ふるさと直方フォーラムの《目標》 初出2018.9.19
改訂 2018.11.6、11.21
2019.1.30
オール直方の力を結集し、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創ろう!
(注 直方市が目指す将来像は以前、「市民一人ひとりが輝き 笑顔つながるまち」「夢と誇りの持てるまちづくり」だったが、「第5次直方市総合計画」では、未来を担う子どもたちをはじめ、市民の誰もが将来にわたり住み続けたいと思えるまちを目指して、まちの将来像を「市民一人ひとりが輝き笑顔つながるまち」と定めている。そして、上記日時に市のHPのトップを見ると、「誰もが輝き、笑顔つながるまち」のみになっている。)
[趣旨]
「ふるさと直方同窓フォーラム」は2014年3月の発足以来、「未来志向でふるさとの直方と筑豊を再生し活性化しよう❣」を目標スローガンに掲げ、「若い世代がふるさとを誇れる街にしよう!! シニア世代がふるさとで安心して快適に暮らせる街にしよう!!」「ふるさと出身者がUJターンしてふるさとで暮らしたくなる街にしよう!!」を発信してきました。
来年3月に発足5周年を迎えるに当たり、名称と目標をいっそう明快なものに改めました。そうです。名称から同窓を取ってふるさと直方フォーラムとし、より広範な意見を結集できるようにしました。また、目標を「オール直方の力を結集し、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創ろう!」とシンプルで明確なものにして発信していきます。
【視点】
1 直方で生まれ育った者として、人格形成に大きな影響を受けてきた風景や歴史的遺産を大切に保全してほしいと思います。ただし、未来を志向する文化や教育レベルの向上は、経済と生活の基盤をしっかりとしたものにすることを通して実現できることに留意して施策を展開します。
2 現在の直方市民だけでなく直方にゆかりのある人やこれまで直方を通り過ぎていた人たちにも直方に立ち寄ってもらえる街づくりを進めます。
[説明] 直方市でも現在、人口減少が着実に進行していて21年後の2040年の人口は42,784人と推計されています。つまり、現時点で公表されている直方市の人口は57,686人ですが、ここ数年市内の出生数は年約500人です。そして、20~39才の女性が赤ちゃんを産むとして、その数は現在約5,500人ですが現在既にハッキリと減少傾向にあり、20年後の20~39才の女性の数、つまり今現在、0~19才の女性は約4,800人です。
一人の女性が出産する赤ちゃんの数が現在と変わらず、かつ成人して以降市外への転出入がないと仮定すると、20年後の出生数は年約436人になります。しかし、より信頼できる機関の推計では20年後2040年の直方市内の出生数は年約300人です。今現在0~19才の女性が成人して以降、多数が市外に転出しているという現実の傾向を織り込んでいるからでしょう。
人口に関する減少傾向を示す以上の推計が増加に転じる要素は今のところ見当たりませんから、推計どおりになる蓋然性は極めて高いと思われます。こうして、年約300人の出生数は2040年以降も減少を続け、早晩、4万人を割り、私たち団塊の世代が100歳になる2050年には3万5千人を割ると推測されます。
不確かなことばかりの未来ですか、直方市の将来像を描こうとするとき、人口が現在の半分以下に減少するということはきわめて実現可能性が高く、施策を検討するさいには大前提として常に念頭においておかなければならない政策要因です。
また、直方は現状では特に有利な観光資源に恵まれているわけではありませんから、直方にゆかりのある人やこれまで直方を通り過ぎていた人たちにも直方に立ち寄ってもらえる街づくりを進めようというわけです。
3 医療や福祉レベルの向上を図ることはもちろんですが、みんなが健全な生活習慣を身に付けて健康に暮らすことができる環境の確立を目指します。
4 健全な生活環境はヒトとモノとカネが地域内 (直方、筑豊、福岡)をよどむことなく循環するときに確立できるし、それこそが地域創生の正しいあり方と考えています。
5 子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創るため立場や考え方、利害を異にする多様な人たちが集まり、協働して未来を築いていく場として、今すぐオール直方をスタートさせましょう!
