ふるさと直方フォーラム

《目標スローガン》 “人とモノとカネが往来し、循環する直方と筑豊を創ろう‼”  ふるさと直方と筑豊の再生に取組む主体をふるさと直方を愛するみんなで創ろう❣

「環境エナジータウン直方の提案」の機は熟した❣ ① 2021.4.1

 去年、3月に「環境エナジータウン直方」を提案し、それを思いつくに至った大きな要因であるリチウムイオン電池開発の進展と到達点について、計16回連載してきました。ノーベル賞を受賞された吉野さんが主張されている「リチウムイオン電池が電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電方法として広く普及する未来社会」という予測はきわめて正しいことを確認できたと思います。 

 例えばリチウムイオン蓄電池を活用するEV自動車への流れは昨年本欄で取り上げたとき(2020.4.30付)はまだ“せせらぎ”程度であったかもしれませんが、脱炭素社会を目指す・脱炭素社会を達成しなければならないという強く大きな世界的合意を背景に、今や間違いなく、“奔流”あるいは“激流”と呼べる世界的現象になっています。 

  “環境エナジータウン直方提案したときに認識していた脱炭素社会を達成しなければならないという外的要因の存在がEV自動車への奔流を生じているわけですが、EV自動車への奔流同様、「環境エナジータウン直方」の提案が正しいことも今日ますます明らかになっています。

 次回、“環境エナジータウン直方”の提案が正しかったことを裏付けるニュースを2、3紹介しますが、まさに “環境エナジータウン直方提案を実行に移す機は熟したと言えるほどです。  

 ところで、リチウムイオン蓄電池の機能や用途についての検討が終わったところですが、リチウムイオン蓄電池を検討した次には、燃料電池再生可能エネルギー由来の水素を燃料電池車などに供給する水素ガスステーションですとか、再生可能エネルギーを産み出す代表格である太陽光パネル太陽光発電システムについても、リチウムイオン電池同様の検討作業を続けるつもりでした。また、エネルギーに関する技術革新の最新状況や関連する周辺事情などについても検討するつもりでした

  しかし、環境とエネルギー政策をめぐる状況、そしてはエネルギーに関する技術革新は目まぐるしいほどの速さで進展しています。素人がそれらの最新状況を追いかけ、理解し、一つ一つ紹介していくとしたら、さらに何カ月も何年もかかってしまいそうです。きっと、その間に環境とエネルギー政策の状況にしろ技術革新はさらに何歩も先に進行して、永久に追い付くことはできないかもしれません。そのため、「環境エナジータウン直方」を実行に移すために考えられる具体的な提案がいつまで経ってもできなくなってしまいそうです。 

 そこで、リチウムイオン蓄電池以外の燃料電池や水素ガスステーションですとか太陽光発電システムなどについて、リチウムイオン電池同様の検討作業を続けることはあきらめます。そして、今日の状況を前提に、数回から10回の連載で、「環境エナジータウン直方」のイメージとビジョンをもう少し明らかにすることにします。また、それとともに、「環境エナジータウン直方」の提案を具体化するために必要な重要施策を明らかにして、共通の理解を獲得するたたき台にしたいと思います。  

 エネルギーに関する技術革新の最新状況や関連する周辺事情として検討したいと考えていたのは主に以下のとおりです。これらについては、必要に応じてその都度、簡潔に紹介することにします。 

 ① 直流で送られてきた電気を交流に変換するパワーコンディショナーですとか、太陽光発電システムと蓄電池を設置している住宅において、電力使用の傾向を把握し、それを最適化して省エネを実現するHEMS(Home Energy Management System の頭文字をとった言葉で「ヘムス」と呼ばれている)という管理システムについて、一定程度の理解を確認しておきたいと思っていました。 

 ② また、エネルギーそのものの話ではないのですが、AIとITを結合して蓄電と放電を管理するシステムがあります。“スマートグリッド”と呼ばれているものかもしれません。

 太陽光発電風力発電などの発電量は自然現象次第ですが、大手電力会社は一定の地域の電力需給を的確に制御しなければいけません。他方、太陽光発電システムなどの再生エネルギーシステムと蓄電池を設置している個々の住宅では、いつ蓄電するか、あるいは自己消費するか、そして、いつ放電して電力系統に向けて送電するかなどを、適切に切り替える必要があります。

