ロ. 人口減少と少子高齢化により生じる影響を認識する
直方市の歳入源としては、市民税、固定資産税、および地方交付税交付金が3大歳入源で、歳入全体の9割近くを占めています。したがって、働いて納税している現役世代が減少すると、住民税収入も必ず大きく落ち込みます。また、地方交付税交付金も人口を算出要素としていますから人口減少に比例して減少します。他方、社会保障費支出は今後毎年約1億円増大するようです。
結局、人口急減・超高齢化時代の到来により、直方市の財政は歳入と歳出の両面できわめて深刻な状況になると予測されます。もちろん、人口急減・超高齢化の影響は直方市の財政に深刻な影響を与えるだけで終わりません。残念ながら、「未来への選択」は「人口が減り続ける社会はいずれ消失することになり、どのような未来も描くことはできない。」と述べています。
さしあたりの対応として、現在、市は、人口統計を公表していますが、10年後、20年後、30年後の人口減少を踏まえ、それによる住民税収入や地方交付税交付金などの歳入見込額や社会保障費の支出増加がどのようなものになるか、数値で分かりやすく明示し、市議会と市民が常に編成可能な予算の姿に留意して建設的な議論ができるようにしてほしいと思います。
なお、未来委員会は、「50年程度先の日本の経済社会のビジョン作りを行うため2014年1~11月に活動」しましたが、経済状況と出生動向の関係について、プラスの相関性が認められると次のように述べていることが注目されます。
「市区町村単位で経済状況と出生動向の関係を調べてみると、30年ほど前は両者の間
にはほとんど関係性はみられなかったが、近年はプラスの相関性が認められる。すな
わち、ある程度活発な経済を維持できている地域では、若者の数は減少せず子どもの
数は増えており、また逆に、若者や子どもが住みやすい街として選ばれているところ
の経済は相対的に良好ということができる。」(次回、ハに続く)