[説明] 「次世代に誇りをもって継承できるふるさと直方を創ろう!そして遺そう!」の目標を達成するために残された時間はほとんどありません。そこで、人口減少という現実の切迫した問題への対応を念頭に置きながら、より高次元の「次世代のために!」を合言葉に、立場や考え方、利害を異にする多様な人たちが集まり、知恵と工夫を出し合って協働する場を創る必要があると考えます。
〔取り組み〕
1 福智山と遠賀川・彦山川のある自然環境を保全活用して、若い世代がふるさと直方を誇れるとともに、若い世代の親世代も安心し希望を持って直方で暮らしていける街にします。
イ 遠賀川河川敷のサイクリングロードをスポーツツーリズムに積極活用します。
参照、「スポーツ文化ツーリズムの可能性を探究しよう!」2019.1.28
遠賀川河川敷に沿って設けられたサイクリングロードは同時に福智山の眺望も楽しむことのできる絶好のコースです。この遠賀川河川敷の景観と福智山の眺望は人の心に深く残ります。
サイクリングロードをネットで検索すると、すぐに「訪日客増へ、スポーツツーリズムに力。 県、サイクリングに焦点」(山形新聞2018年09月12日)、「サイクルツーリズム、外国人に人気のしまなみ海道(毎日新聞2018年9月5日)などの記事が出てきます。そうです。「スポーツツーリズム」「サイクルツーリズム」「自転車ツーリズム」という言葉が一般化しています。
そこで、遠賀川河川敷のサイクリングロードをツーリズムの観光資源として活用しましょう。そして、遠賀川の河川敷は、4月には以前のように菜の花を咲き乱れさせましょう。
たとえば小・中・高のサイクリング大会であるとか、サイクリングだけでなく、直方をはじめ飯塚・鞍手・中間・遠賀・芦屋など遠賀川沿いの市町が共催して遠賀川菜の花市民マラソン大会、あるいはコースを発展拡張させ、直方・飯塚・田川の三市を結ぶ市民マラソン大会などを実現できないか検討しましょう。
ちなみに、上記記事によると、山形県は、2018年度はサイクリングのモデルコース選定に着手しており、最上川沿いなど山形県内だけでなく、宮城県、福島県、新潟県の4県を巡るコースを想定しているそうです。
※ 久しぶりの帰省、今月18日知古の知人宅を訪ねた後、車で送ってくれるというのを辞退して堤防に出て河川敷に降り、電鉄の高架下から日の出橋下、さらに勘六橋下まで歩き、改築された橋を渡って溝掘まで行った。河川敷がそこそこ管理されており、歩く間ずっと福智山を眺められたのは嬉しかった。やっぱり私にとっては富士山にも負けない至福感に浸れる景色だ。
ロ 北九州パイパスや県道9号線など市内の幹線道路近くの福智山を仰ぐことのできる場所に、できれば上記サイクリングロードとリンクさせて「直方道の駅」を開設します。
道の駅※1ではふるさと納税返礼品として利用できる特産品の開発や販売にもちろん取り組みます。そして、それ以上にヒトとモノとカネが地域創生に相応しい形で地域内を循環する拠点であることを常に目指します。
たとえば、多くの世代が楽しめる都市型浴場施設、小さな子供たちを引き付けるアンパンマンや機関車トーマスなどがある遊具・遊園施設、市民が健康志向で前向きに通うスポーツジムやプール、美味しいうえに健康増進にもつながるジビエ料理※2専門店、代表的な新聞や週刊誌、新刊書などが備えてあり、それらを有料だが低料金で落ち着いて利用できる、ミニ図書室も兼ねたラウンジなどです。
上野焼や福智焼の陶芸教室を開設できるスペースを設けたり、ペット美容ショップを開くとともに遠賀川と彦山川の河川敷にはドッグランなどの施設を併置することも検討します。そのほか、すでにあるオートキャンプ場とは別に、日本で15番目位の「RVパーク」(モーターホームキャンプ場)や電池車に充電できる電源設備や水素ステーションの開設も検討します。
ところで、直方市でも直方のために胸が熱くなる活動をされているたくさんの個人や団体の方々がおられます。須崎町で年2回のもちつき大会をしている直活会、千人茶会や直方日若踊りを実現されたちくぜんのおがた高取焼大茶会実行委員会、「まちなか民謡in五日市」を実施するとともに「直方日和」で情報発信している直方を熱くする会、「まちかどをオモシロオカシク明るく照らす」を合言葉に空き店舗を1店舗でも減らす活動に取り組んでいるまちかどテラス編集部、そして、チューリップフェアや花火大会、さらには「遠賀川わくわく夢フェスタ」も目に見えないたくさんの方の献身があって、盛大で目を見張るイベントになっているのは間違いありません。石炭記念館・訓練坑も整備されつつありますし、旧直方駅舎の活用を考える市民懇談会が活動されていることも、ふるさと直方を離れている者からすると、深く心に残っている思い出につながるものを大事にしようとしてくれている気がしてうれしい限りです。
