではないかと思います。
つまり、市民の多くが直方市内の企業や商店で働いて稼ぎ、市内で消費し、支出して、お金が市内を周っていたように思うのです。また、そうした域内の経済循環が確立されていたから、直方という地域の経済と文化はそれなりのものとして存続していたと思うのです。域内の経済循環がほころびているのに、それには無頓着で行政が文化を先導するなんて、危なっかしいのはもちろんですが、面白くもなんともありません。
ⅵ そして、私たちが求めている“直方を元気にしたい”は、語弊をおそれずに言いますと、お金が市内を周っている≒域内で経済が循環していることではないかと思います。逆に、いくら産業活動が盛んになり、生産(付加価値額)が大きく増えて稼ぐ力が付いても、分配(所得)あるいは支出の段階でお金が域外に流出してしまい、お金が市内を周っていない=域内の経済循環がない状態では、到底、直方に元気が戻ったとは言えません。
ちなみに、政府の地方創生は、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを最終目的としていますが、そこに至るためには “まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立”が必須であると考えています。
すなわち、政府の地方創生が提唱する“まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立”は、地方の「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立し、・・・その好循環を支える「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境をつくり出すことを目指しています。
そこでいう「好循環を確立し」というのは、経済的側面に着目して表現すると域内経済循環が確立されることを意味していると思います。つまり、政府の地方創生は、域内経済循環を確立できたなら地方創生はほとんど達成されると考えているのです。それをただ、“まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立”と表現しているだけです。
そうしますと、“直方を元気にしたい”を実現するために、政策ないし施策を実施するさいの目標として位置づけられる「域内経済循環の確立」は、表現は少し違っていますが、政府の地方創生が追い求めているものと究極的には同じということになります。
域内経済循環を確立させることこそ、自治体の政策ないし施策の本丸であり、“直方を元気に! ”と直結するものというわけです。
そして、うっかり忘れていましたが、私たち「ふるさと直方フォーラム」が掲げる目標スローガンは “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼” であったのです。
(つづく)