ふるさと直方フォーラム

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2019直方市長選:  総括壬生市政 第2回(続き) 前提政策要因として直方市人口ビジョンと将来の財政状況に留意できていない

 

 


次に、財政力が縮小し弱体化していくことについて述べます。

一 客観的なデータ

人口減少は市民税収入の減少に直結しますが、もう一つの大きな歳入源である地方交付税交付金の減少にもつながります。なぜなら、地方交付税交付金は基本的に「人口等を基礎に機械的に算定」される基本財政需要額を見定めて算定されるからです。


そのため、人口が減少すれば、それに比例して財政規模も縮小せざるをえません。これは財政支出を必要とするすべての施策と事務事業について、縮小のための見直しを余儀なくします。


ところで、現時点における直方市の財政状況は、地域経済分析システム(RESAS)の「主要財政指標比較レーダーチャート: 2016年直方市(https://resas.go.jp/municipality-finance/#/area/8.828665428303015/33.53711514/130.8218368/40/40204/2/2017/1/-)では以下のような図で示されています。レーダーチャートの字が見えにくいので、その内容を下に正確な数値と一緒にボックス状の表で示していますので、併せて見ていただくと正しく理解できます。

 

f:id:FurusatoDosouForum2015:20190202222934p:plain

 

 

財政力指数

経常収支比率

実質公債費比率

将来負担比率

人口あたり職員数

人口1人あたり人件費・物件費等の決算額

ラスパイレス指数

直方市

110.00

 106.38

136.23

188.12

  86.91

   93.61

 101.61

全国平均

100.00

100.00

100.00

100.00

100.00

100.00

100.00

[言葉の説明]
財政力指数

地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。財政力指数が高いほど普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。


経常収支比率
地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減収補てん債特例分及び臨時財政対策債の合計額に占める割合。この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。


実質公債費比率
:当該地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額(※)に対する比率。借入金(地方債)の返済額及びこれに準じる額の大きさを指標化している。比率が大きいほど資金繰りの厳しさを示している。(※標準財政規模から元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を控除した額。)


将来負担比率
:地方公社や損失補償を行っている出資法人等に係るものも含め、当該地方公共団体一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模を基本とした額(※)に対する比率地方公共団体の一般会計等の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化している。比率が大きいほど将来財政を圧迫する可能性の度合いことを示す。(※標準財政規模から元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を控除した額。)


人口あたり職員数
都道府県の場合は人口10万人、市町村(特別区を含む)の場合は人口千人あたりの職員数。


人口1人あたり人件費・物件費等の決算額
:人口1人あたりの人件費、物件費及び維持補修費の合計。ただし、人件費には事業費支弁人件費を含み、退職金は含まない。


ラスパイレス指数
:加重指数の一種で、重要度を基準時点(又は場)に求めるラスパイレス式計算方法による指数。ここでは、地方公務員の給与水準を表すものとして、一般に用いられている国家公務員行政職(一)職員の俸給を基準とする地方公務員一般行政職職員の給与の水準を表している。

 

ニ 検討

上記図を見ると、あくまで全国平均を100とした場合の指数であって、それ自体の絶対的な良し悪しを示しているわけではありませんが、財政力指数、人口あたり職員数および人口1人あたり人件費・物件費等の決算額の数値がなかなか良くて、経常収支比率はやや少し、実質公債費比率はかなり、そして将来負担比率は非常に悪いことが読み取れます。


現時点で財政力指数はいいのに、なぜに経常収支比率、特に実質公債費比率と将来負担比率が全国平均と比べてかなり悪くなるのか私には正確に説明できません。しかし、表面だけ見ると今はほどほどによい状態であっても、「借入金(地方債)の返済額などの大きさ」を示す実質公債費比率がこれだけ悪いと、将来の資金繰りは相当厳しくなりそうだと思いますし、「一般会計等が将来負担すべき実質的な負債」の大きさを示している将来負担比率が限りなく悪いので、将来の財政破綻すら現実味を帯びてくる状況ではないかと不安になります。


そして、直方市では「毎年、介護費等の扶助費は、1 億円を超える規模で増大」(平成29年度施政方針)しているようですが、この増大する傾向自体は毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に算入されていないでしょうから、経常収支比率も今後20年ほどいっそう悪化すると思います。


財政について、壬生市長は平成29年度と平成30年度の施政方針で次のように述べています。
「財政上の重要な課題は、本市の財政における経常収支比率が 極めて高く96パーセントを超えているということであります。本市の財政力指数は 0.538 であり、さほど懸念される状況にはありませんが、 経常収支比率は、近隣の自治体と比較してもかなり悪く、県内でも下 2 位に位置づけられるものであり、財政の硬直化は明らかであります。 平成 29 年度におきましては、この財政の硬直化について、十分検討を行い、その原因と改善の方策について明らかにしていきたいと思います。この問題は、単年度で解決できる課題ではないと思料されますが、まず平成 29 年度からこの課題の解決に取り組んでまいりたいと思います。」(平成29年度施政方針)


「1 財政硬直化の緩和  平成 29 年度の施政方針でも指摘した財政上の重要な課題であります財 政の硬直化とその緩和について、本年度も継続して取り組んでまいります。昨年度におきましては、この財政の硬直化について、庁内で勉強会 を実施するなどして、全職員がこの問題の重要性を十分認識するとともに、枠配当予算の 4 パーセント減により、各所管課において、事業の検 証と見直しを徹底し、できる限りの歳出の抑制を行いました。このよう に全職員が財政に対する問題意識をもち、財政の硬直化の緩和への取り 組みを行うようになりました。本年度も引き続きこの取り組みを継続してまいります。」(平成30年度施政方針)


