ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

2019直方市長選:総括壬生市政 第1回 壬生氏は市長選に再出馬する『目標とそのための施策』を明らかにせよ 2019.2.1 3.17

1回目は「市長として掲げる『目標とそのための施策』」について考えます。

しかし、肝心の到達したい『目標』とそのために考えている『施策』がハッキリしません。壬生氏に限ることではありませんが、およそ市長に立候補しようとするならば、達成したい『目標』とそのために実行しようとする『施策』をハッキリと示してもらわないと、有権者やマスメディアそして対立する候補者として議論のしようがありません。

 

昔なら漠然とした選挙公約で足りていましたが、最近は候補者や政党が有権者に向けてマニフェスト(政権公約)を発表し、それに基づいて有権者が候補者や政党を選択するというのが民主選挙の基本になっています。「知恵蔵」を見ますと、「それまでの選挙公約が総花的で、抽象的であったのに対して、マニフェストでは政策実施に必要な財源や、いつまでに実現するか期限を示すことが加わった。個別的な利益誘導ではなく、マクロな問題について政党が大きな構想をマニフェストで示すことによって、国民による政権と政策の選択が可能になるという期待がある」と説明されています。

 

ちなみに、政策評価法3条は政策評価の在り方について、「行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果(略)を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。」と定めています。政策評価有権者の判断材料という違いはありますが、「いつまでに、何について、どのようなことを実現しようとしているのか」を明らかにすることは両者に共通の必須事項です。

 

ひょっとしたら誤解があるのではと気になるのですが、壬生市長は「これまでの慣習や慣例にとらわれず、直方市政を見つめ直す」を公約に掲げていました(選挙公約、市長登庁式職員への訓示)。また、「公平・公正で透明な行政の実現」も掲げています(平成27年6月26日市長所信表明平成27年4月27日市長登庁式職員への訓示)。さらに、平成 28 年度の目標として、「「伝える・伝わる」、「聞く・聞こえる」という双方向による発信と対話の推進を基本的な方針として市政に臨んでまいります」とも述べています(平成28年度施政方針)。

 

市民のための市政を推進するに当たって是非ともそのような姿勢で臨んでほしいと思いますが、それらは市民が市政の主役である現代の自治体行政が当然に守るべき基本姿勢であり行政手法であって、上記でいう『目標とそのための施策』ではありません。仮に、訳あって、基本姿勢なり行政手法を実現し維持すること自体が壬生氏の考える市長としての最終目標であるなら、理由を含めそのことを市民に明らかにすべきです。

 

ちなみに、人口減少と高齢化に直面する現在の自治体が『目標とそのための施策』を設定しようとするときに最も参考にすべきは、少子高齢化の進行や人口減少の現状、そして「東京一極集中」の傾向を正しく認識したうえで、『まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立』を目指している「まち・ひと・しごと創生総合戦略 (2017 改訂版)」

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/honbukaigou/h29-12-22-shiryou1.pdf

かもしれません。国レベルのものですが、この「総合戦略」は4つの「基本目標」として以下の4つの「基本目標」を設定し、それが地方における政策効果として多様な形で結実することを狙っています。

<基本目標①> 地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする

<基本目標②> 地方への新しいひとの流れをつくる

<基本目標③> 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

<基本目標④> 時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する。

 

もちろん、学問をしているのではなく実務の場の話ですから、「基本目標」を設定した後では、「政策(基本目標ないし基本方針)ー施策(政策を実現するため の具体的な方策や対策)ー事務事業(「施策」を具現化する ための個々の行政手段)」の政策体系を完成させなければいけません。

 

参考までに、ふるさと直方フォーラムの提案(初出2018.9.19)の目標は、「オール直方の力を結集し、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創ろう!」です。そして、その趣旨を説明した後、〔取組み〕として、「福智山と遠賀川彦山川のある自然環境の保全活用」から『4 財源の調達』までの計4つを挙げています。ですから、この〔取組み〕というのは政策体系でいう「施策」です。〔取組み〕は、さらに「福智山と遠賀川彦山川のある自然環境の保全活用」については、「イ 遠賀川河川敷のサイクリングロードの積極活用」や「ロ サイクリングロードとリンクさせた『直方道の駅』の開設」「ウーバー・サービスの導入」を含む4つを事務事業として挙げています。

 

そこで壬生市長の「平成 30 年度 施政方針」を見ると、次の構成です。「1 財政硬直化の緩和 2 産業・農業の支援強化 3 福祉政策の一層の推進 4 教育環境の整備 5 文化政策の一層の推進 6 観光振興の推進 7 複合施設の建設 8 人財の育成の推進と充実」。これでは羅列してあるだけで政策体系の体を踏まえた施政方針になっておらず、『目標とそのための施策』を読み取ることができません。再出馬表明の理由として「実施した施策は道半ば。目標に到達しなかったものについて到達」できるよう考えていかなければならない」と言うならば、『目標とそのための施策』を是非とも明らかにしてほしいと思います。

 

なお、直方にも「直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成30年5月一部改定)があります。その策定にあたり、市長は本部長として、審議会委員の委嘱等を含め、これをリードしているはずです。そして、総合戦略はその名のとおり『(まち・ひと・しごとという)目標とそのための施策』を実現するための「戦略」を述べるものですから、従来の総合計画のように、審議会に答申してもらって専門性や民主性を装い、策定してもらって終わりでは意味がありません。そして、市長の施政方針や所信表明にもしっかりと反映させ、整合性以上の首尾一貫性を確保したうえで、大いに活用してほしいと思います。

 ※ 地方自治法改正による総合計画の法的位置づけの変更と拘束力の消滅について、

  随分以前に指摘しているが、市のHPではいっこうに是正されていません。

  いささか恥ずかしいことと思います。