ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

製造業を強化すると投資対象としての直方の魅力が向上して市内での投資が増加するか!? 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(15)ー2019.11.27

ハ 以上で明らかになりましたように、域内経済循環を確立することは決定的に重要です。ですから、地域経済循環率92.6%については、宮若市116.7%、福岡市111.8%を除き、直方市の周辺自治体にはもっと憂慮される自治体があることを認識しつつも、直方市の地域経済循環率が1を割る(=100%を切る)原因を明らかにして、果たして製造業を強化することがこれを1(=100%)以上にする適切で効果的な取組みになるかを検討します。

 

ⅰ 初めに、地域経済循環図(2013年)の「支出」の欄にある「詳細に見る」をクリックすると下の図を見ることができます。

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https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/40/40204/2/2013 注 上の図の中にある【グラフと表の見方】が途中までしかピクチャできていないのですが、末尾の「・・・地域内に支」に続いて、以下の文章が続きます。 (・・・地域内に支)出された金額が多い場合は、その差額が赤色のグラフとして表示され、支出が地域外から流入していることを意味します。上記の表は、地域内の住民・企業等が支出した金額に対する流出入額の比率を示す「支出流出入率」を把握することができます。 表に記載されている順位は、都道府県単位では全国47都道府県、市区町村単位は全国1,719市区町村におけるランキングとなっています。

ⅱ つぎに、「詳細に見る」をクリックして見ることができる支出」の詳細図の棒グラフと表が意味していることについて、上の図の中にある【グラフと表の見方】を参照してください。以下にコピーして貼り付けていますが、文章中の次の箇所が重要です。

 

支出」では、地域内の住民・企業等に分配された所得がどのように使われたかを把握することができます。・・・各棒グラフは、地域内で消費・投資された金額を示しています。地域内の住民・企業等が支出した金額より、地域内に支出された金額が少ない場合は、その差額がグラフでは空白の四角で表示され、支出が地域外に流出していることを意味します。逆に、地域内の住民・企業等が支出した金額より、地域内に支出された金額が多い場合は、その差額が赤色のグラフとして表示され、支出が地域外から流入していることを意味します。

上記の表は、地域内の住民・企業等が支出した金額に対する流出入額の比率を示す「支出流出入率」を把握することができます。表に記載されている順位は、都道府県単位では全国47都道府県、市区町村単位は全国1,719市区町村におけるランキングとなっています。

 

ⅲ 簡易解説さらに詳しく次のように説明しています(簡易解説の「③支出の分析」(4/15頁)は例を用いて解説していますが、以下ではその解説が直方市の状況に妥当するよう、解説中の数字等については、リーサス中の直方市の地域経済循環図・支出(2013年)に記載されている数字等と置き換えて示しています。また、文字の色は原文はすべて黒色です)

 

棒グラフは地域での「民間消費額」、「民間投資額」、「その他支出」の額を示したものです。「その他支出」とは、政府支出と地域産業の移輸出入収支額等が含まれており、市役所や国の出先機関等からの発注額などもこの項目に含まれます。この棒グラフの青い部分は、消費や投資など、地域に支出された金額を示しています。直方市の場合は、「民間消費額」が1022億円、「民間投資額」が223億円、「その他支出」が81億円となります。

 

一方、青い部分の上部にある点線に囲まれた部分は、他地域への流出額を示しています。直方市の場合では「民間消費額」は他地域から379億円流入しており、「民間投資額」では73億円流出しており、「その他支出」では他地域へ443億円流出していることになります。

 

次に、棒グラフと併せて表示される表の「支出流出入率」とは、地域内に支出された金額に対する地域外から流入・地域外に流出した金額の割合を示します。この値がマイナスの場合は、地域で稼ぎ、地域で得た所得が他地域へ漏れていることになり、企業の新たな生産販売活動に繋がらず、地域の経済循環がうまく機能していない可能性があります。地域が地域内外の消費、投資をより多く受け止め、稼ぐ力を付けて、付加価値を高めることが重要です。結果として、地域の労働生産性も向上していきます。

 

ⅳ 大変、示唆に溢れた文章ですが、重要な点を確認し、教訓を整理しておきたいと思います。

①初めに、直方市の地域経済循環率が92.6%であることを支出面に着目して具体的に示すと、「民間消費額」が他地域から379億円流入し、「民間投資額」では73億円流出、「その他支出」も他地域に443億円流出しています。そして、表の「支出流出入率」を併せ見ますと直方市の地域経済循環率92.6%が意味するところをより深く知ることができます。

 

②すると、直方市の「民間消費の支出流出入率(地域外からの流入379÷支出(地域内ベース) 1,022」は37.1%で全国1,719市区町村中なんと80位とトップ100にランクインする優秀さです。

 市内に居住する比較的若い世代を中心に博多に出かけて買物したり、市外でレジャーを楽しんでいますから若干意外ですが(これらは本来、分子の要素である「地域外に流出した消費の額」として計上すべきかと思いますが、どうもここでは無視されているようです。果たしてそうなのか、なぜ無視していいのかなど、後日分かれば訂正します)、地域外から多額の消費需要が流入しているなんて大変結構なことです。

 

ただ、地域外から多額の消費需要が流入しているというのは、市内の商店街における消費というよりは、郊外の直方イオン、明治屋もち吉などで、地域外からの個人や企業による消費が貢献しているということではないかと推測されます。そのため、「郊外型店舗が地域内にあっても、消費の場が郊外に分散することで、消費者が滞留し回遊する時間が減ると、消費の水準が低下することがデータ上明らかになっています。」(前掲、地域経済循環分析解説11頁)との指摘もあり、まちづくりの観点からは留意しておかなければいけません。

 

③しかし、民間投資の支出流出入率((地域外への流出+地域外から流入した金額)÷支出(地域内ベース))は-24.8%(この計算式は、-73÷223=-32.7となるのではと思いますが、なぜか-24.8と表示されています。ただし、今日は専門家であるリーサスの表示に従っておきます。)で全国1,106位、その他支出の支出流出入率((地域外への流出+地域外から流入した金額)÷支出(地域内ベース))は-84.6%(ここも-443÷81=-5.469で-546.9%となるのではと思うのですが、上記と同様の対応です。)で全国1,151位です。

 

民間投資が地域外へ流出しているというのは、市民や企業が直方市で稼いだ所得を使って他地域の何かに投資しているということでしょう。具体的に主なものは、株式や金融商品あるいは市外の不動産等を投資目的で購入しているなどでしょうか。そうだとすれば、それは市民や企業の合理的な経済判断によるものでしょうから、やむをえないことで抑制することはできないかもしれません。

 

なすべきは、市内での投資が増えるよう、投資対象としての直方の魅力を向上させる、市民の側から見ると、市民が当事者意識をもって積極的に参加する気持ちになるような投資の機会と場を市内に創り出すことでしょう。あるいは、人口増の傾向を作り出し、地域としての成長力を増やすなども広くはこれに含まれるかもしれません。

 

④ では、製造業を強化すると、投資対象としての直方の魅力が向上して市内への投資が増加し、それにより民間投資が地域外へ流出する状況を改めることができるでしょうか。

 強化された製造業自身による市内での投資が増えなければなりませんが、なかなかそれについて現実味あるイメージを描くことができません「イヤ、現実性があるんだ」というご意見があれば、是非とも聞かせてください。