ふるさと直方フォーラム

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直方市財政状況の再確認を 2019.4.30 ー 当選した大塚新市長と新しい市議会のみなさんへのお願い 第2回-

なかなか将来を見通すことができない現代ですが、直方の未来について責任ある態度で語ろうとするとき、少子高齢化による将来の人口減少と高齢者人口割合の増加、不安な財政状況は是非とも押さえておかなければいけない重要課題です。この重要課題の大枠の中で、持続可能な直方の未来を創るために、みんなで知恵を絞り前向きに施策のありようを議論しましょう。直方市の財政状況について、次の1から3の3回に分けて考えます。

1 瀬戸際にある直方市財政状況の再確認 

2  直方市「平 成 3 1 年 度 予 算 編 成 方 針」と財政状況の十分な説明

3  大塚新市長の「道路など基盤整備は着実にやっていく」発言とふるさと直方フォーラムからのお願い

 

1 瀬戸際にある直方市財政状況の再確認 

 直方市の財政状況は現在かなり深刻です。この数年、経常収支比率を除くと少しばかり改善傾向にあるようですが深刻であることに変わりはありません。そして、経常収支比率はほとんど最低、最悪に近づいています。このままでいくと、10年後、20年後には、財政健全化団体から再建団体に陥る危険であるとか、極端な話、直方という地域は当然残っていますが直方市という地方公共団体の存続は必ずしも保障されないと危惧されます。地方財政の専門家ではない者の観測ですから間違っていれば幸いですが、客観的な数字が大変厳しいという印象に間違いはないようです。慣れない用語と数字の話ですから親しめないと思いますが、ここはみんなの直方市を考えるための前提情報として不可欠ですので頑張って眼を通してください。

 

直方市の財政状況については前に、2019直方市長選:  総括壬生市政 第2回(続き) 前提政策要因として直方市人口ビジョンと将来の財政状況に留意できていない で検討しています。ただそれは地域経済分析システム(RESAS:リーサス、経済産業省内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)提供)の2013(平成25)年度地域経済循環図情報に基づくものでした。そこで今日は、福岡県のHP「県内市町村の平成29年度財政状況資料集」(以下、平成29財政状況資料集という。http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/zaiseisiryosyu29.html)に掲載されている直方市の財政状況に関するデータと「分析」コメントを引用ないし参照し、直方市財政力指数、経常収支比率、公債費負担比率と公債費比率、将来負担比率、および財政調整基金残高について、不十分ですが再確認します。(事実や評価に誤りがあれば、遠慮なくご指摘ください。顕名のものはご指摘をそのまま全部掲載して対応させていただきます。)

 なお、「市町村財政状況の推移」(平成25年度~平成29年度05直方市 [PDFファイル/233KB

 を本当はここに貼り付けたいのですが、技術上の制約により本稿末尾に置きます。

 

初めに、地方公共団体の財政力を示す指標として用いられる財政力指数を見てみます。財政力指数は基準財政収入額基準財政需要額で除した数値であり、1.0を上回れば、自治体内での税収入等のみを財源として円滑に行政を遂行できます。直方市の財政力指数は平成28年度0.55、平成29年度0.56(国平均0.51、福岡県平均0.53、類似団体内順位76/93)でして、平成29財政状況資料集は「類似団体と比較しても低い水準が続いている」と分析しています。

 

そして、公債費負担比率と公債費比率は、いずれも借金等の返済に税金などの一般財源がどの程度使われているかを見るための指標です。このうち、公債費比率は、公債費に充てられる一般財源額の標準財政規模に占める割合で示され、10%を超えないことが好ましいとされています。そして、直方市の実質公債費比率は近年改善されてきており、平成28年度9.4、平成29年度8.0(国平均6.4、福岡県平均9.0、類似団体内順位54/93)です。しかし、平成29財政状況資料集は「市債残高は206.3億円と依然として多く、近年では特別会計である公共下水道事業に対する準元利償還金が大きな負担となっている。」と分析しています。

そして、公債費負担比率は、地方債の元利償還金等の「公債費」に充当された一般財源一般財源総額に対してどの程度の割合になっているかを示す指標で、一般的に15%を超えると「警戒ライン」、20%を超えると「危険ライン」といわれていますが、直方市の公債費負担比率は平成28年度14.3、平成29年度13.6です。

 ※ 標準財政規模は、地方公共団体が通常水準の行政活動を行う上で必要な一般財源の総量(規模)で、標準税収入額に普通交付税臨時財政対策債発行可能額を加えた額です。

 

さらに、将来負担比率は、将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来、財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標です。将来負担比率の早期健全化基準は350%ですが、私たちの暮らしに例えると「住宅ローンを組むにしても年収の3倍程度が限界」といわれているように、標準財政規模の3.5倍程度を上限に財政運営を行なっていくことが重要です。直方市の将来負担比率は近年改善傾向にあり、平成28年度64.9、平成29年度58.9(国平均33.7、福岡県平均78.8、類似団体内順位65/93)です。

 

財政調整基金残高の目安として、標準財政規模の、都道府県の場合5%、市町村の場合20%程度を確保しておくことが望ましいとされています。直方市の歳入総額は245億弱、標準財政規模は約131億ですから、望ましい財政調整基金残高の額は約26億です。平成29財政状況資料集は財政調整基金の残高が29年度末で30.9億円、全基金の合計が42.9億円と県内の他市と比較しても少額であり、今後実質収支の赤字が続くような状況が発生した場合は、その赤字を補う余力も限られていることが不安材料である。」と分析しています。

  「市町村財政状況の推移」(平成25年度~平成29年度05直方市 [PDFファイル/233KB

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