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電力電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ 環境エナジータウン直方のための市民目線からの政策選択メモ書き⑩ 2020.6.25

4 個々の環境エナジーについて市民目線で政策選択に役立てたいメモ

  (1) リチウムイオン電池 

   イ 車載用リチウム電池(前回まで)

 ロ 家庭などに固定して利用する固定式リチウムイオン電池

 ハ 大規模蓄電システム

     ㈠ 国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設 (前々回)

   ㈡   関西電力堺太陽光発電所(2011年9月営業運転開始)   ( 前回)

   ㈢  電力会社以外による“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ (今回)

 

 ㈢ 電力電力会社以外による太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせ

ⅰ 変電所の中に国内最大規模109万個のリチウムイオン電池による蓄電池施設があるという記事を読んで、改めて電力会社以外で、太陽光発電パネルを大規模に設置し、併せてリチウムイオン電池の蓄電池施設を設置している例がないかネット検索して調べてみました。そうしましたら“太陽光発電所+大容量蓄電池”などのワード検索で、環境情報サイト「スマートジャパン」はもちろんですが、日経新聞など一般紙にもかなりの情報が掲載されていました。それら記事の掲載日時は早いものだと2014年8月でして、私が不勉強で知らなかっただけです。

 

そして今、“太陽光発電所+大容量蓄電池”などに関する情報に接し、それらの有する意味を検討した現在の地点から振り返ってみますと、“太陽光発電所+大容量蓄電池”の組み合わせが登場した経緯を知らないままに、リチウムイオン電池蓄電池の将来を考えるなんて、保守点検が不備で重大な陥のある飛行機を能天気に離陸させるようなものだと身震いするほどです。そこで今回は初めに、リチウムイオン電池の蓄電池施設が、太陽光発電パネルの拡大に伴い併設されることになった経緯や課題を報じる二つの記事を紹介します。

 

ⅱ 最初に紹介するのは、畑陽一郎・スマートジャパン「サムスンと組んで国内を制覇か、太陽光発電所+大容量蓄電池」2014年08月14日です。

 畑氏は冒頭で次のように述べています。

エジソンパワーは太陽光発電所向けに出力2MWのリチウムイオン蓄電池を納入すると発表した。事業用向けの太陽光発電所への導入では国内初の事例だという。なぜ導入するのか、売電収益と投資効率を第一に考える事業用発電所で受け入れられるのだろうか。徳之島の事例を紹介する。

 

そして続けて、次のように述べています。一部引用して説明します。

九州電力は2014年7月に「離島の再生可能エネルギー発電設備に対する接続申込みの回答保留について」と題する文書を発表している。徳之島を含む6つの離島(壱岐対馬種子島、徳之島、沖永良部島与論島)では、再生可能エネルギーの系統連系について、接続契約申込みに対する回答を1年程度保留するという内容だ。徳之島は既に約2MWが連系されていて、年間30日の出力抑制を施したとしても現在の運用では累計4.4MWまでしか連系できない。

 そこで、「九州電力に売電する場合は、出力変動を抑えるための蓄電池を導入すれば、電力会社が要求する電力の品質を満たすことができ、全量買い取ってもらえる。接続拒否は起こらないことが分かった」(エジソンパワー社)。

 

出力変動は自然現象である再生可能エネルギーの宿命ともいうべきものですが、その出力変動を抑えて電力会社に接続拒否されないようにするというのが蓄電池を導入する理由だということが分かります。 

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写真(出典:エジソンパワー)はエジソンパワー社木更津工場に設置されている20フィートコンテナ(長さ6.06m)。このコンテナ内に大容量リチウムイオン蓄電池システムが格納されている。コンテナは設置しやすく、用途に応じて出力や容量、構成を調整しやすいが、徳之島にもこれと同じコンテナ方式で納入されるという。蓄電池システムには50kW出力の双方向パワーコンディショナー(直流交流変換器)を含む一式が収められるが、エジソンパワーが徳之島に納入するのは出力2MW、容量1MWhの大型リチウムイオン蓄電池

