ふるさと直方フォーラム

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紹介 古賀茂明「アベノミクス終焉 野党は『天使の成長戦略』示せ」

なかなか将来を見通すことができない現代だが、公共政策を考えるとき、視界から外すことのできない、ほぼ確実に到来する外的環境要因がある。それは絶対に確実な人口減少である。また、国と多くの自治体における財政破綻地球温暖化による自然災害・収穫不可能化等の悪影響も可能性が高い。これらの大枠の中で、前向きに未来を志向する持続可能な政策に知恵を絞らなければならない。

このような問題意識を持つ私の世界観、社会観からして、大いに賛同できる論説に接した。少々長いので勝手ながら一部を以下に引用して紹介しておきたい。古賀茂明「アベノミクス終焉 野党は『天使の成長戦略』示せ」  2019/01/07 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/…である。

安倍晋三総理は、アベノミクスの成果をことあるごとに吹聴しているが、誰がどう見ても、アベノミクスは失敗だ。

 国民にとって、最大の関心事である「実質賃金」(名目の賃金から物価上昇分を除いた賃金)は、安倍政権成立前に比べて大幅減少している。

人生100年時代と言われる今日、老後の不安がとてつもなく増大し、とても心安らかに暮らすことはできない。

アベノミクスによって、将来は良い方向に向かうと信じられれば良いのだが、頼みの株価の上昇は止まり、経団連の輸出大企業を助ける円安も逆回転の兆しが見える。

 消費税の増税についても、これが社会保障の不安解消につながらないと思う人は、全体で見ても何と75%だった。

 6年間のアベノミクスの結果は、国民の不安解消とは程遠い・・・もはや限界だ。「経済の安倍」で下支えされた政権の支持率にも影響が出るだろう。

 内閣支持率自民党支持率が下がったから野党支持率が上がるわけではないというのが、近年の傾向だ。本当に大幅な支持率上昇を狙うのであれば、これまで訴えて来た憲法改正反対、反安保法制などでは全く足りない。

 お隣の韓国の文大統領が大企業に対する敵意を前面に打ち出し、所得分配政策で景気を良くすると言って、実際に最低賃金引き上げなどの政策を強力に推し進めた結果、現在、韓国では失業率が上昇し、経済も停滞。大統領の支持率は大幅に低下している。市場関係者は、これを強く意識しており、日本も同じ轍を踏むのかと懸念するだろう。

安倍政権の経済政策も、実際には成長戦略など皆無で、円安とバラマキだけでしのいできたというのが実情だ。・・・安倍政権は、いろいろなバラマキ政策で手を打っている。それを見た人々は、「自民党が少し我々の方を向いてくれた」と評価するのだ。その際、バラマキのやり過ぎで日本経済がまずいのではないかという不安も一瞬頭をよぎるが、大企業が困るような破たんなどという事態までは行かないところで止まるはずだという安心感が、逆説的ではあるが、そこにはある。

野党が「成長戦略」や「規制改革」・・・の標語を使う時は、その前に自民党との差別化を図るための修飾語を付け加えることが必要だ。例えば、「自民党支持者の既得権を叩く規制改革」とか、「『悪魔の成長戦略』から『天使の成長戦略』へ」とかでも良い。

 例えば、最近注目されているEV(電気自動車)、自動運転、ライドシェアを取り上げて、「全国の過疎地で25年までに自動運転ライドシェアを実現」「そのためにタクシー規制を抜本改革」と打ち出す。EVも自動運転も自民党は掲げているが、タクシー規制の大幅緩和はタクシー業界の反対が怖くて打ち出せない。しかし、過疎地の高齢者などに大きな福音となる話だから、天使の成長戦略と呼ぶにふさわしい。

 脱原発も、それだけでなく、具体策を掲げて成長戦略にする。原発関連予算を全廃して再生可能エネルギーに投資」「官民ファンドは全廃し再生可能エネルギーファンドを創設」「地方出資過半の再生可能エネルギー発電にのみFITで優遇」「大手電力の発送電分離を完全所有分離として、送電線投資ファンド創設」というような話をそれによって生み出される付加価値を何兆円というように具体的に書く。これらは、いずれも自民党には絶対に言えない話だ。国民民主党でも言えないことが多い。だから差別化できる。 

 従来であれば、「原発関連予算全廃」「官民ファンド廃止」「不完全な発送電分離反対」というような「反対論」でしか語られていなかったが、それだけだと、何かマイナス効果ばかりなのではないかという不安が出て来る。

 そこで、反対するのは、「反対のための反対」ではなく、「より夢のある」、しかももっと「儲かる」実利のある話につながるからなのだということを一つ一つ見せて行くのだ。

 外資悪玉論とグローバリズムへの反対論ばかり目立った野党だが、それだと、逆に不安になる層も多いだろう。そこで、逆に外資を歓迎して日本を変えると唱える手もある。例えば、環境問題で世界に後れをとってしまった日本が、ドイツ、デンマークなどの先進企業を誘致して、世界最先端の自然エネルギー100%の先進地域を実現する。

 これらの改革の先に見える日本の絵姿は、「成長を放棄した日本」ではなく、「人にやさしく、環境にやさしく、地方にやさしい」「全く新しい成長の姿を見せる夢の国日本」というものだ。 

 自民党の言うことに妥協したり、タカ派に迎合する姿勢を示すのではなく、自民党にはできない、真の改革、すなわち、大企業のためではなく、新規参入企業、地方企業、そして、労働者、消費者のための改革を主張することこそ、左翼層ではない、無党派層にアピールする道ではないか。

 立憲民主などの野党には、平和主義というブランドは定着しつつある。しかし、その最大の弱点である経済政策については、所得分配政策しかイメージが湧かない。そして、無党派層の多くは、それは単なるバラマキだと考えている。もちろん、分配政策は重要だが、それは、野党が主張しても、自民党にパクられて終わりというのが、これまでの経験だ。

  自民党が打ち出せない経済政策。それもバラマキとは一線を画した「夢のある改革」政策を打ち出せるかどうか。それが、人々に不安だけでなく、新たな希望を与えられるものになるのかどうか。

  新年を迎えて、そんなことを考えると、少しは明るい気持ちになれるのだが。