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電気自動車(EV)の車載用リチウム電池とその周辺機器に対する新しい需要を考える⑵ 環境エナジー直方の政策選択メモ③ 2020.4.30

 

(1) リチウムイオン電池

 イ 車載用リチウム電池 (前回) 

  一 EVの成長性を左右する主な要因とその検討 (今回)

  ⅰ 走行距離(航続距離)、充電時間の長さや高価格

  ⅱ 欧米や中国におけるCO2排出規制 (次回、明日)

 二 リチウムイオン電池を使用する電気自動車(EV)の見通し(次々回、明後

  ⅰ ジュネーブ国際自動車ショーや東京モーターショーにおける展示が予感させるEV時代の到来

  ⅱ 政府が示しているEV普及の現状と2030年度の目標

 

一  EVの成長性を左右する主な要因とその検討

 EVの成長性を左右する主な要因は、走行距離(航続距離)や充電時間の長さと値段(コスト)、それに欧米や中国のCO2排出量規制と思います。もちろん、ガソリン車やディーゼル車などが排出量規制にどこまで対応できるかや政府による補助金の支援、それに燃料電池自動車(FCV)の普及なども一定程度影響します。これらについて、以下検討します。

 ⅰ 走行距離(航続距離)、充電時間の長さや高価格

 EVは走行距離(航続距離)や充電時間の長さに課題があり、値段も高いと言われてきました。それは現在も、そして今後も妥当することでしょうか。

  ① EVというと、なんといってもテスラが有名ですが、そのHPを見ると(https://www.tesla.com/ja_jp/models、2020年4月22日)MODEL Sの航続距離(WLTP)は610km、価格は10,450,000円でエコカー減税を受けて9,664,300円です。航続距離が610kmあれば大阪から東京や福岡まで途中充電しなくとも行けるので十分かと思いますが、確かに高額です。なお、テスラ社は「7日以内もしくは走行距離1600km以内(いずれか早い方)であれば、車を返却し全額返金を受けることができます。」と自信を示しています。 

 ② 国内では日産リーフが一番ポピュラーでしょうが、そのHPを見てみますと(2020年4月24日)、62kWhバッテリー搭載車の航続距離は458km(WLTCモード)と570km(JC08モード)でして「航続距離を気にすることなく使用できます」とうたっています(40kWhバッテリー搭載車だとそれぞれ322kmと400kmです)。しかも、バッテリー容量低下の抑制や耐久性の向上などによりバッテリーの高寿命化を実現したということで、バッテリー容量は「8年160,000km」の保証付きです。

 そして、価格は62kWhバッテリー搭載車で約440万から500万(40kWh搭載車だと約330万から420万)です。なお、日産リーフはクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金の対象で、40kWh駆動用バッテリーの場合だと42万の補助があって約291万になるようです。

   ※ この記事をアップした4月30日、明日からは閉鎖するため当分、利用できなくなるテニスコートに行きました。その帰り、私の隣に停まっていたのが日産リーフだったので、利用状況を尋ねてみました。

 すると、バッテリーだけで走れるのはだいたい200km、自宅でも充電できるが、ホームセンタなど充電できるところが近隣に5,6ケ所あり、新車購入のとき日産からもらったカード(毎月2000円必要)を使って充電できるので自宅で充電することはないということでした。50歳台の中年夫婦ですが、奥さんは「県外まで遠出することが時々あるけれど、それを含めて月に2000円しか燃料費がかからないのは随分魅力ですね」と、超満足という感じでした。

 ③ ところで、昨年10月に開催された東京モーターショーで発表された「ホンダe」は2020年秋頃の国内発売が予定されていますが、30分で約80%の充電が可能、航続距離はフル充電で220キロです。また、マツダの「MX―30」は200キロ弱です。そして、車両本体価格はどちらもまだ発表されていないようですが、「ホンダe」は補助金を含めて実質350万円程度、マツダ「MX―30」は420万円程度と推定されています。

 ④ さらに、2020年代前半には製造技術が確立し、30年ごろには1回の充電で現在の2倍以上にあたる1000キロメートルの走行も夢ではないとしてEVについて次のような予想をする新聞記事があります(日本経済新聞2019/12/27)。

203×年の連休初日。あなたは東京から大阪まで旅行することに決めた。電気自動車を自宅の電源につなぐと、わずか10分で80%まで充電できた。あとは大阪まで向かうだけだ。全固体電池を積んだ車体は急速充電ができ、1回の充電で1000キロメートルも走る。電気自動車は充電がわずらわしく、街中でしか乗れないと話していたのが懐かしい。家が停電のときは、電気自動車の電気を使い回す。

 この日経の記事はトヨタやかなりの大学研究者がリチウムイオン電池のさらなる性能アップを目指して研究と開発に取り組んでいることを紹介し、全体の状況について次のようにまとめています。

「次世代のリチウムイオン電池である「全固体電池」が電気自動車(EV)を一変すると期待を集めている。2020年代前半には製造技術が確立する見通しで、30年ごろには1回の充電で現在の2倍以上にあたる1000キロメートルの走行も夢ではない。・・(中略)・・・ある調査によると、全固体電池の市場は35年に2兆7千億円を超える。吉野氏は12月のノーベル賞受賞記念講演で「リチウムイオン電池が電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電に広く普及する未来社会」を紹介した。全固体電池にかかる期待は大きい。」

 ⑤ 果たして、みなさんが一番気にしている航続距離ですが、多数の人にとっては何キロくらいが必要でしょうか。1度の給油で1000キロ近くを走るハイブリッド車もあるようですが、それが一般多数のニーズでしょうか。

 私の場合、プリウスプラグイン・ハイブリッド(PHV)ですが、1回充電するとだいたい60キロ・市街地で往復2時間の範囲内ですと、電池のみで走れる感じです(電池がなくなると自動的にガソリンで走ります)。なにやかやと野暮用がありほとんど毎日この程度の距離を走っていますが、自宅から40㍍のところにある給油所に行って給油することは半年に一度もないくらいです。普段の行動範囲ではガソリンを消費することがほとんどなく、毎日帰宅後の充電で済んでいるからです。

 ですから、給油所入り口のガソリン価格の掲示我関せずで眼が行きませんし、逆にときどき車内のガソリンメータを見て、「もう半年以上もメーターの位置が変わってないし、ガソリンが劣化する可能性があるから、そろそろ遠出して使い切るほうがいいかもな」と話すくらいです。そういうことですので、満タンにすると50リッター以上入ったと思いますが、この1年くらいは15リッター位しか給油しなくなりました。なお、充電するために電気代が上がったことに気づかない程度でして月に5千円かかっていないことは間違いありません。 

 さて、私の場合は航続距離60キロで足りるのですが、平均70㌔/hで走るとして約3時間走行できる200キロあれば足りないでしょうか。最近は街中近くの大型商業施設 や電気店、ホテルを含め、郊外にある道の駅などあちこちで充電スタンドを見かけます。遠出をするときには、高速道路のSA・PAで2、3時間に1度休憩を兼ねて充電することにできないでしょうか。車両価格が高いというのも、電気代は上記のとおりですから、月に1万円、年に12万円、燃料費は電気自動車の方が安く済むとして、5年で60万円になりますから、それ位で購入時の差額は帳消しできそうです。なお、家庭で充電するための手間は充電プラグを付けたり外したりだけですから合わせて1分くらいです。(つづく)