問題は、直方市のHPで見かけた市民からの声ですが、チューリップフェアなどの賑わいが市街地のにぎわいにつながっていないことです。道の駅構想は、もちつき大会、千人茶会、チューリップフェアや花火大会などのイベントに参加したいという市民はたくさんいるのだから、そうした市民の気持ちを恒常的な行動と結びつけることのできる仕掛けを創り出そうというものです。
※1 道の駅ではないが、中間駅を過ぎると、しばらく線路沿いに手入れされたかわいい花壇が続きます。そして、遠賀川を渡る頃から見える福智山や新入辺りの田園風景が目に入ってくると、どうしようもなく懐かしく嬉しくなります。しかし、直方駅に着くと、コンコースなどは新しくなって美しいけれど、改札口を出たあたり、下りの階段やエレベータあたりから外に出ると、規格化されただけで何の風情も感じさせない駅のたたずまいに、東京の山手線のどこかの駅を利用しているときのような味気無さを感じてしまいます。旧直方駅舎の一部が保管されているとのことですが、直方駅の風景の一部に取り入て活用することはできないものでしょうか。
また、駅近くに住む友人に聞くと、スーパーが移転して日用品の買い物ですごい不便をしているとのこと。駅近辺で買い物便利な都市計画を確保するのは行政の責務でしょうが、開設された道の駅などと結ぶコミュニティバスなどを検討できないものでしょうか。
※2 「一般の人は直方市でジビエか?というイメージだ」という発言がなされています(第1回直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略検証会議 議事録)。正直な発言なのでしょうが、直方はそんな大そうに構えて、確実に儲かる商売だけに手を出せばよいというほど安穏とした位置にいるのでしょうか。
また、英彦山を抱えている添田町のイノシシ捕獲数は 1,000 頭を超えるくらいだが、直方の捕獲数は年間 226 頭くらいであることなどを踏まえ、「捕獲数の低いところが解体処理場を作ることはなく、広域や県と一緒に行えばよい」という発言もなされています。
確かに、イノシシやシカなど野生動物の肉には「臭い」「くせがある」というイメージがあるし、家畜ではないから供給が安定せず流通ルートに乗りにくいということは十分に理解できます。しかし、これらを食材としてうまく活用することに成功すれば、害獣に苦労する日本社会において地域活性化にもつながる「ジビエ料理」として、大いに評判になり直方のウリになる可能性があるのではないでしょうか。現に、「みやこ町はブランド化という意味ではジビエを売りにしてジビエを使ったカレーなどの商品開発やイベント等も行っており、他のところにないものをもっているという強みがある」という先例も報告されています。また、ネットで「ジビエ料理」を検索すると、「猪肉の赤ワインカシス煮のジビエ料理をカジュアルに堪能」であるとか、「イノシシ肉を使ったボリューム満点のパスタも!」など、かなりの数をヒットします。
要するに、まち・ひと・しごと創生総合戦略で取り組む事業は「よそがみんな成功しているからうちでも」でやってうまくいくほど甘い世界とはと思われません。たとえ最終的には否定的・消極的な結論に至るとしても、少なくとも、それまでに「年間捕獲数を200頭から300頭近くに増やせないか」「年間捕獲数が200頭から300頭くらいでもペイできる解体処理場を作ったり、肉の一次卸し店を開設することはできないか」、そして、イノシシ肉を使ったジビエ料理で好評を博している都会のレストランなどから学び、道の駅で独創性のある評判のいいメニューを提供できないか」などと、積極的前向きに検討してから結論を出してほしいものと思います。
ハ ウーバー・サービスの導入
一次的には子どもを育てている若い世代の女性の就労機会、二次的にはセカンドライフを送るシニア世代の就労機会を創造するための、究極的には地方創生の切り札です。ウーバー社などが提供する配車アプリを利用し、個人ドライバーがその所有ないし管理する車を使って利用者を目的地まで運送してくれるウーバー・サービス米を直方市内、できれば筑豊地区で実施できるよう、他の筑豊地区自治体と共同して国に働きかけましょう。
※ 参照、育児中の女性世代とシニア世代の就労機会創造の切り札“ウーバーサービス”を導入しよう!! (1、2) 2019.1.27&28
ニ セカンドライフを過ごすシニア世代やまちづくりに取り組んでいる住民団体に、長い職業経験を通して得た生きた知恵や実践している市民活動について、市内の小学校から高校に出前授業してもらえる仕組みをスタートさせ、市民みんなで直方の教育力を高めましょう!
