ふるさと直方フォーラム

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2019直方市長選: 総括壬生市政 第3回 企業誘致は地方分権以前の発想、そして遅すぎる目的不明の視察 

平成29年度施政方針からは企業誘致に取り組むと明言しています。具体的には、「企業立地奨励金は全 9 件で合計 5,816 万 9 千円の交付を行った。それに伴い 27 名の 新規雇用者があった。」 (第1回直方市まち・ひと・しごと創生総合戦略検証会議議事録19頁) との成果が報告されています。


しかし、企業誘致は基本的には他力本願的要素が強い高度成長時代の施策であり、持続性ある自立したまちづくりという観点からすると、いささか外れる施策です。また、企業から見ると、自治体側が誘致してくれるから進出を決めるというのではなく、経営判断として進出に伴う費用便益を企業独自の立場から厳格に損得勘定しています。進出した後の縮小や撤退についても同様です。


したがつて、進出先の自治体としても、やみくもに企業進出の結果を出せばいいということでなく、自治体として長期的にどのような街づくりをしようとしているのか、その街づくりの内容に合致する事業を行う企業か、奨励金を提供しなければその企業は進出できない環境にあるのか、提供する奨励金に見合って直方市が受けるメリットについて短期的および長期的にどのように考えているのかなど、慎重な検討と合理的な判断が求められます。従来から「直方市にも企業立地奨励金という制度がある」からそれを使うというだけでは、「これまでの慣習や慣例にとらわれ」ていることになります。


壬生市長は、29「年度から、市内の各企業を積極的に訪問し、そのモノづくり の現場を自ら知るとともに、経営者の方々と積極的に意見交換を行うとの目標を定め、これを実践してまいりました。モノづくりの現場を知り、 様々な経営者とお会いして会社経営の理念に触れたことは、市政運営にとりましても極めて有意義なことでありました。本年度もこうした活動を継続し、民間の企業経営から学んだものを市政運営に活かす」(平成30年度施政方針)と述べています。

 

一見すると、立派なことに見えます。就任当時、市政を担当するにあたっての「基本的な考え」として壬生市長が第一に掲げていた現場主義とも合致するように思われます。つまり、「市政運営上、問題となっている現場に 積極的に出向き、その現状を把握し、関係者の意見を聞き、その問題の所在と背 景を自ら確かめ、市民の皆様の意見を聞きながら、判断していく」(平成27年4月市長登庁式職員への訓示)と訓示していましたし、私も立派なものだと大きな期待を抱いていました。

 

しかし、「会社経営の理念に触れたことは、市政運営にとりましても極めて有意義」であったと言うのなら、第2回(続き)で指摘したように、先ずは「収入以上の支出はできないし、しない」財政運営に取り組んでほしかったと思います。また、29年度というと平成27年4月の就任から2年あまり経過した頃なので、ここでもまた、しなくてもいい私選弁護士業務に気持ちと時間を奪われたから取組開始が遅れてしまったのじゃないのかと言いたくなります。何も知らずに行政マンになった首長としては、もっと早く就任してすぐに取り組むべきだったと思ってしまいます。 

 

就任から2年あまり経過していた頃であれば、既に現場の実情を知ったうえで目的と目標達成のための課題解決に取り組んでいることが期待されます。それを今さら「モノづくりの現場を自ら知る」ために出かけるなんて、金正恩がしている専制君主の視察じゃあるまいし、次の選挙を意識しての企業訪問でしかないのではないかと邪推すらしてみたくなります慣習や慣例にとらわれなくていいから、もっと次元の高い思考と活動をしてほしいと願うばかりです。