いろいろ感想はありますが、以下では特に声を大にして叫びたい意見を述べます。

第1は、平成 27 年に就任したのに平成 29 年度から財政の硬直化について検討を始め、原因と改善の方策に取り組むなんて遅すぎます。「職務に支障がない範囲で刑事弁護を引き受ける」なんて強弁する余裕はなかったはずです。自分の家計であれば、そんなのんびりしたことはけしてできないだろうにと思います。遅くとも翌30年には、原因を解明するとともに、改善の方策を示すべきです。


2番目は、「庁内で勉強会 を実施した」(平成30年度施政方針)と自慢げに述べていますが、枠配当予算の 4 パーセント減というのは、その年度内かぎりで投資的あるいは裁量的に利用できる資金を捻り出しているだけです。あくまでその年度かぎりで一時的にとりつくろう「弥縫策」的な対症方策でしかすぎず、直方市の長期の財政像を描き出すなり将来世代の負担を軽減する対策は検討されていません。もちろん、一般の市民や企業人なら、収入以上の支出を削ることに最低限取り組むはずです。

 

要するに、地方財政の健全性を判断する重要な指標とされているものの中で、経常収支比率が悪いために当該年度、柔軟な財政運営ができないことにしか目がいっておらず、将来の財政状況を大きく拘束する実質公債費比率や将来負担比率を視野に入れ、長期的見通しに留意しながら原因と改善の方策を考えるということができていません。


なお、先ほど、人口減少による財政力の低下や直方市では「毎年、介護費等の扶助費は、1 億円を超える規模で増大」(平成29年度施政方針)していることに触れましたが、その傾向は直方市の人口でもっとも多い団塊世代が90歳になる2040年頃まで継続すると思われます。

したがって、財政の硬直化どころか財政が破綻する危険すらあることを正しく認識し、市民の健康意識・健康努力を大きくアップさせる予防施策を具体的に展開する方向性をハッキリと打ち出すべきです(参照\、「健やかで幸せに暮らせる「健幸都市」だって!」および「プール、スタジオ、トレーニング施設をはじめ、河川敷サッカー場や野球場のあるスポーツ施設を開設し、みんなが健康で、明るく、楽しく過ごせる舞台を創ろう!」)。予防は医療や福祉と比べるとさほど重視されてきませんでしたが、それでも「介護予防事業を充実させる」というだけでは視野が狭すぎるし、対策として真剣味に欠けると思います。


第3は、『財政力指数は 0.538 であり、さほど懸念される状況にはありません』などと、どうしてそんなことが言えるのでしょうか。もしかしたら、財政力指数の全国平均が0.50なので、単純にそれとの比較で全国平均よりましだと言っているのかもしれません。
財政力指数は「基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値」です。普通の言い方をすると、家計であればカネの使い道がたくさんあるのに収入はその半分くらいしかない。このままでは半分しかニーズを満たせないから、なんとかしなければと思う状況です。つまり、収入がニーズの半分くらいしかないことに着目すべきであり、日本の自治体はどこも財政状況が悪いのですから、全国平均より3.8%よいと言って喜んでいられる場合ではありません


以上、人口が5万人、4万人、そして30年後には3.5万人近くと減少していくとき、地方税収入の低下見通しなどを踏まえた財政状況についても高い蓋然性で予測できます。否が応でもまずはこの人口と財政力をスタート地点に、政策方針と施策を考えなければならないことを述べてきました。

 

私の鞍手高校時代の同級生の中にも、現時点で市民として特に困っている点はないし、市の行政に特に不満はないという人は確かにいます。自分はそれなりの額の厚生年金や共済年金をもらえているからという気持ちのようでしてトランプ流の自分ファーストです。このまま自覚しないで何もせず、さらに4年間を無為に過ごすならば、直方の低落傾向と財政破綻への不安はいよいよ深まり、子や孫たちに希望の道筋を示すことは何一つできない事態であることを強く自覚すべきです。


なお、ふるさと直方フォーラムはオール直方委員会で直方の未来創造に取り組むことを提案しています。この提案は実は財政が破綻する危険も念頭においてのものです(国と政府全体について同様の問題意識と提案を述べる野田元首相の発言を紹介しています。

オールジャパンで大悪夢に立ち向かうと「オール直方の力を結集して」 2019.3.7 - ふるさと直方フォーラム 参照ください)。今はそこまでは口にしていませんが、ゆくゆくは直接民主政のようなオール直方委員会が機能することにより、現在、市条例により19人とされている市議会議員の定数を、11ある小学校区ごとに原則1名、例外的に最大2名とするとか、市職員の配置などについても予断のない検討をしなければならなくなることも意識しています。
 (参考) 直方市のランキング成績 地域番付トップ > 九州地方の地域一覧 > 福岡県 > 直方市

首長給料

全国全地域(1,750地域中):319位

福岡県内(60地域中):9位

議員報酬

全国全地域(1,750地域中):375位

福岡県内(60地域中):14位

議員定数

全国全地域(1,665地域中):632位

福岡県内(57地域中):18位

職員平均給与月額

全国全地域(1,762地域中):645位

福岡県内(61地域中):22位

 以上です。