[説明] 以前、2014.3.13付けの提案で私は次のように述べていました。
私たち団塊の世代は・・・実に様々な職業経験をしてきています。定年になったからといって、その経験と知識を活かさないなんてもったいなさすぎです。私が知っているだけでも、IT企業や鉄鋼会社などのメーカーで働いてきて日本企業のモノづくり技術に精通している人、スーパーや百貨店などで働いて日本社会の食糧調達事情に詳しい人、源氏物語の世界に詳しい人、銀行マンとして日本社会における金の流れに詳しい人、商社マンとして世界の物流に詳しい人など、挙げきれない位の職種をみんなが経験しています。そんな人たちから、・・・現実感のある講義を若者に伝えてもらいましょう。こんな講義を受けた若者は、目から鱗のように、社会に目を開いて生き生きと学ぶことができるようになると信じます。
また、「半数は地域外の高校に進学」から9割が地元高校に進学、さらに県外からも“島留学”や家族ごと移住で有名になった島根県隠岐島海士町における以下に紹介する取組み例があります。シニア世代が活躍できる場の創造というだけでなく、教育の核心に通じる実像があるのではという点からも大いに参考になると思います。
そうして、 知恵を出し合い地道な努力で画期的な成果を出している自治体を訪ね、明確な問題意識をもってその実情を学ぶことは、地方分権以前の時代のように総務省を含め霞ヶ関の中央省庁と人事交流したり職員を派遣するよりも、また、限られた特定の子どもだけを外部に留学派遣するエリート育成志向より、全員にはるかに多くを還元できる収穫を得ることができると思います。
島根県隠岐島の海士町は人口流出が激しく、唯一の高校である県立隠岐島前高校も統廃合の危機に瀕していたそうです。その海士町でやってきたことは、「学校や学習塾の壁を超えて、多様な人たちが、子どもたちの未来をつくっていくために深い対話や共通体験の場をつくるということでした。学校では単に勉強を教えるだけでなく、子どもたちが大人と一緒になって社会課題を解決していくプロジェクト型の学習を中心に行っています」「大人と一緒になって社会課題を解決していくことで、子どもたちは貴重な体験を積み重ね、深い学びを得ていきます。そこで学んだ子どもたちは学校を卒業しても、学びを止めない。そういう活動を続けているなかで、12年前は中学を卒業すると半分が本土の高校に進学していましたが、いまでは9割が地元の高校に進学します。それどころか、県外からの“島留学”や、ここでの教育を受けるために家族ごと移住してくるケースも増えてきています」「高校なら家庭、情報、芸術、保健という必履修以外の科目がありますが、それを私たちは一つにまとめてしまいました。プロジェクトの中で学んでいることを、家庭科的な部分、情報科的な部分と当てはめていけばいい。それは、できるんですよ。」(日本の未来を語ろうhttp://www.asahi.com/dialog/ テーマ「教育システムで社会を変える。」における岩本悠・一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表の発言をベースにした事例紹介)
2 直方と筑豊の出身者がUJターンしてふるさとで暮らせる街にしよう!!
シニア世代がふるさとで安心して快適に暮らせる街にしよう!!
イ 直方で生まれ育った者が、ふるさと直方の風景や遺産と感じているものを大切に保全しよう。多賀神社の御神幸や輪越し、直方駅の旧い駅舎、西門前町、二字町などの住居表示と地名などです。
ロ 古町、殿町、須崎町、新町などの伝統ある商店街をどうするかは難問だが、農家民宿に倣い、商店街で商家民泊を実施することを検討しよう。
[説明] 政府は2020年の訪日外国人旅行者(インバウンド)数を2017年の2869万人から約4割増の4000万人とする目標を掲げています。そうした中で見過ごされているのは、日本のホテルや旅館は利用料金が一人単位で計算され、家族やグループの場合、大変高額になってしまうことです。これでは、外国人はもちろんのこと、直方出身の人も家族連れで帰省等するのが難しくなります。
そこで、商家民泊では、例えば4人以内なら2人分の料金で貸し切りできるようにしましょう。そうして、遠賀川河川敷のサイクリングロードを活用するイベントや、直方だけでなく、博多、小倉、飯塚などで開催される大規模イベントの外国人を含む宿泊客をグループ単位でも誘致できる魅力を持ちましょう!