 この大手電力会社の使命と住宅など個々の再生エネルギーと蓄電池のシステムを、地域全体を視野に、AIとITを結合して制御しようとする管理システムのようです。私自身の理解が不十分で申し訳ないのですが、去年、春に東京ビッグサイトで、秋にインテックス大阪で開催されたスマートエネルギーweekに参加して、三菱電機NECの担当者による講演や説明を受けて知りました。

 10年先以降も「環境エナジータウン直方」を効果的に機能させて推進するためには、しっかり勉強して導入を前向きに検討しておく必要があるようです。(※ 補足あり。末尾に掲記します。2021.4.16) 

 ③ さらに、その他、2020年電力システム改革により、九州電力など大手電力会社による地域独占は終わり、発電・送配電・小売の三つに分ける電力自由化が行われています。欧州では、発電、小売り、送電、配電の分離ですが、日本は発送電分離・送配電一体分離になっていて、発電と小売りは分離されましたが一体運営も認められています。電力システム改革により生まれた新しい法制度を地方創生と地域の活性化にどう活かしていくか、全国各地の自治体と論壇で大いに議論されています。 

 ふるさと直方フォーラムは、再生可能エネルギーリチウムイオン電池の組み合わせが可能になったことに着目して「環境エナジータウン直方」を提案しました。しかし、現実にこの提案を実行に移すとなると、誰が主体としてこれに取り組むかはきわめて大きなテーマです。すでに全国で50近い地域新電力がスタートしていますが、その主体が活動することにより、経済が地域内で循環することにつながるかが重要な判断要素になると思います。 

 なお、ここで、“経済が地域内で循環する”とは、 “環境エナジータウン直方”を提案したときに述べていたことと関係します。つまり、高齢化と人口減の到来、それによる市財政縮小の不可避、そして地球レベルでの脱炭素社会形成の絶対的要請などの外部拘束要因があるとき、それらを克服する生き方の選択として、“地域のなかに成長・発展の種を見出し(内発的)、外部とも交流し外部の良さを取り込みながら、みんなが参加して持続性ある発展モデルを築いていこう”というときの「持続的発展モデル」の重要な要素と考えています (参照、内発的外部交流型持続的発展モデルの提唱 “地域のなかに未来へとつながる種を見出そう! 外部とも交流し、みんなが参加して持続性ある発展モデルを築いていこう!” 2019.6.24 - ふるさと直方フォーラム)。          (続く)    

  

※ 補足 2021.4.16 

 本文中で言及していました「AIとITを結合して蓄電と放電を管理する“スマートグリッド”システム」の具体的な応用と思われるケースを見かけましたので紹介します。Hondaが、再生可能エネルギーの活用と充電コストの低減を両立するEV向けエネルギーマネジメントサービス「e:PROGRESS(イー プログレス)」の提供を英国で開始したという日本経済新聞の記事です。

   記事によると、Honda eを、自宅に設置したHonda 制の充電器につなぐと、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB※)のソフトウエアが最適な充電スケジュールを設定し、さらに変動型電気料金サービスを活用して、電力コストの低い時間帯に自動的に充電を行うことができるようです。

 本文では、広い地域の中でのスマートグリッドを考えていましたが、Honda eは、家庭にある一台の車を中心に、最適な充電スケジュールを提供することになります。

 ※ エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(以下、ERAB)とは、

アグリゲーション(aggregation)は集合・集団の意味です。動詞はaggregateで、集約する、凝集するなど、同種の複数のものをまとめて一体化したもの、および、まとめる処理や作業のことを意味しています。

 Webのサイトとしてはアグリゲーションサイトと呼ばれたりします。これは「外部のサイトからサイトのテーマにあった情報を取得し、その情報をまとめて提供するWebサイトのこと」を指しています。アグリゲーションサイトは「一つのサイト内に複数サイトの情報を集約させることで、ユーザーが得たい情報を効率よく入手させることを可能に」すると紹介されています。

  経済産業省の資料では、「DRやVPPを用いて、需要家、小売電気事業者、一般送配電事業者、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、電気料金削減、供給力(インバランス回避も含む)、調整力、出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業」と定義しています。  以上