壬生市長が議会答弁で市長選再出馬を表明している。新聞報道によると、壬生氏は「市長になって初めて実施した施策は道半ば。・・・・目標に到達しなかったものについては到達できるよう考えていかなければならない。・・・」(毎日新聞2018年9月20日地方版)と述べている。そこで、壬生氏の再出馬表明をどう受け止めるか、支持すべきか、注文を付けるべき点は何か、壬生氏が到達したいという『目標』とそのための『施策』に焦点を合わせ、明日から何回かに分けて考えてみたい。今のところ、以下の項目を予定している。
1. 市政に取り組む基本スタンスと施策の選択決定
2. 直方市の人口ビジョンと将来の財政状況への留意
3. 誘致や視察について
4. 中央省庁等への職員派遣
5. 教育分野
6. 農業施策
7. 文化政策
壬生市政を総括するために眼を通したのは直方市のHPにアップされている以下の情報です。ただし、直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略検証委員会報告など、直方市HPの検索エンジンで検索しようとしてもヒットせず、同じ言葉を外部のグーグルで検索するとヒットするものがいくつかあります。HPのシステム全体を見直すべきです。
また、市の計画のうち最も重要な計画とされている第5次直方市総合計画に関する「第5次直方市総合計画にかかる市民会議」や「第5次直方市総合計画審議会」など、そもそもHPにアップされず公表されていないものもかなりあるようです。
壬生氏は「市政が公平・公正であるかどうかを市民が判断するためには、 市政運営の過程が透明でなければなりません。透明であるとは、市政に関する情報が市民に十分開示され、市民が、市政運営の過程を監視し、批判し、検証できる状況にあるということです」(平成27年6月26日市長所信表明)と基本方針を述べていますが、実際に現場では徹底できていないのです。
昔に比べると、公表というか説明責任の遂行は随分向上してきているとは思います。しかし、住民の異動受付窓口である市民課で住基ポイントデータをリアルタイムに整備する『住基台帳のポイント化による緻密な政策立案』https://www.esrij.com/industries/case-studies/94936/ の仕組みを構築して庁内業務効率化の成果を挙げているとPRしているのですから、外部に対する説明責任と透明性を果たすための情報についてはそれ以上に、実際に利用する市民の立場に立って、関係者が不断の改善に取り組むことを希望します。
〔施政方針など〕
- 平成30年3月8日市長平成30年度施政方針(234KB; PDFファイル)
- 平成29年3月9日市長平成29年度施政方針(152KB; PDFファイル)
- 平成28年3月9日市長平成28年度施政方針(248KB; PDFファイル)
- 平成27年6月26日市長所信表明(147KB; PDFファイル)
- 平成27年4月27日市長登庁式職員への訓示(61KB; PDFファイル)
〔直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略〕 関係
直方市人口ビジョン (2638KB; PDFファイル)
直方市まち・ひと・しごと創生総合戦(改訂版) (3829KB; PDFファイル)
直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略(概要版)(996KB; PDFファイル)
【資料6】施策の見直しについて (134KB; PDFファイル)
【資料8】直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略検証委員会報告事業
〔策定された第5次直方市総合計画(後期基本計画)〕関係
第5次直方市総合計画-基本構想 (5932KB; PDFファイル)
第5次直方市総合計画(後期基本計画)-資料編(13833KB;PDFファイル)
なお、壬生氏の『目標とそのための施策』について検討する前に、一点述べておきたいことがあります。話は逸れますが、壬生氏が2015年4月に無投票で市長に就任して半年ほどしか経っていない頃です。壬生氏は市長選に立候補した時のパンフレットなどで「(これまで刑事司法の狭い世界で生きてきたが)これからは多数の人の公共利益のために力を尽くしてみたい」「市長になった暁には市内をくまなく廻り、現場を見て学びたい」という趣旨の抱負を述べていました。
そして、それまでの刑事司法の狭い世界から、人口6万人弱とはいえ自治体の首長職を務めることになったのですから、市民よりも市の職員よりも誰より一番、直方の現実と公共利益のあり方を知らないのは自分であると自覚し、それくらいの謙虚な姿勢で、人口減少と高齢化が進む直方市の再生と創生を目指し、さぞかし不眠不休でまい進してくれるだろうと期待していました。
ところが、直方市が関係する民事事件の代理人として弁護を引き受けるなどというならまだしも、あろうことか福岡県警元警視の詐欺未遂事件で私選弁護を引き受けると全国的に大きく報道されました。どこにそんな脇目を振る余裕があるのかと期待を裏切られた気持ちでしたが、報道の一般は同意するでも批判するでもない、ただ珍しい出来事を報道するという印象でした。しかし、壬生氏と市の事務局は地方自治法を含め法律上違法ではないとの立場で態度は変わらず、そのまま1審有罪、控訴審も控訴棄却になっています。
私選弁護を引き受けることが地方自治法上適法か違法かなどという、法を生業にしている者にとっての関心と次元からどうこう言っているのではありません。まったく素朴に、直方に対する思い入れを問いたいのです。今考え直しても、私選弁護を引き受けたとき、直方市のことだけに専念する気持ちがないことを明らかにした時点で壬生氏は市長を辞すべきでした。本人が辞職しないのであれば市議会は不信任決議なりをすべきであったと思います。
私はこのように考えますから、再出馬表明をすんなりと受け入れる気持ちにはとてもなれません。少なくとも壬生氏自身、『目標とそのための施策』を語る前に、上記の刑事事件弁護についてどう考えているのか、また今後も弁護士として活動を続ける意思があるかどうかについて明らかにしてほしいと思います。
補遺 以上を書き終えた後で気づいたが、詐欺未遂事件の私選弁護引受けについては、当時、地方自治法中心に行政法の視点から考察しています。参照ください。
市長に対する監査請求に思う(上) 2016.7.26 - ふるさと直方フォーラム