ハ ふるさと納税の返礼品として直方市内の観光宿泊施設利用券を発行して、ふるさと納税制度がもっている地方創生機能を大いに活用しよう!
市内で開催される同窓会開催の大幅増を目指し、1次会、2次会および宿泊に対する支援や割引の制度をスタートさせましょう!
ニ 直方市民であった人、また市内の小・中・高の卒業生も対象に、合同墓(共同墓)や樹木葬をできる墓地を開設します!!
[説明] さまざまな事情で伝統的な家単位の墓に埋葬されない人のために、現時点で直方市民の人だけでなく、かって直方市民であった人や市内の小・中・高の卒業生も対象に、合同墓(共同墓)や樹木葬をできる墓地を開設し、ふるさととして広く受け入れましょう。
3 人的資源と組織
イ 子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創るために、市民、各種団体、事業者など多くの分野から関心と意欲のある市民が結集し協働する場として、オール直方委員会を設けましょう。
参照 地域の課題を「自分ごと」として考える住民協議会方式の試み 2019.1.17
[説明] オール直方委員会では、市長が委員長、市長室が事務局を務め、市会議員も参加しますが、中核は、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創る目標に、自らの課題として取り組むことのできる、市内にある市民団体(平成22年、第5次直方市総合計画の策定に際して意向調査を受けた市民団体は62団体、回答したのは40団体)と事業者団体です。
オール直方委員会を組織するにあたっては、直方市の総合計画策定に関与する直方市総合計画審議会や「市民が豊かさを実感でき、次の時代づくりに向けて、活力を維持し続ける社会を構築する」ことを目的に策定される「直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の推進体制などとの関係が問題になります。
直方市のHPを見ると、直方市には「市の将来の姿を示し、新しいまちづくりを進めるための基本方針となる第5次直方市総合計画」があります。「直方市総合計画は、直方市が策定する市の全ての計画の基本として、行政運営の総合的な指針となる計画です。地方自治法第2条第4項の規定により定めるもので、市の計画のうち最も重要な計画といえます(更新日 2018年03月02日)」との位置づけられています。
そして、市長による諮問を受け、直方市総合計画審議会(審議会委員は50人以内で市長が委嘱、任命)が審議のうえ答申し、議会が議決して総合計画は策定されています。この過程では、公募した市民などが参加する「ハートフル直方未来会議」(公募市民27名、市職員15名)が4つの部会に分かれて活動した後、市長宛に提言書を報告しています。また、市民団体62団体に対する意向調査も行われています。
しかし、地方自治法第2条第4項は2011(平成23)年の地方自治法改正により削除され、基本構想の策定は個々の自治体が独自の判断で策定する任意のものとなっています。したがつて、上記と同趣旨を定める直方市総合計画審議会条例2条(「審議会は、市長の諮問に応じて、地方自治法第2条第4項の規定に基づく市の総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想に関する事項について審議を行い、その結果を市長に答申するものとする。」)も改正されなければなりませんが、現時点(2018年11月21日)では改正されていないようです。
そして、直方市人口ビジョンおよび総合戦略の策定にあたっては、市長を本部長とし、幹部職員からなる「直方市まち・ひと・しごと創生本部」が設置されるとともに、「全庁的な推 進体制を構築し、行政分野を横断して情報共有を図り、事業内容の検討・分析により、着 実で効果的な事業実施に取り組」むために、庁内横断的な会議体(専門部会、プロジェクトチーム)が組織されています。そして、総合戦略の策定自体については、「産業界、大学・学校、金融機関、労働界、メディアな ど」からなる推進組織として「直方市まち・ひと・しごと創生推進組織」(委嘱委員18名)が活動するとともに、行政評価のための組織とは別に、総合戦略の検証委員会(市政について優れた識見を有する委嘱委員15名以内)も設けられているようです。
