ふるさと直方フォーラム

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基本政策を実施する施策の立案 ①の2-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(6) 2019.9.24

(前回からの続きです)

イ. 「『まちを豊かに』-立地環境を生かしたまちづくり」は「基本政策―施策 (Program)」の上下ないし包摂の関係にあるものとして体系的に適切か(体系性)

 

基本政策である『まちを豊かに』は、最終目標である「直方市に元気を取り戻したい」を政策として一段前に進める上下ないし包摂の関係にあるものとしては頭に入ってきにくいのに対し、「『まちを豊かに』-立地環境を生かしたまちづくり」は、理屈抜きでスーと頭に入ってくる気がします。「空港や新幹線へのアクセスにも恵まれ」ているというのはそこまで断定できるほどのものか自信ありませんが、直方市の特徴は、他の自治体に比べ公共交通の結節点がまちの中心となっていることにあります。」という認識は、かなりうなづけるのではないでしょうか。

 ただし、福岡市と北九州市だけでなく飯塚と田川との位置関係も含めて把握すべきでしょうし、さらに、行橋や苅田港方面とのつながりアップに取り組む土台になっていいように思います

 

ロ. 施策「立地環境を生かしたまちづくり」は基本政策を的確に実現できるか(有効性)

 実証的に論述するだけの情報を持っていないので、図中の〔狙いと意図〕を通して、有効性について簡単にコメントします。以下の1)から5)は図中のそれに対応しています。

 

1)  中心市街地の活性化に取り組むこと、そして「中心市街地に必要な機能は何なのか、どういった機能があればまちは活性化していくのか、好循環に至るための必要十分条件は何なのか等考えながら、まちづくりを進め」ること自体にまったく異議はありません。

 しかし、それらは「直方に元気を取り戻したい」という目標や『まちを豊かに』という基本政策とはすぐにつながるのですが、施策である「立地環境を生かしたまちづくり」とは直ちに結びつかないように思われます。

 

2)  「定住促進に応えるべく、まち中へスーパーなど最寄品の買い物ができる状況を作っていきたい。」という考え自体にもまったく異議はありません。しかし、これも基本政策「『まちを豊かに』と包摂関係にあると思いますが、施策である「立地環境を生かしたまちづくり」とはなかなか結びつかないように思われます。

 

3)  若い人たちにとって魅力ある働く場の創出、 IT産業等をはじめ、まち中での雇用機会の創出に努めることにより、まち中の昼間人口を増やし、就業者の生産性のより高い職種への転換やUIJターンによる高技能を持つ人材の転入につなげ、新しい産業を、稼ぐ力の大きな産業として、まち中に活性化をもたらすような取り組みを強化したい。」は、手段と目的の関係の理解が適切か疑問があります。

 

つまり、「若い人たちにとって魅力ある働く場の創出、 IT産業等をはじめ、まち中での雇用機会の創出」は手段ではありえず、なんらかの施策を講じて初めて実現できる目的であるように思います。ですから、手段であれば、外注に出したり、どこかでお金を出して購入することなどもできるでしょうが、手段ではないのでそれはできません。

 

そして、まち中の昼間人口を増やすなどは全国の多くの自治体で、就業者の生産性のより高い職種への転換は国レベル、経済産業省レベルで取り組んでいることで、地方の一小都市が単独でどうこうできる問題ではないように思います。UIJターンによる人材の転入だけは、直方市単独でもある程度の方策が見つかると思っていますが、そうした実現可能性のある道を探求してほしいと思います。

 

4)  「保健福祉センターについて中心市街地の活性化に寄与できるよう駅周辺への立地可能性を早急に探」るというのも、1) 2)と同じで「直方に元気を取り戻したい」という目標とはつながりますが、施策である「立地環境を生かしたまちづくり」から直ちに出てくるものではないし、逆に立地環境を生かしたまちづくり」とは結びつかなくても中心市街地の活性化に寄与すると判断できるなら、決定につなげていいと思います。もちろん、事業予算の出所や後に実施される政策評価における目的達成の度合いにも影響してきます。

 

なお、「ソフト面でも文化・芸術の振興を通じてまちの魅力づくりを進め」ることは基本政策『まちを豊かに』には包摂されると思いますが、「立地環境を生かしたまちづくり」とは直ちにつながりにくく、保健福祉センターと同様、立地環境を生かしたまちづくりとは結びつかなくても、まちの魅力づくりの観点から決定することが許される場合もあると思います

 

5)  ハードとソフトの両面からの地域コミュニティの再構築は具体的にどののようなものか、なかなかイメージが湧きません。また、「子供からお年寄りまで、安全安心で豊かさを実感できるまちづくり」は、確かに基本政策『まちを豊かに』に包摂して理解できます。

 ただ、それら安全安心や豊かさは普通は最終目標か、一つ落として基本政策で取り上げるのが一般ですから、施策である「立地環境を生かしたまちづくり」の〔狙いと意図〕で取り上げるというのはよく分かりません。したがつて、4)と同じで、事業予算の出所や後に実施される政策評価との関係で問題が生じます