ふるさと直方フォーラム

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地域経済分析システム(RESAS:リーサス)を活用しよう!! 基本政策を実施する施策の立案③-大塚市長の所信表明や抱負を公共政策の定石から考える(11)ー2019.11.21

2 製造業を含む産業を強化して域内経済循環をしっかりしたものにしたいという狙いは社会経済的見地からの根拠を有する合理的な考えか

 

大塚市長は、「本市の産業連関分析からしますと、特に外貨を稼いでいるのは、やはり製造業であり、本市の産業の特徴でもあります。ここを一定強化しながら域内での経済循環をしっかりしたものとすることが肝要」と述べています。

 

商品やサービスを新しく作り出して稼ぐことは格別難しいでしょうから、すでにある産業を強化するという考え方は実際問題としても合理的な選択だと思います。そして、これにより域内の経済循環をしっかりしたものにするという方向の見定めもきわめて正しいと思います。

 

 それでも、直方市で「特に外貨を稼いでいるのは、やはり製造業である」という前提、そして、「(製造業を)強化することが域内での経済循環をしっかりしたもの」にするという選択は、直方を元気にするという最終目的に照らしたとき正鵠を射る適切なものかは、製造業に関する事実の正しい把握や域内の経済循環を確立する意義の確認を含め、もう少し検討を加えてから結論を出す必要があるように思います。そこで、この前提と選択について検討を加えてみます。

 

検討を始める前に、以下で頻繁に引用する文献について説明しておきます。

大塚市長が前提の根拠としている産業連関表については、「わがまちの経済 産業連関表で見える地域 福岡県60市町村表試案」、福岡県自治体問題研究所編(税込3000円)などがありますが、ネットで簡単に閲覧できるものは見当たらないようです。また、行列方式に基づく産業連関表はなじみがないためか、どうしても親しめず解釈するのも一苦労です。

 

そこで代わりに、地方創生の様々な取り組みを情報面から支援する目的で、経済産業省内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供している地域経済分析システム(RESAS:リーサスhttps://resas.go.jp/#/13/13101 以下、リーサスという。)を利用します。

 

リーサスの地域経済分析システムは「産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化するシステム」でして、これからの地域政策やまちづくりを考えていくうえで最優先される必須のツールになる可能性が大きいと考えられますが、産業連関表の仕組みや数値を取り入れています※。まだ利用されていない方に知っていただくため、以下に少し詳しく紹介しておきます。

 

※ リーサスの地域経済分析システムで示されている地域経済循環図は、「どこから所得を稼ぎ、地域で稼いだ所得がどのように分配されているか、その所得をどこに使っているかというお金の流れの概要を把握することができるもので、産業連関表をコンパクトにまとめたものといえる。」と説明されています(米山知宏「政策立案におけるRESASの活かし方(下)」http://www.dh-giin.com/article/20160926/6875/print/)。 

 環境省も、地域経済循環分析は市町村毎の産業連関表を中心的に活用する分析であるとして次のように説明しています(http://www.env.go.jp/policy/circulation/index.html)。

「地域経済循環分析は、市町村毎の「産業連関表」と「地域経済計算」を中心とした複合的な分析により、「生産」、「分配」及び「支出」の三面から地域内の資金の流れを俯瞰的に把握するとともに、産業の実態(主力産業・生産波及効果)、地域外との関係性(移輸入・移輸出)等を可視化する分析手法です。」

 

 また、リーサスの「地域経済循環図」に併せてアップされています「地域経済循環マップについて」地域経済循環分析(簡易解説書)(全15頁)および「地域経済循環マップの概要」 (全13頁) (いずれも平成27年12月18日内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局。以下、それぞれ簡易解説および概要という。https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/40/40204/2/2013)も、地域経済分析システムに対する基本的な理解を容易にしてくれますので、しばしば引用しています。是非ご参照ください。

 

もう一つ、株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)が発行している「地域経済循環分析解説書・地域経済循環分析の手引き」(以下、手引きという)があります。これも、地域経済分析システムに対する理解を一段深めるうえで有用ですので時折、引用します。(つづく)