さて、オール直方委員会は、直方市内で日々さまざまな立場で奮闘している方たちが、より高次元の「次世代のために!」を合言葉に集まり、知恵と工夫を出し合って協働する場です。策定することが任意である総合計画との整合性に縛られることはありませんが、他方、直方市人口ビジョンを大前提に、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創ろうとします。
そして、オール直方委員会は、直方市の人口や財政力の規模が低減傾向にあるにもかかわらず審議会類似の組織が肥大化し、その分、権限と責任が分散し、なんら成果が出なくても親方日の丸意識のまま、誰一人政治的にも経済的にも責任を負わない無責任体制を是正しようとしています。
オール直方委員会は、直方市内に生活や活動の基盤を置き、日々、直方の発展のために奮闘している個人や団体、企業と事業家が結集していることが大きな特徴で、ボランティア団体、NPOなどの住民活動団体や事業家の参加が特に重視されます。他方、自治会・町内会など従来からの地縁組織や「産業界、大学・学校、金融機関、労働界、メディア」など名士的地位にある方たちの参加は必須ではありません。従来から外部有識者として参加していただいている方たちには、国会における参考人のような立場とタイミングでご意見をいただいたり、検証委員会に参加していただいて外部の第3者の目から客観的専門的なご指摘を頂戴することになります。
要するに、オール直方委員会は、諮問機関的に他人事(ひとごと)としてアイデアを出すだけでなく、まさに自分事として現実の運営にもコミットします。結局、現在ある直方市まち・ひと・しごと創生本部、庁内横断的な会議体(専門部会、プロジェクトチーム)、および「直方市まち・ひと・しごと創生推進組織」の機能を併せて遂行することになります。
この点、権限が集中して民主的な要素が弱まっているように感じられるかもしれませんが、それ以上に地方自治の現場にふさわしい直接民主主義が実践されていることを評価すべきです。そして、活動の結果に対しては、毀誉褒貶のすべてについてオール直方委員会は自分事として受け止めなければなりません。
ロ オール直方委員会のメンバーである委員は、原則1つ以上、子どもや孫たちが夢と誇りの持てる直方を創るためのプロジェクトのメンバーとして企画と運営に参加します。
(補遺ー説明) 平成 28 年 4 月から、市政戦略室が組織されていますので、市政戦略室の使命や役割との関係について述べます。市のHPによると、「市政戦略室は、秘書業務とともに各部局をまたいで推進すべき政策の策定や各部局が抱える課題の発見と解決の方向性を示し、市役所組織の活性化を図ることをその使命とする」とされています。
しかし、自治体における「政策の策定」権限は一般的には議会と首長に属していますから、行政の一部局が「政策の策定」をする・できるというのはオーバーランであり不正確です。私たちが提案するオール直方委員会は、現在は直方市総合計画審議会と「ハートフル直方未来会議」、および「直方市まち・ひと・しごと創生本部」と「直方市まち・ひと・しごと創生推進組織」が担っている「政策案の策定」に関与します。また、施策が実施される過程についても、随時、事務局から報告を受けて施策の修正に関与します。
このとき、市政戦略室は、室長クラスがオール直方委員会の構成メンバーとして参加することもできますが、戦略室の基本的な役割はオール直方委員会が十分な情報を踏まえて適切な「政策案の策定」ができるように、事務局として的確にサポートすることです。この意味で、「戦略室は、各部局とともに、直方の未来を志向し(未来志向)、市民目線から市民のための市政を考え(市民志向)、市民とともに共働する社会を探求すること(共働志向)をモットーとする組織」であることは否定しませんし、むしろ願望しますが、その基本的な役割はあくまでオール直方委員会のサポートです。
4 財源の調達
イ オール直方委員会への結集を呼びかけるとき、併せて、財源を調達するためのクラウドファンディング※を市の内外に呼びかけて基金を創設します。
※ 一般には、インターネットを通してプロジェクトを公開し、不特定多数の人々から資金調達を行い、製品開発や事業展開などのための資金を調達する仕組み。クラウド(crowd 群衆)とファンディング(funding 資金調達)の二つの単語を合わせた造語。「寄付型」、「購入型」、「投資型」の三つのパターンがある。
ロ 内閣府の地方創生支援金や国交省などからの各種補助金を獲得する努力は今後ももちろん継続しますが、他方、オール直方委員会で採択され決定されたプロジェクト事業をやり抜く本気度を示すため、市長は給与の3割、議員は2割、一般職員には1割の寄付を呼びかけます。