 

副次的ですが、御船徳之島太陽光発電所に高額な大容量蓄電池を導入できた背景に、コスト計算の理由があったようです。どういうことかというと、御船徳之島太陽光発電所では、エジソンパワー社が設計・調達・建設のEPC事業者として取り組み(epcとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉で、epc事業やepc業務といえば、設計調達建設という3つの工程を一貫して引き受ける事業(業務)を指します)、導入期間全体にわたってコストを管理しやすいことがあったようです。

 

エジソンパワーは次のように述べています。

「電池は設置してからが勝負だと考えている。当社が蓄電池を監視し、メンテナンスを施していく。特に温度管理や過充電・過放電の監視が重要だ。不具合が生じた場合は、セル単位の交換はもちろん、複数のセルをまとめたラック単位の交換を施すことで性能を維持する」

 

加えて、大容量蓄電池について、それまで10年を大きく超える期間を保証した事例はほとんどなかったのに、大容量蓄電池を納品する韓国サムスンSDISamsung SDI)と20年の長期保証に関する合意書を取り交わせたということです。なお、サムスンSDIのリチウムイオン蓄電池セルは正極材料としてマンガン酸リチウムを利用していて、蓄電池の寿命は6000サイクルと発表されています。

 

ⅲ 太陽光発電パネルにリチウムイオン電池の蓄電池施設が併設されていることを報じるもう一つの記事は、陰山遼将・スマートジャパン「北海道で広がる“太陽光×蓄電池”、再エネ普及の活路となるか」2017年04月11日です。

陰山遼将氏は、初めに次のように述べています。

蓄電池を併設したメガソーラーが相次いで稼働を開始している。再生可能エネルギーの課題である出力変動の対策として、蓄電池を活用しようという考えだ。接続可能量の制限や買取価格の下落が続く中で、新しい太陽光発電の運営手法として定着するかに期待がかかる。・・・全国でも特にその動きが広がっているのが北海道だ。2017年4月から蓄電池併設型のメガソーラーが複数稼働を開始した。・・・現在、北海道電力は接続申し込みが400MWを超えた分のメガソーラー案件について、系統連系の条件に蓄電池の併設を求めている。

 

続けて、関心の所在や課題等について次のように説明しています。一部の抜粋になりますが引用します。

 民間事業者が手掛ける案件では道内初となる蓄電池併設のメガソーラー稼働開始は、「日高庫富太陽光発電所」。2017年4月2日から稼働を開始した。翌4月3日からは、大手ゼネコンの大林組が北海道釧路郡釧路町字に建設した「釧路メガソーラー」が稼働を開始した。

太陽光発電に蓄電池を導入するに当たり、カギとなるのが充放電システムの制御。発電量が急増した際には蓄電池に充電し、不足した場合には放電するといった状況に応じた充放電制御をスムーズに行う必要がある。さらに太陽光発電は20年、あるいはそれ以上にわたる長期の事業だ。長期にわたる蓄電池システムの最適な運用と管理、設置容量と設備投資額のコストバランスを考慮したライフサイクルコストの見積りも重要なノウハウになる。

 大林組は蓄電池の併設に当たり、知見を持つ三菱電機GSユアサと協力してシステムの検証を行っている。蓄電池の導入および運用に関するノウハウを蓄積することで、今後需要増が見込まれる蓄電池併設型メガソーラー案件獲得につなげていく方針だ。・・・蓄電池を併設して日中に蓄電した余剰電力を夜間に売電し、少しでも事業収益性を高めるという使い方も注目されている。蓄電池のコストが下がっている点もこうした動きを後押ししている。太陽光発電の健全な普及を後押しする一手となるか、蓄電池の活用ノウハウの蓄積に期待がかかる。

 

簡潔にして大変明快な指摘でして、経緯や関心の所在、そして課題等がよく分かります。(つづく)