ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

北九州市と(株)北九州パワーは環境未来都市を構築できるか!? その7 第三者所有モデル(PPA)による太陽光発電設備導入事業の推進への期待 2024.10.27

4 北九州パワーは環境未来都市北九州の実現に貢献できるか---三者所有モデル(PPA)による太陽光発電設備導入事業の推進への期待

  ⑴新しい動き

 イ さて、北九州市は連携中枢都市として、直方市など近隣の17市町村は連携市町村として、共同して脱炭素先行地域に応募し、国(環境省)から『脱炭素先行地域』に選定されています(総事業費最大約97 億円。うち50 億円は、国からの交付金を活用予定)。

 北九州市のHPによると、「再生可能エネルギー導入見込み量は最大37メガワット。うち、北九州市においては、公共施設約290箇所に太陽光発電を導入予定」として、次のような北九州市の提案内容を紹介しています。

 北九州都市圏域18市町で連携を図り、公共施設群と北九州エコタウンのリサイクル企業群において、第三者所有方式を活用して太陽光パネルと蓄電池を導入することで、最速かつ最大の再エネ導入モデルの構築を目指します。第三者所有モデルを中小企業へ戦略的に展開することで、産業の競争力強化に繋げます。/ 併せて、風力発電や水素等の脱炭素エネルギーの拠点化に取り組むとともに、脱炭素なまちづくりや環境国際ビジネスの取組とも一体的に推進し、都市の魅力向上にも繋げていきます。

 ロ PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)方式は、電力需要家が所有する施設に、発電事業者が太陽光発電設備を設置して所有と維持・管理を行い、発電した電気を需要家に供給する仕組みです。発電事業者が太陽光発電設備を設置し、その所有権を維持したまま維持・管理して発電した電気を需要家に供給し、一般的には10年から15年位の期間経過後、発電設備の所有権を需要家に移転し、それに伴い、以後の維持・管理は需要家自身が行うことになります。施設の所有者ではない第三者が発電事業者として太陽光発電設備を設置し、所有権を維持したまま維持・管理するので、PPAを三者所有モデルと呼ぶことがあります。

 再生可能エネルギー地産地消を実現する現実的方策として、ふるさと直方フォーラムも当初からこの第三者所有モデルのPPA を活用することを考えていました。つまり、私たちふるさと直方フォーラムがPPA事業者と直方市民や事業所などとの仲立ちをし、太陽光発電設備の設置と普及を実現したいと考えています。そして、PPAを現実に実行に移し展開できる施策として『脱炭素先行地域』に応募することをかなり詳細に検討しました。ですから、北九州市の提案内容にはまったく異議なく心から応援したいと思います。

 ハ 念のため、私の書斎やPCに保存しているファイルなど手元にある文献や資料を読み直して、環境とエネルギー問題に対する北九州市の歩みとの整合性を再確認してみました。

 すると、北九州市は、2025年度までに全ての公共施設約2000施設の電力を100%再エネに転換、第三者所有モデルを活用した「再エネ100%北九州モデル」を構築し、さまざまな社会課題を蓄電池の活用により解決する「蓄電システム先進都市」を目指すという記事が目に入りました(工藤宗介「北九州市、2025年度までに全公共施設を『市内再エネ』100%に」日経BP,2021.03.02、https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/022201896/)。これとほとんど同じ内容ですが「北九州市、25年度に市施設を再エネ100%化 第三者所有で蓄電池普及も」(環境ビジネス編集部2021年02月18日掲載もあります(https://www.kankyo-business.jp/news/027381.php)。

 また、工藤里恵「北九州市におけるグリーン成長に向けた取組み」(国際文化研修2023冬№118、本稿2024年10月4日で紹介済み)は、北九州市が「再エネ100%北九州モデル」を発表した翌年の2022年、「エネルギーの脱炭素化」及び「イノベーションの推進」を進めるためのアクションプランとして、2022年2月に北九州市グリーン成長戦略」を策定したことを紹介しています。このグリーン成長戦略は、経済性の高い脱炭素エネルギーを安定的に供給する体制を構築してその利用拡大を図ることで、市内産業の脱炭素化を推進し競争優位性を獲得するなどを基本戦略とするようです。

 廃棄物発電(ごみ発電)はCO2フリーでバイオマス発電だと位置付け、それにより再生可能エネルギーを発電していると称することには大きな疑問があることは前述したとおりですが、環境未来都市を目指す北九州市が、再エネ100%モデルを構築し、エネルギーの脱炭素化などを進めるグリーン成長戦略を策定して、名実ともに脱炭素につながる太陽光発電風力発電などの再生可能エネルギーの実現に取り組むことはとても立派だと思います。

 おまけにもう一つ、私の本棚の隅に「北九州の主張」(東洋経済別冊2013.2.10、№184)がありました。確か以前、北九州市ふるさと納税した時に返礼品としてもらったものです。北九州エコタウン以降の取組みだけでなく、1901年官営八幡製鉄所の操業開始、1963年の5市合併による北九州市誕生と環境首都を目指す歩みが、産業と文化・芸能、グルメなどを含め多面的に取り上げられています。

 若戸大橋が完成した頃、電車の窓から見上げて眺めたときの興奮した思いであるとか、林芙美子松本清張などの北九州文学めぐり、小倉発祥の焼うどん、角打ち文化などなども、懐かしく思い出しながら最初から最後までしっかり読みました。北九州市グリーン成長戦略」が産業ベース、行政ベースで進められ、市民グループの取組みが弱いように感じられたのは事実ですが、それでも、応援したい気持ちに変わりはありませんでした。   (4⑴ニ、に続く)